猫を飼っていると、かわいくてつい抱っこしたくなります。けれど、抱っこされるのが好きな猫は、どちらかというと少数派ではないでしょうか。もちろんすんなり抱っこされる猫もいますが、どんなに懐いていても抱っこを好まない猫もいます。11匹の猫を飼う私が心がけている、猫を上手に抱くコツを紹介します。
抱っこの好き嫌いは体型に関係あり?
猫は基本的に、あまり抱っこを好みません。本来、警戒心の強い猫の習性からなんとなく想像できますが、それ以上に体を束縛されることが嫌なのでしょう。 確かに、くつろいでいるときに無理やり体を持ち上げられて動けなくされたら、嫌がるのが普通でしょう。抱っこ嫌いの猫は、「自由にさせてよ」と訴えているのです。もっと言えば「抱っこしたい」というのは人間のエゴに過ぎません。ですから猫は、どんなに懐いている相手であっても、無理やり抱っこされるのを嫌います。
ただ、中には「抱っこしてくれ」と上目遣いで甘えてくる猫もいます。私の経験では、比較的肉付きが良いぽっちゃり体型の猫は、抱っこを嫌がらないようです。 逆に、ぜい肉がないスリムな体型の猫は、抱っこを嫌がる傾向にあります。きっとおなかに脂肪が少ないと、抱っこしたときに肋骨(ろっこつ)が当たって痛く感じるのでしょう。わが家では11匹の猫を飼っていますが、小柄な猫はあまり抱っこを好みません。抱き上げようとすると、手からすり抜けるようにして逃げてしまう猫もいます。
こんな抱き方に気を付けて
抱っこを嫌がるのは、抱き方に問題がある場合も考えられます。 こんな抱き方はNGです。 上半身だけをつかむ 猫にあまり慣れていない人がよく行う抱き方です。上半身だけをつかんで持ち上げると、上半身にばかり負荷がかかり、下半身はだらんとして体勢が不安定になってしまいます。 首の後ろをつかむ さすがに最近はほとんど見かけませんが、首の後ろをつかむと落下の危険があります。そもそもこれは、母猫が子猫を移動させるときの方法です。人間の力は猫よりも強く、成猫をこのように持ち上げるのは無理があります。 おなかを圧迫する 基本的に、猫はおなかを触られるのを好みません。デリケートな部位なので、抱くときにおなかに手をかけて圧迫するのは避けましょう。 振り回す 「高い高い」のように振り回しながら抱くのもやめましょう。体に負担がかかりますし、暴れて落下する危険もあります。
ではどうすれば上手に猫を抱けるのでしょう。ちょっとしたコツで、抱っこが苦手だった猫を抱っこ好きにさせることが可能です。 猫が寄って来たら、まず優しく声をかけましょう。いきなり抱き上げると、びっくりして暴れることがあります。 抱き上げるときは、まず両手を猫の両脇の下に入れて持ち上げ、すぐに片方の手を腰の下に添えましょう。こうすると上半身だけに負荷がかからずに、下半身も支えることができます。持ち上げるときはゆっくりと、抱っこに慣れていない猫はあまり高く上げないようにします。 なるべく猫と自分の体の間に隙間ができないように、包み込むように抱くと体勢が安定します。ただし、ギュッと抱き締めないようにします。これで猫は暴れることなくおとなしく抱っこさせてくれます。 それでも抱っこを嫌がる場合は、まず膝に乗せるところから始めましょう。慣れてきたら次は座ったまま抱いてみましょう。立ったままよりも座った姿勢で抱く方が難易度が低いので、初心者にはおすすめです。 最後に、どんなに抱っこが好きな猫でも、長時間は続きません。尻尾を左右にブンブン振り始めたら「もうやめて」のサインなので、地面に下ろしましょう。抱っこに限らず、猫と接する上で大切なことは思いやりです。 (ファンファン福岡公式ライター/のらくろ)