わが家では11匹の猫を飼っていますが、その中でも2、3歳の若い猫は食欲旺盛です。キャットフードを開封するや否や、ワラワラと集まってきます。これって不思議ではありませんか? なぜ猫はその場にいないのに、キャットフードの袋や缶を開けただけで食事だと分かるのでしょうか? その理由を考えてみました。
鼻が利いて耳がいいから?
わが家の猫たちは食事の時間が分かるようで、キャットフードの袋をハサミで切って皿に移しただけで、階段をトントントンと駆け降りる足音が聞こえてきます。
なぜ猫はこんなにも敏感に食事の時間が分かるのでしょうか?
理由はいろいろ考えられますが、まず鋭い嗅覚が関係していることは間違いなさそうです。猫は犬ほどではありませんが鼻が利き、人間の数万~数十万倍といわれているそうです。キャットフードを開封した際に漂うわずかな匂いを感じ取ることができてもおかしくありません。
次の理由は、猫にとって何よりも頼りになる聴覚です。猫の耳はすごく高性能で、獲物であるネズミが発するかすかな音を察知できるように、犬の約2倍、人間の約8倍の聴覚が備わっているといわれます。猫は耳→鼻→目の順番で外界から情報を得ていて、主に目から情報を得ている人間の感覚とは大きく異なります。
そんな鋭い聴覚ですから、キャットフードの袋をハサミで切ったときに出るかすかな音や缶詰を開けたときに出るプシューという音を、離れた部屋から聴き取っているのかもしれません。
体内時計が正確で主人のことをお見通しだから?
理由は、ほかにもありそうです。その一つが体内時計です。多くの人間は時計を見て時間を知りますが、猫は体内時計に従って活動していると考えられています。飼い猫は良くいえば平和で、悪くいえば退屈で変化のない生活を送っています。だから「毎日のルーティンで食事の時間が分かるのではないか」という仮説を立ててみました。
わが家の猫の動きを観察していると、呼んでもいないのに「そろそろ食事の時間」というタイミングで台所に集まってきます。中にはずっと寝ていて呼ばれるまで気づかない猫もいますが…。時計を見なくても食事の時間が分かるのは、猫の体内時計が正確だからでなはいかと考えます。
3つの理由を挙げましたが、突き詰めると「猫は飼い主のことをお見通し!」といえそうです。猫の観察力はとても鋭く、わずかな変化も見逃さない性質があります。
だから長く一緒に暮らしているうちに飼い主の行動を細かく観察していて、次に何をするのかが分かっているのかもしれません。例えば猫の食事を準備する直前に、私がどんな動きをするか。立ち上がって移動する、何かを取り出す、といったささいなことにも敏感に反応して「食事の時間だな」と察知しているのかもしれません。そうだとしたらキャットフードを開封する前から、私が次に何をするか読まれているということになります。
とはいえ、猫もたまに勘違いすることがあります。席を立ってトイレに行くときに付いて来ることがあるのです。きっとご飯がもらえると期待して付いてきたのでしょう。トイレの後に、出待ちしている猫にご飯を催促されてしまいます。
いずれにしても猫たちに「早くしてくれ!」とウロウロされたり、「ニャーニャー」と催促されたりしながら、食事を準備するのは落ち着きません。もう少し待っていてくれると助かるのですが、こればかりはどうしようもありません。
※参考資料/「イラストでわかる ネコ学大図鑑 東京猫医療センター長 服部幸 著 宝島社新書」
(ファンファン福岡公式ライター/のらくろ)