新型コロナウイルスの影響で、全国的に不要不急の外出自粛が呼びかけられました。ただこの「自粛」という言葉は曖昧で、人によって捉え方が違ったようなのです。これは4月初旬、私が住んでいる県に緊急事態宣言が出された頃の出来事。ママ友との自粛に対する考え方の違いに、驚き悩んだエピソードです。
少数の集まりならいいの? 私が心配性なの?
緊急事態宣言が出たことで、街の雰囲気はガラっと変わりました。 駅前のショッピングセンターは休業で、私の仕事場のある商店街の人通りもめっきり少なくなりました。スーパーマーケットも時間短縮営業になり、仕事を終えてから買い物に行くと商品の棚はガラガラ状態。残りわずかな食料品や日用品を求める買い物客はどこか殺気立っていて、明らかに非常・緊急事態の物々しい空気が漂っていました。 心配性で怖がりの私は、そんな状況と新型コロナウイルスへの恐怖に縮み上がっていました。そしてそんな時、娘の保育園時代から仲の良いママ友からLINEが届きました。 「みんな元気? 毎日子どもと家にいたら頭が変になりそう。子どももストレスがたまってるし、こんな時はパーッと子連れでホームパーティーでもしない?」 この誘いに私は驚きました。だってその時は自粛中、それも緊急事態宣言の真っただ中です。恐怖のウイルスが、身近に迫ってきているのです。わが家では小学6年生の娘を公園に行かせるのもためらっているというのに、ホームパーティーの招待とは! 私が憤っている間に、グループラインの他のメンバーから次々にメッセージが届きました。 「いいね! 大賛成」 「外出はダメだけど、少人数の集まりはOKなんだよね」 何と私以外の3人はノリノリで、話が決まりかけている…。私の気持ちはOKどころか絶対NG! だったのですが、ここで断ると「神経質過ぎる」とか「空気読めない」なんて思われるかもしれない、という思いが頭をよぎりました。 というのも、私は以前から子どもを川で遊ばせるのをちゅうちょしたり、暗くなってから子どもを1人で帰宅させるのに反対したりして、周りから心配性で過保護だとよく言われていたからです。 6年生にもなるのに、親が断ってしまったら過保護だと娘がバカにされるかな…そうも思った私は、しばらく1人でもんもんと悩むこととなったのです。
行きたいけれど行きたくない…私の決断は
私にだって、パーッと騒ぎたい気持ちはありました。毎日家にこもりっきりの娘にも、友達と楽しませてやりたいとも思いました。 でも同居している実母には持病があり、新型コロナウイルスには絶対感染させられません。もし私がホームパーティーでコロナをもらってしまったら? それを母にうつしてしまったら? 娘がなるのも絶対嫌だし、そもそも私が既に感染している可能性だってあります。自覚しないまま、ママ友や娘の友達にうつしてしまったらどうしよう? 自分は無症状でも、相手は重症化してしまうかもしれません。 そんなことを考えてしばらく悩んだ結果、私はホームパーティーの招待を断りました。どうせ私は心配性の過保護キャラ、今さらキャラ変に命を懸けることはないでしょう。断ったことでグループから外されたとしても、それはそれで別に構わないと思ったのです。 それから毎日、コロナの感染者数は増える一方でした。高齢者だけでなく若者や子どもの重症化もありうるとのニュースを見ながら、私はあの誘いを断ってよかったと、ため息をつきました。 だって心配性の私のこと。もしホームパーティーに参加していたら、感染していたらどうしよう、させてしまっていたらどうしようと、毎日ハラハラして心が安まらなかったことでしょう。 LINEに送られてきた楽しそうな写真を見て、全くうらやましくなかったといえばうそになりますが、私はママ友グループに流されなかった自分を、少しだけ誇りに思っています。 (ファンファン福岡公式ライター/あいちー)