かつてベートーヴェンの交響曲などのピアノ・トランスクリプションで一世を風靡したフランスのピアニスト”シプリアン・カツァリス”が福岡FFGホールに登場。”ラフマニノフへのオマージュ”と称し、今年生誕150周年・没後50年となるラフマニノフと自身の作品も披露する魅力的なプログラムです。
ピアノ楽曲の可能性を追求、そして音楽が社会にできることを
シプリアン・カツァリスは1951年生まれキプロス系フランス人。数々の国際コンクールで入賞を重ね、ドイツ・グラモフォン、EMI、DECCA、BMG-RCA他、多くの世界的メジャー・レーベルで録音も行ってきました。中でも1984年に発表したベートーヴェンの交響曲第9番(リスト編曲)はレコード・オブ・ザ・イヤー賞の各賞を受賞し、日本でもベストセラーを記録しています。以降、いくつものオーケストラ曲をピアノソロ・バージョンに編曲し、録音を重ねながら演奏会でプログラムに取り上げてきました。ピアノ・トランスクリプションとクラシックピアノ・エンターテイメントの火付け役であったとも言えるでしょう。華麗にしなやかに紡ぎ出されるその音に「鍵盤の魔術師」と謳われてきました。
また、1992年にはNHK教育テレビ(Eテレ)のマスタークラス番組「ショパンを弾く」を制作し、日本のピアノ指導者と学習者達に大きな影響を与えています。2008年北京オリンピック開催時には国家大劇院で「10台のピアノとオーケストラのための協奏曲」を世界初演、加えてオリンピックへの敬意を込めて即興演奏も披露しています。ユネスコ平和芸術家として、世界中で社会貢献活動にも関わり、東日本大震災の際にはすぐに来日し、チャリティコンサート等で多くの支援を行ったことは記憶に新しいところです。
2023年を締めくくるにふさわしいドラマティック・ピアノ
親日家でもあるC.カツァリスが今回の日本ツァーのために組んだテーマが「ラフマニノフへのオマージュ」です。20世紀ロシア最高の作曲家とも言えるセルゲイ・ラフマニノフは今年生誕150周年、そして没後80年です。卓越したピアノ・ヴィルトゥオーゾであり指揮者であったラフマニノフは多くの作品を遺しました。
C.カツァリスは今回のプログラムにラフマニノフの出世作ともなった「幻想小品集」を取り上げています。これはラフマニノフがモスクワ音楽院を卒業した翌年1892年に作曲されました。全部で5曲から構成され、とりわけ2曲目の「前奏曲」は大変有名な作品です。C.カツァリスがどのように彩色豊かな”鐘”を鳴らしてくれるのか大いに楽しみなところです。
そして自身の作曲による「さよならラフマニノフ」(Good Bye Rakhmaniov)は注目すべきプログラムでしょう。哀愁漂う寂しげなメロディががみるみるオーケストラのようなうねりを帯び展開していく様はまさに壮大なドラマです。2023年を締めくくるにふさわしいピアノ・リサイタルになることは間違いないでしょう。
(Text by 樋口洋子)
シプリアン・カツァリス 福岡公演情報
日時 12月9日(土) 13:30開場 14:00開演
会 場 FFGホール(福岡市中央区天神2-13-1)
演奏予定曲目 シューベルト:即興曲集より / ラフマニノフ:幻想小品集
カツァリス:さよならラフマニノフ 他 (曲目は変更になる場合があります)
チケット 一般 4,000円/学生 2,000円 全席指定・税込 ※学生=大学生まで
チケットのお求めは
●イープラス https://eplus.jp ●チケットぴあ https://t.pia.jp (Pコード:249-697)
●エムアンドエム 092-751-8257(平日10:00-18:00)
問合せ (有)エムアンドエム 092-751-8257(平日10:00-18:00)http://www.m-m21.com/
主 催 LEGARE / エムアンドエム
後 援 福岡市
協 力 ㈱ヤマハミュージックジャパン