日本人にとって、不足しがちな栄養素のひとつであるカルシウム。成長期にあたる小学生の子どもたちにとって、カルシウムは特に重要になってきます。この記事では。カルシウムの重要性や効率よく摂取するためのコツ、摂取の目安量などを2児のママでもある管理栄養士が解説します。
カルシウムの重要性について
ここではカルシウムの重要性や働き、摂取する時のポイントについて解説します。
子どもの成長期にとってのカルシウム
小学生の時期は子どもにとって成長期にあたります。成長期の子どもは骨格が急速に成長し、骨密度が大きく増加します。そのためカルシウムの適切な摂取が大切です。成長期には一生の骨密度の約40%が形成されるため、カルシウム不足は、骨粗しょう症のリスクを高める可能性があります。
カルシウムのはたらき
カルシウムは、骨や歯の健康維持だけでなく、筋肉の収縮、神経伝達、血液の凝固など身体の中でさまざまなはたらきがあります。そのため、適切な量のカルシウムを摂取することは、子どもの健康を支えるうえで欠かせません。
カルシウムを効率的に摂取することが重要
カルシウムの摂取不足は、成長期の子どもにとっては特にリスクが高いといわれています。カルシウム不足を防ぐためには、バランスのとれた食事を摂ることを心がけることが大切です。また、食事だけでなく、適切な量の日光を浴びることによってビタミンDの生成を促すことも、カルシウムの吸収を助けるうえで重要となってきます。
小学生のカルシウムの摂取目安
小学生のカルシウムの推奨量は、年齢や性別によって異なります。6〜7歳で550~600mg、8〜9歳で650~750mg、10~11歳で700~750mgが推奨量です。これはあくまで目安であり、個々の身体的活動量や健康状態に応じても必要量は異なります。(参考:厚生労働省 日本人の摂取基準2020より)
カルシウムの効率のいい摂り方について
カルシウムの効率的な摂取には、バランスの取れた食事と生活習慣が重要。日常の食事にカルシウム豊富な食品を取り入れ、ビタミンDの摂取を意識して吸収率を挙げて、不必要なカルシウムの損失を防いで、効率的にカルシウムを摂るようにしましょう。ここではカルシウムを効率的に摂取するための重要なポイントを解説します。
普段の食事に取り入れること
カルシウムが豊富な食品を日常の食事に取り入れることが基本です。主なカルシウム源としては、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品、ブロッコリーや小松菜などの緑黄色野菜、鮭や小骨まで食べることができるいわしなどの魚介類、豆腐や納豆などの大豆製品などが挙げられます。これらの食品を毎日の食事に組み込むことで、カルシウムの摂取を自然に増やすことができます。たとえば朝ごはんに納豆やヨーグルトをたんぱく質源としてプラスする、昼ごはんにブロッコリーなどの緑黄色野菜を意識して取り入れる、夜ご飯に豆腐の入った味噌汁を飲むなど、さまざまな食品を取り入れるのがポイントです。
ビタミンDと一緒に摂ること
カルシウムは炭水化物やタンパク質に比べて、消化吸収率が低い栄養素。ここからはカルシウムの吸収を高めるためにはどのような工夫が必要になるか解説します。カルシウムの吸収を高めるためには、ビタミンDを摂ることが重要です。ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進する役割を持っており、太陽光によって体内で生成されるほか、魚類やキノコ類にも含まれています。適度な日光浴やビタミンDを含む食品の摂取は、カルシウムを効率的に吸収するのに必要な栄養素です。
食塩やカフェインの取りすぎに注意
カルシウムの吸収を妨げる要因として、過剰な食塩やカフェインの摂取が挙げられます。極端に塩分の多い食事やカフェイン飲料の過度な摂取は、カルシウムの排泄を促進してしまうため、これらの摂取量を適切に管理することが重要です。
サプリメントとの組み合わせもアリ!
