「天麩羅処ひらお」8つの謎を解く!〜ファンファン調査隊 地元企業大解剖 第9弾〜

 福岡で40年以上愛され続ける天ぷら専門店「天麩羅処ひらお」(以下、ひらお)。その始まりは魚屋・肉屋・八百屋がそろう生鮮食品店でした。今回、そんな「ひらお」の意外と知らない謎に迫ります…!

目次

ひらお 青柳社長を直撃!

ひらお 代表取締役 青柳正典さん

 地元民が足しげく通う、福岡の天ぷら専門店「ひらお」。意外と知られていない「ひらお」の秘密を代表取締役 青柳正典さんに聞きました!

【ナゾ1】「ひらお」の始まりを教えて!

 1977年、先代・河内健次郎さんが福岡市・東平尾に魚屋・肉屋・八百屋がそろう「河内商店」をオープン。その後、隣接地に大衆食堂「ドライブインひらお」を開店させ、定食や麺類を提供していました。店名の「ひらお」は地名の東平尾が由来です。

 当時「河内商店」を営んでいて「魚市場から鮮魚を仕入れられるし、さばく技術もある。天ぷらをしないか?」という声から天ぷらの提供を開始。定食のほか炉端焼きなども提供していましたが、その後業態を天ぷらに統一。1979年に「ドライブインひらお」から「天ぷらのひらお」となってスタートしました。
 ちなみに1号店は、現在の「ひらお 本店」(福岡市博多区)です。

なぜ店内に順番待ちのイスが?

 実は順番待ちのために作られたイスではなく、立って待つお客さんを見て“きついだろう”と思ったことがきっかけ。本店では店内に3列の行列ができ、お客さんがお客さんを案内していた頃もあったそう。お客さんを並べるためではなく、立って待つ人への気遣いから生まれました

【ナゾ2】「ひらお通」な天ぷらの食べ方ってあるの?

 実は「ひらお」の天つゆ少し濃いそうです。天ぷらを大衆料理のように、ご飯のおかずとして食べられるように濃く作られました。昔はどこも天つゆが薄味だったそうで、先代は天ぷらにソースをかけていたほど!
 天つゆは自家製で、日本中のこんぶ数十種の中から1種を選んでだしをとっています。

 大根おろしたっぷりの天つゆに天ぷらをどーんと付けてご飯にのせる、天丼のような食べ方が「ひらお通」の楽しみ方だそうです!

【ナゾ3】天ぷらのおいしさの秘密は?

 揚げ手(フライヤー)には約2年ほどの修業期間があります。まずは天ぷらを配る“配り手”を経験します。配る順番をはじめ、お客さんのタイミング、ペースに合わせて提供するなど、店内の状況を全て把握するための力を養います。※修業期間には個人差があります

天麩羅処ひらお 天神アクロス福岡店 店長 大石尚幸さん

 揚げ手になるためには天ぷらの衣作りから練習します。また、野菜、肉、魚それぞれ油への入れ方・揚げ時間が違うのも同店のこだわり。提供する食材(ネタ)は使用できないため、大根などを使って油に入れる練習も行うそうです。

【ナゾ4】エビ天が真っすぐ! その秘密は…?

 「ひらお」では、仕込みの時点でエビに切れ込みを入れています。また、揚げる時にもエビが真っすぐ揚がるように整えているとか。揚げる前に一手間を加えることで丸まらず、見た目も美しいエビ天に仕上がります!

【ナゾ5】「笑定食」ってなぜ「笑」なの?

 「笑(しょう)定食」は、2022年12月ごろから発売されているメニュー。コロナ禍で世の中が暗い時期だったので、”定食を食べて笑顔になってほしい”という思いから誕生しました。明太子(めんたいこ)、ホッケ、有頭エビ、イカ、野菜3品が味わえる贅沢(ぜいたく)な一品です。

「笑定食」1,100円(大名店、天神アクロス店 1,200円)

 「笑定食」は、間もなく新メニューと入れ替え予定。なくなり次第終了となるため、気になる人は早めの注文を◎。

【ナゾ6】青柳社長が一番好きな天ぷらは?

 青柳社長は「白身とエビ」と即答し、「最初にあの白身とエビがあったから、ここまでこれたと思う」と話します。
 エビはインドネシアやインドで養殖し、社長自ら現地へ足を運んでいます。1㎡(1m×1m)にエビ1尾とストレスの少ない環境で養殖。稚エビから大事に育て、育ったエビは特殊な冷凍方法で運ばれます。

ひらお公式Webサイトから

 養殖池は数年で使えなくなるとか。インドネシアの養殖池では植林を行い、池の再生に努めています。

いもが新しくなる?!

 じっくり時間をかけることで甘さが増すさつまいも。天ぷらのように一気に加熱しても甘くなるさつまいもに出合ったとか。栗のようにホクホクし、甘すぎないのでご飯に合うそうです。味わえる日が待ち遠しいですね。
 今後ほかのネタもいい素材が見つかり次第提供される予定です♪

【ナゾ7】「いかの塩辛」誕生のきっかけは?

 昔、魚屋を営む家庭では当たり前のように作られていた「いかの塩辛」。お店でも出してみようと提供したのが始まりです。最初ははらわたも入れていましたが生臭さからあまり売れず、はらわたを抜いた塩辛に変更。塩辛い塩辛を主張する先代と話し合いを重ね、現在の味わいへと変わっていきました。

 また、当時炉端焼きも展開し、焼き鳥のタレにユズを使っていたそう。このユズを活用できないかと考え、はらわたを抜く代わりにユズを入れ、ひらお名物「いかの塩辛」が誕生しました。

【ナゾ8】「いかの塩辛」アレンジ料理を教えて!

 オススメは「いかの塩辛」を一緒に炒めた「チャーハン」。ユズの香りが広がり、「一番おいしい組み合わせ」と青柳社長も絶賛する一品です。
 また「みそ汁」に入れるのも◎。熱々のみそ汁に「いかの塩辛」を入れると、イカに熱が入り半生っぽくなるそう。気になる人はぜひ試してみて!


 現在7店舗を展開している「ひらお」ですが、店舗拡大を計画しており、今後店舗オリジナルのメニューも展開していく予定です。県外への出店はせず、これからも福岡県内でのオープンを考えています。(ひらお 代表取締役 青柳正典さん)

ひらお 代表取締役 青柳正典さん

天麩羅処ひらお 本店

住所 福岡市博多区東平尾2-4-1
時間 10:30~20:00(閉店20:30)
※定休日なし ※年末年始(12月31日〜1月2日)休み
電話 092-611-1666

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

「ファンファン福岡/サブクリップ」(福岡都市圏内配布、福岡市地下鉄駅駅設置)紙面に掲載した話題、編集部員が突撃取材した話題などを紹介します!

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