「もう来なくていいから」勤務初日に謎の高熱 ずる休みだと思われクビに…

みなさんは『クビ』を経験したことありますか? ほとんどの方がないと思いますが、私はあるんです。それも、一度も出勤せずに…。今回は、私が人生で初めて経験した、バイトをクビになった話をご紹介します!

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バイト初日に謎の高熱

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 当時私は都内で一人暮らしをしている専門学校生の18歳。仕送りでは足りず、求人でバイト先を探していました。見つけたのは、歯科助手。家から近く、時給も高く、学校後から勤務できるいい条件!
 白衣が可愛く、歯科助手という響きにもつられ面接を申し込みました。

 結果はその場で採用。白衣とエプロンを受け取り、3日後の初日をとても楽しみにしていました。

 バイト初日、月曜日の朝。目が覚めた瞬間に「あ、熱だ」とわかるほど身体が熱い!
 測るとなんと40℃! 身体は強いほうで、こんな高熱を見たのは初めて。一人暮らしだったこともあり不安になると同時にバイトのことを考えて青ざめました。

 インフルエンザかな? と病院へ。しかし発熱から時間が経っていないため検査はできず、解熱剤をもらって帰ることに。げっそりしながら帰宅後、バイト先に電話をしました。

 「〇〇歯科です」電話に出たのは、面接をした院長。
 「本日から勤務の佐藤です。今朝から40℃の熱があり、初日でご迷惑をおかけしてしまうのですが、お休みさせてください」

 私が言うと、院長は
 「あーそうなんだ。インフルかもね! また検査したら教えて」と優しく言ってくださり、ほっとしながら電話を切りました。

 解熱剤を飲んでも39℃で、食欲もなく寝たきりで過ごしました。次の日も40℃。私は検査をしに病院へ。ぼーっとする頭で結果を待っていると…
 「陰性ですね」と医師が言います。
 「えぇ…」インフルエンザじゃないの?

 他の症状はなく高熱が出ているだけの私は、「風邪かな?」とざっくりした診断を受け、自宅に戻りました。憂鬱な気持ちで、歯医者に電話をすると、また院長が出ました。
 「昨日お休みをいただいた佐藤ですが…」
 「どうした? インフル?」院長が聞きます。

 「いえ、検査したらインフルではなくて」
 「あれ、そうか。じゃあ今日も欠勤だね、お大事に」
 「すみません、ありがとうございます」申し訳ない気持ちでいっぱいになりながら、電話を切ったのでした。

不機嫌な院長

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 発熱から5日目の金曜日。40℃は下回ったものの、解熱剤が切れるとあっという間に39℃越え。水曜日、木曜と休みでしたが今日は出勤日。まだ熱が下がらないため、欠勤の連絡をすることに。

 電話に出た院長に、
 「すみません。まだ熱が」と言った瞬間
 「まだあるの? そう。お大事に」と切られてしまいました。迷惑をかけているので仕方ないですが、怖かったです。

 でも、全く下がる気配のない謎の高熱に、私自身も不安に。週末、母が駆けつけて看病してくれましたが、相変わらず熱は下がりません。

クビになった日

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 そして、月曜日。朝一で測ると、38.8℃。ため息をつきました。今日もバイトの日。憂鬱になりながら電話をかけました。やっぱり電話に出たのは院長。
 「お休みをいただいている、佐藤です。あの…」
 「あーはいはい、熱が高いのね。働きたくないんでしょ? もう来なくていいから」
 「えっ!」私にかぶせるように早口で言った院長の言葉に、慌てます。

 「働きたくないわけじゃないんです。下がったら…」
 「もういいから」と、冷たく言われました。

 「ご迷惑をおかけしてすみません。でも」
 「いるんだよ。ナース服受け取った途端バックレようとする人! もう来なくていい」

 え… そんな人いるの? 本当に熱だし、働きたくないわけじゃない! 反論したかったですが、そんな元気はなく電話を切りました。

 謎の高熱で心身共に弱っている上に、楽しみだったバイト先からのクビ宣告に愕然。思わず涙がこぼれました。それから2日で熱は無事に下がりましたが、結局、原因は不明。

 しかし冷静に考えると、言葉をかぶせて威圧的に話す院長の元で働くのは嫌なので、働かなくてよかったと思いました。でも、バックレようとする人は小まめに欠勤の電話連絡はしないと思うんですけどね(笑)

 それからは、バイト初日までの体調管理は徹底するようになりました。今でも歯医者を見ると思い出す、ちょっと苦い思い出です。

(ファンファン福岡公式ライター/さとう なつこ)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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