食事だけでは不足してしまう場合などは、サプリメントの利用を考慮することも有効な方法です。ただし、サプリメントの摂取は医師や栄養士の指導の下で行うことが望ましいといえます。自己判断での過剰なカルシウムの摂取は、健康リスクを増加させる可能性があるため、適切な量を摂取することが重要です。
カルシウムが多く含まれている食材
具体的にカルシウムを摂るために、多く含まれている食材について紹介していきます。これらのカルシウム豊富な食材を日々の食事にバランス良く取り入れることで、カルシウムの効率的な摂取が可能になります。特に成長期の子どもには適切な量のカルシウムの摂取が特に重要です。バランスの取れた食事と適切な生活習慣、そしてカルシウム摂取を心がけるとよいでしょう。
乳製品
牛乳、チーズ、ヨーグルトにはカルシウムが豊富。なかでもチーズは濃縮された乳製品のため、カルシウム含有量が高く、プロセスチーズ100gあたりに630㎎も含まれています。プロセスチーズはサラダのトッピングやおやつなどに日常に取り入れやすいです。(参考:日本食品標準成分表2020年版(八訂))またヨーグルトは消化吸収が良いため、カルシウム摂取の手段としておすすめです。
魚介類
特に小骨まで食べられるいわしや鮭、サーディンなどの魚類は、カルシウムが豊富です。小骨にカルシウムが多く含まれています。その量は、かたくりいわしのみりん干し100gに800㎎。(参考:日本食品標準成分表2020年版(八訂))これらの魚を丸ごと摂取することがおすすめです。
緑黄色野菜
ブロッコリー、小松菜、ほうれん草などの緑黄色野菜もカルシウムが豊富に含まれています。これらの緑黄色野菜は、カルシウムのほかにもビタミンや食物繊維などの栄養素も豊富です。毎食なにかしらの緑黄色野菜を取り入れるとよいでしょう。
大豆製品
豆腐、納豆、豆乳、きなこなどの大豆製品には、植物由来のカルシウムが豊富に含まれています。乳アレルギーの方への代用品としてもよく使われる大豆製品。最近では、豆乳を使ったヨーグルトなども見かけるようになりました。上手に活用しましょう。
ナッツ・種子類
アーモンド、ゴマ、チアシードなどのナッツ類と種子類にもカルシウムが豊富に含まれています。おやつとして手軽に食べることができるので、ちょっと小腹が空いた時に活躍してくれそうです。
穀物
きびやアマランサスなどの穀物やカルシウム強化されたシリアル製品にも、カルシウムが豊富に含まれています。忙しい朝食にシリアルや穀類を取り入れることで、気軽にカルシウムを摂取することができるでしょう。
カルシウムの過剰摂取に注意
小学生におけるカルシウムの過剰摂取は、さまざまな健康リスクを引き起こす可能性があります。カルシウムは必要不可欠なミネラルであり、骨の健康や身体の正常な機能に重要です。一方で過剰に摂取すると身体に害を及ぼすことがあります。ここではカルシウムの過剰摂取の危険性について解説します。
腎臓へのダメージ
カルシウムの過剰摂取は、腎臓は余分なミネラルを体外に排出するはたらきのある腎臓に負担をかけてしまうおそれがあります。カルシウムは、過剰になると腎臓石の形成リスクが高まることが指摘されているのです。特に小学生は体が成長途中であるため、腎臓に過度のストレスを与えることは避けましょう。
血管・組織へのダメージ
体内のカルシウムバランスが崩れると、骨よりも血中のカルシウム濃度が高くなりやすい状態になります。これは血管や組織にカルシウムが蓄積し、動脈硬化などのリスクを高める可能性があるためです。
消化器系へのダメージ
カルシウムの過剰摂取は消化器系にも影響を及ぼすことがあります。便秘や胃腸の不調、時には吐き気や食欲不振などの症状を引き起こすこともあります。
カルシウムの摂取はバランスが重要
カルシウムを過剰に摂取してしまうと、さまざまなリスクが考えられることがわかります。重要なのは、カルシウムを適切な量でバランス良く摂取することです。小学生の場合、食事から自然に摂取することが基本。サプリメントによる補給は必要な場合に限り、適切な指導のもとで行いましょう。
カルシウムの適切な摂取を心がけよう
カルシウムは、摂ることも大切な栄養素ですが、過剰摂取もリスクが伴うため、適切な摂取が必要です。適度なカルシウムを日々の食事で補って、子どもの健やかな成長をサポートしていきましょう。