西鉄大橋駅東口から徒歩約3分。「熊野道祖(くまのどうそ)神社」(福岡市南区)には「のどの神」が祭られていると聞き、参拝することに。どんな神様なのでしょう?
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春の日差しがポカポカ暖かい午後、取材の合間に時間ができたので、大橋駅の近くをふらっと歩いていると、おや、こんなところに神社が。 鳥居には「熊野道祖神社」とあります。表の案内板を読んでいると、お参り帰りの年配の女性から「ここ初めてですか? 奥に“のどの神社”がありますよ」とやさしく声を掛けられました。 「えっそうなんですか? 行ってみます!」と答えると、女性はニコッと会釈して、自転車に乗って去っていきました。 ふ~む「のどの神社」とは珍しい。ふだんからマスクで保湿はしてるけど、健康なのどでいたい! この機会にぜひとも祈願せねば、と鳥居を前に一礼して、入ってみました。
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進んでいくと左手に手水舎があり、その奥に拝殿が。通りから少し入っただけなのに、境内はとても静かです。 さい銭をあげて鈴を鳴らし、二礼二拍手一礼。なんだか厳かな気持ちになります。
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社務所には薄いグリーンの「のどのお守り」が売っていました。 確かにここには「のどの神さま」がいらっしゃるようです! 社務所には誰もいない様子。積まれた「熊野道祖神社略誌」というパンフレットを記念に一部いただきました。中には詳しい歴史が紹介してあります。1937(昭和12)年に「熊野神社」と「道祖神社」が合祀(ごうし)されて、現在の「熊野道祖神社」となったのだそうです。
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掲示板には由緒が書かれています。「熊野神社」の祭神は「サイノ神」とも呼ばれ「悪疫を塞ります神」とのこと。悪疫とは、今でいえば感染症です。このご時世にぴったり。ちなみに旅行の幸福を守護する神でもあるそうです。 そして「道祖神社」が祭る道祖神は、厄災の侵入を防ぎ子孫繁栄等を祈願する村の守り神。この地区に古くからあるようです。ふむふむ。 ふと見上げると、木々が茂り、サワサワと風に揺れています。吹き抜ける爽やかな風が気持ちよく「神社って、やっぱりいいな~、落ち着くわ~」。とてもリラックスしてきます。 それはそうと「のどの神さま」はどこにいらっしゃるのでしょう?
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境内を通り抜けると、道路の向こうに緑に覆われた小さな神社が見えてきました。鳥居の額に「道祖神社」と書いてあります。表通りにある「熊野神社」とはまた違う、和やかな印象です。
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階段を上がり境内へ。左手に手水鉢があります。
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中央にある殿舎(でんしゃ)にさい銭をあげて手を合わせます。左奥に小さな社が並んでいるのが見えます。
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大きなご神木が! 霊験あらたかな場所で、そこだけ空気が違っていました。奥には、お稲荷(いなり)さんが。
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手水鉢の傍らには百度石がありました。石と拝殿を100回往復して願い成就を祈願する、お百度参りに使われる石です。隣のパイプ椅子は、疲れたら座れるように置いてあるのかな。
「さて、のどの神さまはどこだろう?」境内の社をひとつひとつ見てもどれだか分かりません。と、そこへスポーツウエアを着たおじさんが参拝に。地元の人だろうか、あいさつしてみました。 「こんにちは。ここ、よく来られるんですか?」 「散歩の途中に寄って、お参りするのが日課ですよ」 そこでのどの神さまの場所を尋ねると、右奥の目立たない小さな祠(ほこら)の前へ連れて行ってくれました。
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ありました! 「のどの神」と書いてある札も立てられています。 「歌がうまくなりたいの?」とおじさん。 「いえ、歌というより健康の方で…」と私。 なるほど、のどの神なら芸能の神ともいえるんですね。 「いいでしょう、この神社」と自慢げに微笑むおじさん。「道祖さま」と呼んでいるそうです。 「ここの地名は塩原(しおばる)っていうけど、何で塩原っていうか知ってる? 昔、海に近くて、塩田があったらしいんだよ」 話し終わってお参りを済ませたおじさんは「じゃまた」と言って去っていきました。 教えてくれてありがとうございました! 私も「のどの神さま」にお祈りします。「どうかみんなののどを、疫病からお守りください、早く世の中が落ち着きますように…」。 道祖神は、村の守り神らしいので、私の願いをどこまで聞き入れてくださるか分からないけれど、こじんまりした静かな境内で手を合わせていると心が穏やかになり、安らぎを感じました。
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偶然通り掛かった場所で出合えた「のどの神さま」。森林浴もできて癒やされた~。ひさしぶりにゆったりした時間が過ごせました。
熊野道祖神社
住所:福岡県福岡市南区塩原4-11-1 電話:092-541-3545