福岡市出身の俳優、イッセー尾形さんの一人芝居「イッセー尾形の妄ソー劇場」福岡公演が1月19日(金)~21日(日)、西鉄ホール(福岡市・天神)で開かれます。「老いたからこそ見える」というイッセーさんのフィルターを通して、今を生きる人々の日常を描きます。1ネタ10~15分で7本を予定し、全て新作。現在、演じる人物を構想中というイッセーさんに、一人芝居の魅力や今回の内容などを聞きました。
「限られた舞台だからこそ、無限の可能性がある」
2023年1月、福岡で10年ぶりに一人芝居を上演したイッセーさん。当初予定した2公演のチケットはすぐに完売し、1公演追加されるほどの盛況ぶりでした。「お客さんからの『これだよ、これ』というダイレクトな反応が感じられて、やってよかったなと思いました。今回も何かを見つけて反応してほしい」とイッセーさん。「舞台に1人だけ。その限られた世界だからこそ、無限の可能性がある」と話します。
1952年2月生まれの71歳。老いを実感するようになり「“老いとは何ぞや”を考えてもマイナスしかない。手足はしびれる、膝はガクガクする、頭もさほどスカッとしない…情けないと思って約半年前に編み出したのが“老いは生のパロディーである”という言葉」。老いを肯定的に捉え、老いたからこそ見える、老いたからこそできる人物表現を目指すと言います。
「舞台は言葉が大事」としつつ、「今は言葉で説明しても、僕のイメージする状況が伝わらないことも。言葉だけでなく実態も出していくような構成が必要かも。福岡ではそういう心配はないですが」と笑みをこぼします。
「舞台上での着替えは、意識をリセットする時間」
今回演じる人物は、サルが出没するシャッター街の薬局の男性、団体客をスナックに案内するホテルのボーイ、老人ホームで歌う演歌歌手などを予定。「どう具体的に面白くするか、それが今の課題です」。
舞台上で次に演じる人物のメイクをし、着替えるのがイッセーさん流。それは「意識をリセットし、素の自分に戻る時間。その時のお客さんへの意識は4分の1くらい。残りの4分の3は次の人物の準備をする自分の隠れ家。若いうちは主に直前にやったネタの後悔でしたが、今は後悔しない。失敗しても崩れないようにと自分に言い聞かせています」。観客にとってはイッセーさんの隠れ家をのぞき見するような感覚で、次はどういう人物が出てくるのか期待が膨らむ時間です。
コロナ禍を経験し、一人芝居への向き合い方に変化も。「コロナ禍の記憶はお客さんにも染みついていると思います。自分の中の過剰を意識する機会であり、過剰と過小の間のニュートラルな自分を強烈に意識せざるを得ない時を経てきた。そういう皆さんの前で、僕はいつだってニュートラルでありたいし、(一人芝居の)ネタをやるのは意義のあることだなと思います」
「イッセー尾形の妄ソー劇場」福岡公演
日時:2024年1月19日(金)19:00
20日(土)、21日(日)15:00
場所:西鉄ホール(福岡市中央区天神2-11-3 ソラリアステージビル6階)
料金:全席指定5,500円 ※税込み
問い合わせ:イッセー尾形事務所
Eメール:info@issey-ogata-yesis.com