5歳・7歳の息子を持つママライター、永野栄里子です。
子どもが小さいうちは、保護者のお財布から諸々の費用を出すことが多いものの、成長とともに「自分でお金を管理したい」「自由に使えるお金が欲しい」という要望も出てきます。
中学生・高校生になるとおこづかいは当たり前というイメージですが、小学生はいつから渡せばよいのか、金額はどうするか迷うこともあるのではないでしょうか。
今回は、小学生のおこづかいはいつからがよいか、金額相場などを解説します。渡し方や使い道、注意点なども知り、子どもが正しいお金の使い方を学ぶ機会を作りましょう。
子どものおこづかい、いつからあげる?
まずは、おこづかいをいつからあげるとよいのか、2017年の調査結果をもとに見ていきましょう。おこづかいをスタートするタイミングは、ご家庭によってさまざまです。
低学年から渡すケースは少ない
東京大学とベネッセ教育総合研究所の「子どもの生活と学びに関する親子調査2015-2017」によると、小学校低学年で金額を決めておこづかいを渡しているご家庭は、14.4%、渡していないというご家庭が70.6%でした。
わが家のケースですが、小学2年生の長男には決まったおこづかいを渡していません。基本的には親の財布から諸々のお金を出していますが、祖父母からもらったお金などは、半分は「日頃使うため」に私が預かり、半分は貯金箱に入れています。
イレギュラーなおこづかいは月に1度も発生しないので、わが家も「渡していない」の部類に入るのではないでしょうか。
「高学年になってから」という家庭は多い
前項の「子どもの生活と学びに関する親子調査2015-2017」の結果からわかる通り、小学校高学年になると、決まった額のおこづかいをもらう子どもは大幅に増加します。「金額を決めていないが渡している」も含めると、その割合は半数を超えており、お小遣い制度の導入は高学年で多いことがわかるでしょう。
中学生からお小遣い制に、という回答も少なくない
中学生・高校生になると7割以上のご家庭で、お小遣い制度が導入されます。額が「決まっている」「決まっていない」のどちらもパーセンテージは上がっているので、中学生になってからおこづかいでやりくりするようになるケースも少なくないようです。
小学生と比べると、中学生や高校生はご家庭で過ごす時間が減ったり、習い事の合間に軽食を摂ったりと、大人のいない環境で過ごす時間が長くなります。よって、お小遣い制で子どもにお金の管理をさせる必要性がより上がるのも、おこづかいを渡す理由の1つではないでしょうか。
子どもの生活と学びに関する親子調査2015-2017」 https://berd.benesse.jp/up_images/research/All_oyako_tyosa_2015_2017_web.pdf
子供のお小遣いはいつから?平均いくら? https://hoken-mammoth.com/leads/children-pocket-money/
【小学生のおこづかい】制度別メリット・デメリット
小学生のうちからおこづかいを渡そうと決めたら、どのような形態を取るかも考えましょう。おこづかい、というと毎月決まった日に決まった額をもらうイメージも強いですが、昨今は大きく4つの制度があり、それぞれメリット・デメリットが異なります。
「定額制」「報酬制」「一括制」「都度制」のメリット・デメリットは次の通りです。
定額制
定期的に決まった金額を渡す「定額制」は、最もスタンダードなお小遣い制だといえます。毎月いくらと決めて渡す場合もあれば、週ごとに渡すなど、渡し方はさまざまです。
定額制のメリットは、一定期間を決まった金額で過ごす計画性が身につくことでしょう。特に、毎月1回のおこづかいは社会人になってからの給料日のようなもの。子どもの頃から月々のやりくりを考えられる、よい勉強の機会となります。
一方で、「何もしなくても定期的にお金がもらえる」のは、定額制のデメリットです。給料とは異なり定額制のおこづかいは何かの対価ではないので、働いてお金を得る苦労を知ることはできません。
一括制
1年の始まりに、1年分のおこづかいをまとめて渡す方法が一括制です。新年を迎えた1月からを1年とするケースもありますし、年度初めの4月に一括でおこづかいを渡すご家庭もあります。
一括制は定額制以上にやりくりが求められるので、お金を管理したり使い方を考えたりする能力が、さらに高まるのがメリットです。しかし、はじめに渡す額が大きすぎると、子どもが上手にやりくりできずお金が足りなくなることがあります。
