小学1年生の息子。お弁当箱や筆箱の中に、思いもよらない物を入れて帰ってきます。驚いたり叱ったりした鳥肌ものの大事件でしたが、最後には親子で感動する結末も待っていて…。子どもと過ごす時間はワクワクであふれていると実感した、忘れられない思い出になりました。
虫が大好きな小学1年生
私の息子は虫が大好きです。
春はチョウを追いかけ、夏はクワガタ・カブトムシを探し回る。秋はバッタを捕まえ、冬は越冬中の虫カゴを抱きしめる…。幼稚園の頃からそんな性格だった息子は、小学校に入学すると虫と共に帰宅するようになりました。
「今日はテントウムシと帰ってきたよ!」と、握られてホカホカになったテントウムシを差し出されるような毎日。しかし、特に困ることはありませんでしたし、何より息子が喜んでいるので、私も笑顔で息子と虫を可愛がっていました。
お弁当箱の中にいたのは…?
しかし、息子が小学校に入学してはじめてのお弁当持参の登校日。私にとって、大きな事件が起きました。
「完食したかな?」と軽くなったお弁当箱をパカっと開けると… 黒くて小さい20匹前後の生き物がウジャウジャと動き回っていたのです!
驚きすぎてお弁当箱を落としてしまった私。床の上を小さな生き物が歩き回ります。中にはまん丸になっているものも…。
「あ、ダンゴムシだ」私は痛みを感じるほどドキドキしている胸をなでながら、冷静になるよう深呼吸をしました。
そして、息子を呼び、優しく注意をしました。
「お弁当箱にダンゴムシが入っているとびっくりするから、二度としないでね」と伝えると、息子は
「ダンゴムシは雑食だから残り物を食べてくれるんだけどね! でもママが間違って食べたら大変だもんね」と、得意気な表情で繰り返さない旨を約束してくれました。
筆箱の中も大変な事態に
しかし2週間ほど経過したある日、再び事件が起こりました。
息子のかわりに鉛筆を削ってあげようと筆箱を開けると、消しゴムを入れる場所に5匹以上のアリジゴクがぎゅうぎゅうと入っているではありませんか…! アリジゴクには角もあるので、風貌はまるで鬼のよう。ダンゴムシ以上に迫力があります。
さすがに2回目なので、苛立ってしまった私。
「生き物を虫かご以外の入れ物に入れちゃダメでしょ!」と息子に駆け寄り、大声で怒鳴ってしまいました。
しかし息子は
「お弁当箱には入れてないし、ダンゴムシでもないよ! 約束はやぶっていない!」と猛反撃。
そして
「確かに…」と妙に納得してしまった私。
改めて
「虫は虫専用の入れ物じゃないと死んでしまうかもしれないよ。虫かご以外には絶対に生き物を入れないでね」と、伝えなおしました。
すると
「そうだね。死んだらかわいそうだからもうしない…」と息子も理解した様子。そして、
「アリジゴク… 家で飼ってもいい?」と目を輝かせながら私に尋ねてきたのです。
成長に感動!
特に大きな蟻地獄3匹が息子によって厳選され、3匹は私達家族の一員になりました。息子は虫かごの中にサラサラの砂をたっぷり入れ、雨風をしのぐ、ごはん付きの「アリジゴク楽園」をつくりあげた様子。
息子によれば
「ツノがかっこいいから、もっと大きくしたい!」のだそう。息子は1日1匹のアリをアリジゴクに渡し、成長を見守りつづけました。
その後、しばらくすると虫かごの中に美しい生き物が現れました。どうやらアリジゴクが、ウスバカゲロウに羽化したようです。
息子はアリジゴクが羽化することを知らなかったようで、ジャンプしたり覗いたり、興奮を隠しきれないといった様子です。
「かっこいい蟻地獄が、こんなにキレイな虫になるんだね」と大喜びしていました。
私もとても感動しましたが、息子の虫好きがより深刻になったので、今後また“虫事件”が起こるのではないかとハラハラしています。
しかし息子の影響で、私も虫への愛情が深まったのも事実。息子の出会いは「虫・人間問わず」に見守ってあげたいと感じた、母性も深まる貴重な出来事になりました。
(ファンファン福岡公式ライター / 綿毛たんぽぽ)