最近わざと悪いことをしてる気がする… わざと兄弟に意地悪する子に困っている… それはもしかしたら「試し行動」をしているのかもしれません。子どもに見られる「試し行動」とはどんなものなのか、親や大人はどう対処したらよいか、元保育士ライターが試し行動について調べてみました。
試し行動ってなに?
「試し行動」とは、子ども自身がいけないと分かっているのにわざと困らせる行動をとり、親がどこまで許してくれるのか、どんな反応をするのかを確かめるための行動のこと。
ただただいたずらっ子なわけではなく、
・ダメだと理解している
・大人の反応をみている
というのが試し行動の特徴です。自分は大好きな親からちゃんと愛されているのか、ぼく(わたし)のことをちゃんとみてくれているのかをたしかめているのです。
子どもが起こす試し行動の具体例
子どもの試し行動は、親だけでなく保育園・幼稚園の先生や大好きな友達にたいしても見られます。どんな場面での行動が試し行動といえるのでしょうか。
・大人の顔を見ながら物を投げる、壊す
・お友達のおもちゃをわざととる
・友達を叩く、噛む
・静かにしないといけない場でわざと大声をあげる
・食べ物をこぼす、床に捨てる
・兄弟にしつこくちょっかいをかける
これらの行動は、子どもの成長過程においてしばしばみられるものでもあります。対応の仕方に悩んでしまうこともありますが、試し行動をする子どもの心理・背景をみてあげて根気よく向き合ってあげると満足して試し行動が減少し、やがて落ち着いてきます。
保育現場で体験した子どもの試し行動
元保育士ライターも実際に保育現場で試し行動かな?と思う体験をしたことがあります。しっかりものの3歳の男の子が、お友達へのちょっかいや手を出すことが多くなってきて気になっていました。お話をするといけないことと分かっているようですが、お友達に怒っているというよりもちょっかいをかけて先生の反応を楽しんでいるようにも見えたのです。
その頃、男の子のママは仕事が忙しく保育時間も早朝から夜遅くまで延長していたため、保育園にいる時間も長くなっていました。環境の変化や、寂しい気持ちから担任の気をひきたいと思っていたのかもしれません。
保育士の対応としては、注意するときは一対一でしっかりと対応。延長保育などでゆっくりと関われる時には膝の上で絵本を読んだり一緒に遊んでコミュニケーションをできるだけとれるよう配慮しました。少しずつわざと怒られるような行動も少なくなり、先生に甘えたい時にはそーっと膝の上にのって甘えてくれるようにもなり落ち着きました。
家庭でも、忙しい時に限ってわざとやってる?! と思うような子どもの試し行動に悩んでいる親もいるのでは。イライラしてしまう気持ちに深呼吸して、行動の裏にある原因や子どもの想いに目を向けてみましょう。
試し行動の原因
子ども達が試し行動をしてしまう原因にはなにがあるのでしょうか。育て方が悪いの?愛情不足?実はさまざまな要因が組み合わさっているのです。
愛着形成が不完全
子どもは、親からたくさんの愛情を受けて信頼感を育み愛着形成をしていきます。愛着形成とは、大切にされることで生み出される絆のこと。この愛着形成は子ども達が成長するなかで欠かせない重要なものです。
この愛着形成が不完全なままだと、「ママは本当に好きでいてくれてるのかな?」「自分の存在価値がどこにあるのか分からない」などと感じ、人を信頼できなくなったり人を試すような試し行動にでる場合があります。
ママパパの愛情をはかりたい
愛着形成がしっかりされており、親や周りの大人との信頼関係が上手に築けている場合でも何か寂しい思いをしたり、甘えたい時には「パパママはどのくらい好きでいてくれてるかな?」「もっとかまってほしいよ」という気持ちから試し行動をするときもあります。
例えば、ちょっと親に叱られてしまった後や、他の兄弟が親に甘えている時など日常のちょっとしたことがきっかけで行動にでることもあるでしょう。
環境の変化
生活環境が変わると子供も精神的に不安定な気持ちになることが多々あります。引っ越しをした、妹や弟が生まれた、幼稚園から小学校へ進学したなど何か変化があった時にも試し行動は起こりやすくなります。