保護者がはじめにルールを決め、お金の使い方や保管方法について指導できないと、追加でお金を渡すことになり、結局お金の価値がわからず必要以上の出費になるなどのデメリットが生じるため、注意しましょう。
報酬制
報酬制はその名の通り「成果報酬」としておこづかいがもらえるもので、お手伝いや学校の成績、習い事での成果などに応じてお金を渡します。
「お風呂を掃除したら」「テストで100点を取れたら」など、何かをする、課題をクリアすることでお金がもらえるので、子どもは労働の対価としてもらえるお金の価値を理解できるでしょう。また、積極的にお手伝いや勉強に打ち込むきっかけにもなります。
ただし、報酬に該当しないタスクに対して消極的になる可能性はゼロではありません。「ご褒美がもらえないならやらない」という考え方を持ってしまうと、報酬制にしたことが裏目に出ることもあるため注意が必要です。
都度制
欲しいものがあったり、お金が必要な場面に直面したりした場合に、その都度おこづかいを渡す「都度制」は、保護者の方になぜお金が必要か、いくら欲しいのかということを説明する力、つまりプレゼン能力や交渉力が養われるというメリットがあります。
また、使い道が明確なので子どもは無駄遣いをせず、保護者の方も不要な出費を避けられるのも、メリットの1つです。しかし、必要になればお金がもらえるという状況では、自分でお金の管理をする勉強はできません。お金の価値が理解しにくいのは、都度制のデメリットだといえます。
小学生にお小遣いはいつから渡す?平均額や管理方法もあわせて解説 https://www.resonabank.co.jp/kojin/column/kinyukyoiku/column_0002.html
【小学生のおこづかい】金額相場と頻度
小学生の子どもにおこづかいを渡そうと思った場合、いつから渡すかに加えて、いくら渡せばよいのかという金額も気になるところです。また、前述のお小遣い制を見てもわかる通り、制度によって渡す頻度もさまざまなので、どういった頻度でおこづかいを渡すべきかも、迷う点ではないでしょうか。
ここからは、小学生のおこづかいの金額相場と、お金を渡す頻度について解説します。
おこづかいの妥当な金額は?
子育てメディア「ママソレ!」が、小学生から高校生の子どもを持つ保護者に実施したアンケートによると、小学生のおこづかいは月1,000円前後というご家庭が多いようです。
2学年ごとの平均値・中央値は上図の通りで、学年が上がるほどおこづかいの額が上がることがわかりますね。
また、2015年~2016年の、金融広報中央委員会「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度」では、小学生のおこづかい金額について、以下のような結果が発表されています。
中学年・高学年の平均値は上がっており、特に高学年は8年前と比べて500円以上も多くなっています。また、低学年・中学年の中央値も上がっていますが、物価の高騰も影響しているのでしょうか。
おこづかいを渡す頻度はどうしてる?
子どもにおこづかいを渡す頻度は、どのようなお小遣い制を実践するかで変わってきます。前述の「ママソレ!」の調査によると、1ヵ月、1週間など「定額制」で渡しているご家庭が最も多い結果となりました。
次いで必要に応じて渡す「都度制」、さらに「報酬制」で渡しているというご家庭も、全体の2割強存在し、不定期でおこづかいを渡すご家庭も少なくないことがわかります。
おこづかいを渡す頻度は、どのお小遣い制を選択するかにより変わってくるので、ご家庭で相談したうえで決めるのがベストなのではないでしょうか。
【2023年最新】お小遣いの平均はいくら?小学生・中学生・高校生別のパパママにアンケート! https://mama.chintaistyle.jp/article/survey-2023-okodukai-heikin/
子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度 https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/kodomo_chosa/2015/
渡したおこづかいの使い道は?含まれない費用もチェック
おこづかいを渡したら、子どもに必要なお金はすべてそのなかでやりくりするべきだと思われる保護者の方もいるかもしれませんが、なかにはおこづかいに含まれない出費もあります。
おこづかいの使い道や含まれない費用については事前に把握し、お小遣い制をスタートする前に子どもに説明しておくと、導入後がスムーズです。
おこづかいは何に使う?