赤ちゃん返りも一種の試し行動です。愛情が赤ちゃんに向いてしまっているのではと不安になったり、自分も赤ちゃんにもどればもっと大事にしてもらえるかもという気持ちからわざと試し行動をとる子もいます。
この人がどんな人か知りたい
親以外の保育士や幼稚園の先生などに試し行動をとる子もいます。新しい先生だけにする子もいますが、それは「この人はどんな先生かな?」「ちゃんと大事にしてくれるかな?」という相手のことを知りたい気持ちから起こる行動かもしれません。
わざと先生の指示に従わなかったり、先生の顔色を伺いながらいたずらをしている姿もよく見られますね。先生との信頼関係が強くなったり、先生に慣れてくると自然に試し行動がなくなることも多いです。
このように試し行動は愛情不足だけが原因ではなく、さまざまな事柄がきっかけになっています。沢山愛情をこめて育てていてもちょっとしたことで試し行動が行われることもあるため、成長過程の一つととらえておおらかな気持ちで対応してあげましょう。
知っておきたい!「試し行動」の対処法
子どもが試し行動をする際には、何か子どもなりの心理やメッセージが隠れている場合が多いです。頭ごなしに叱るのではなく、試し行動をとった理由を考えてから子どもに寄り添った対処をしましょう。
どんなあなたも大好き!と伝える
試し行動をする原因が、寂しくて・親の愛情を試しているというものであるなら、今以上に子どもに大好きな気持ち、大切にしているという気持ちを伝えあげましょう。ありのままの姿の子どもを受け止めてあげてください。
試し行動をとった後だけ対応するのでなく、何気ない日常でスキンシップを沢山とったり、子どもが満足するまで甘えさせてあげてもOK。甘え癖がついてしまうのではと心配することもあるかと思いますが、子どもは満足すれば精神的にも少しずつ自立していきます。
わが家では、寝る前に必ず「おやすみ だいすきよ」と赤ちゃんの頃から子ども達に伝えています。もう小学校高学年になる長女にもです。子どもに「もうやめて!」と言われるまで毎日愛を伝えていく予定です!
善悪はしっかりとお話しよう
お友達に手を出したり、噛んだりしてしまうような試し行動や、危険な行為をした時にはしっかりといけないことはいけないと伝えましょう。
幼稚園年中や年長くらいの子どもなら、自分以外の相手の気持ちを考えられるようにもなってきます。なぜその行為がいけないのか・相手がどう思うのかなどを一緒に考えさせてあげられるように時間をとって話してあげましょう。危険な行為をわざとする時には、子どもが怪我をしたら親も悲しい気持ちになることも伝えるとよいですね。
過剰な反応はしない
1、2歳児における試し行動の一つにわざといたずらをして大人の反応を楽しむ場面も見られます。幼稚園児や小学校低学年でもわざと「うんこ!」「おしっこ!」など人前で大きな声で言う子もいますよね。そのような場合は、過剰に騒がず、スルーするのもあり。
スルーするといっても子どもをほっておくのではなく、その行為にのみスルーして、違う話題に変えたり、遊びに誘うなどしてコミュニケ―ションを継続しましょう。
学校・園に相談するのもあり
環境が変わったり、気持ちが不安定になっている子は家庭だけでなく学校や幼稚園・保育園でも試し行動をする場合があります。最近家での試し行動で気になることがあった場合は、園でもあるのかなど先生に相談してみるのもあり。
子どものさまざな場面を観察することで、試し行動の原因もみえやすくなります。不安な時には親だけで抱え込まず是非身近な保育士などに相談してみてくださいね。
試し行動も成長の一つと考えてドンと構えよう
試し行動をとることを問題行動ととらえず、成長過程の一つと思って親もどんと構えましょう。同じことを繰り返しされると親だって人間ですから時にはイラっとしてしまうこともありますよね。
しかし、そんな親の反応こそを子どもがみています。困ったことがあれば深呼吸して子どもの様子をしっかりと受け止めてあげたいですね。大事な子供に大好きな気持ちを沢山伝えてあげてくださいね。