「子どものくらしとお金に関する調査(第3回)2015年度」によると、小学生のおこづかいの使い道で最も多いのは、お菓子やジュースの購入です。
低学年はおもちゃ、ゲームをする、家族へのプレゼント、文房具の購入などが続き、中学年はゲームソフトやおもちゃ類、ゲームをする、文房具、マンガの購入が、使い道の上位となっています。
高学年になっても、ゲームソフトやおもちゃ類の購入は2位ですが、マンガ、本や雑誌、家族へのプレゼントが3~5位となっており、ゲームセンターで遊んだり、文具類を購入したりするのにおこづかいを使う機会は減るようです。
おこづかいに含まない買い物の例
おこづかいを渡しているといっても、月に1,000円前後ですべての必要経費をまかなうのは難しいこともあります。
どこまでおこづかいで支払い、どこからを保護者の方が負担するのかはご家庭によってさまざまですが、たとえば交通費や食事代、旅行のお土産などは、特に学年が小さいほど保護者が負担することは少なくありません。
また、文具類も子どもの趣味で集めているキャラクターなどのものはおこづかいから、学校で必要なノート類などは保護者が購入するというような線引きをしているご家庭もあります。
おこづかいでやりくりするものとそうでないものは、事前に決めておくのがおすすめです。イレギュラーな事態が発生することもありますが、その場合も都度ルールを決め、その後に生かせるとよいでしょう。
子どもへのお小遣いはいつから?金額は?小学1年生からスタートしたリアルな体験談 https://mama.chintaistyle.jp/article/child-okodukai-taikendan/
あげすぎ注意!よりよいお小遣い制導入のための注意点
おこづかいを渡すことで得られるメリットは多くありますが、一方で子どもが自分でお金を持つことで発生するデメリットもあります。たとえば選択したお小遣い制によっては、子どもに必要以上のお金を持たせてしまうことにもなるため、注意が必要です。
最後に、お小遣い制導入前に知っておきたい注意点を確認しましょう。
事前にルールを決める
「そろそろおこづかいを」と思っても、保護者の方の方針が決まる前にお金を渡し始めるのは懸命ではありません。お小遣い制導入前には大人のなかでルールを決めて、子どもに説明できるようにしましょう。
どういった制度を取るのか、金額や渡すタイミング、お金の管理方法、おこづかいに含むものと含まないものなどは、最低限決めておきたい事柄です。管理は、おこづかい帳をつけるのが最もスタンダードな方法だといえます。
そのほかにも、不安なこと、事前に決めておきたいことがあればリストアップして、ときには子どもと話し合いながらルール決めをしましょう。
ルールを守れなかった場合についても話し合う
おこづかい帳をつけることのほか、友達とお金の貸し借りをしない、無駄遣いをしないなど、事前に決めたルールが守れなかった場合のペナルティはどうするのかも、事前に話し合っておくとよいでしょう。
次のおこづかいはなしにする、報酬なしでお手伝いをする、手持ちからいくらか没収するなど、お小遣い制によってペナルティは異なりますが、お金の大切さを理解するためにも、決めたペナルティは必ず実行することも、忘れてはいけません。
しかし、一方的に決めた厳しすぎるペナルティでは、子どもが反発する可能性もあります。ペナルティは事前に子どもと話し合い、納得できるものにすることも重要です。
使い道・使い方について教える
いままでまとまったお金を持ったことのない子どもがいきなり500円、1,000円というお金を渡されると、使い道や使い方を誤ることもあります。お小遣い制導入前には、おこづかいを何に使うか、どのように使うかを教えることも、保護者の方の役割の1つです。
おこづかいに含まれるものとそうでないものを明確にしておくと、この説明が楽になります。定額制の場合は計画性を持って使うこと、報酬制や都度制の場合は「状況によってはいつでももらえるから」と、もらったお金を無駄にしないことも、事前に説明しましょう。
足りなくなったらどうするかも考えておく
定額制、一括制の場合は特に、「おこづかいが足りない」という事態に陥る可能性があります。足りない場合はどうするかというルールについても、ぜひ事前に話し合ってください。
たとえば、保護者の方からのタスクをクリアできたら上限いくらまで追加できる、翌月分からいくらまで前借りできるなど、必要以上に渡さないものの、子どもが納得できるルールを決めるとよいでしょう。
反対に、報酬制、都度制の場合は「上限をどうするか」を決めるのがおすすめです。何かをすればするほど、必要になればなっただけ際限なくおこづかいがもらえる環境は、子どもにとって最善とは限りません。
どういったお小遣い制を実践するかで、生じる可能性がある問題は変わってきます。状況によっては制度を変更するなどしながら、子どもにとってよりよいおこづかいの渡し方やルールを確立していきましょう。
子どものお小遣いはいつからあげる?小中学生の平均額やルールを解説 https://www.77bank.co.jp/financial-column/article15.html
小学生のおこづかいはいつからでも◎金額を決めてお金の大切さを学ばせよう
おこづかいは小学生になってから渡し始めるご家庭もありますが、高学年や中学生になってからお小遣い制をスタートするケースも多いといえます。いつから渡すか、金額やルールはどうするかは、お子さまの成長に合わせて保護者の方が相談して決めるのがベストです。
おこづかいのやりくりは、お金の大切さや管理を学ぶよい機会になります。しかし、お小遣い制にはメリットだけでなくデメリットも存在するので注意が必要です。
おこづかいがお子さまの成長や日々のやりがいや喜びにつながり、さまざまな面によい影響を与えるものになるよう、保護者の方もサポートしていきましょう!