福岡の書店員さん、君の推薦する本が読みたい【第63回福岡キミスイ本】

 福岡の書店員さんに福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。63回目は「テントセンブックス」(福岡市東区)の安部賢太郎さんを訪ねました。あわせて、この時期に読みたい話題の6冊を紹介します。

目次

福岡市・香椎が舞台 松本清張ブームの先駆けとなった推理小説

「点と線」松本清張著

テントセンブックスの安部賢太郎さんに聞きました

―こんにちは! 今回安部さんが紹介されるのはどんな本でしょうか。
 松本清張さんの「点と線」(1971年5月新潮社発行、605円、税込み)です。東京と福岡の刑事が足を使って推理していくミステリー小説で、遺体の発見現場が福岡市東区香椎となっています。日本を駆け巡るようなトリックなので、東京、福岡、北海道など場面が次々に移り変わります。

―この本を手に取ったきっかけは?
 昔、香椎駅前で野外映画が上映されていました。そこで上映されていた映画「点と線」を見て興味を持ったのがきっかけです。当時は子どもだったので分かりづらいところもあり、大人になってからしっかり読みました。

「点と線」松本清張著

―実際に本を読んだ感想は?
 昭和30年代の博多や香椎、大伴旅人が詠んだ万葉歌碑などに触れられていて、改めて地名などに親しみを感じながら読みました。特に気に入っているのは、やっぱり香椎が登場するシーンです。博多や天神からの経路が描かれ、靴をすり減らして捜査する場面が好きですね。

―どんな人が購入する印象ですか?
 男女問わず手に取る人が多いです。初めて読むという人はもちろん、もう1回読みたいという人、香椎に引っ越してきた人などさまざまですよ。本書を読みながら香椎周辺を歩いたという人もいました。区画整理などで変わってしまいましたが、読むことで昔を思い出したり、今と昔の違いに気づけると思います。

―おすすめしたい人は。
 旅行が好きな人です。各地を巡るので旅行している気分になります。

イスは自由に利用OK! じっくり本を選んでもらえたら、と安部さん

―「テントセンブックス」について教えてください。
 2021年2月末にオープンしました。店名の「テントセン」は、今回紹介した「点と線」が由来です。「点と線」の舞台が香椎なのと、読書と読書、点と点が線でつながっていくように本を読んでもらえたらという思いで名付けました。

―取り扱い書籍のジャンルは?
 新刊の書籍を中心に、約1,500冊を取り扱っています。1冊ではなく、いろいろな本がつながっていくことで、知っていたことと新しい発見が結びついていくと思います。なのでジャンルも、地元福岡・九州から世界に広がっていくようなジャンルの本をそろえています。

九州関連の本 新しい発見が待っています!

―イベントなどの開催は?
 月に1回「読書会」を開催しています。参加無料で、20〜50代まで幅広く参加いただいています。テーマは最近読んだ本、みんなにお知らせしたい本、本の交換など開催時によりさまざま。参加希望の際は店頭でお尋ねください。

―ありがとうございました! 店名の由来にもなった推理小説、一度読んでみたいです。続けて話題の6冊を紹介します

「お金RPG お金の基本が楽しく学べる!」【Gakken】

あんびる えつこ(監修)/1,430円(税込み)

提供:Gakken

 こんな時、君ならどうする? RPGゲームのようにお金をどう使うかを問うクイズが収録され、楽しくお金の使い方を学べます。小学3~6年生向け。解説テーマは「貯金の仕方」「電子マネーの使い方」「ゲームの課金の注意点」「お金とSDGs」など。ゲーム感覚で学べるため、初めての「お金」の学習にぴったりです。贈り物におすすめ!

「源氏物語 紫式部が描いた18の愛のかたち」【青春出版社】

板野博行 著/1,680円(税込み)

提供:青春出版社

 世界に誇る日本の古典文学作品であると同時に、今読んでも最高に面白い超一流のエンターテインメント作品でもある「源氏物語」。本書では、ヒロインたちの喜びと苦悩から迫る、新しい「源氏物語」の読み方を紹介します。大河ドラマがますます面白くなる一冊です!

「今すぐ、実家を売りなさい」【光文社】

和田貴充 著/1,760円(税込み)

提供:光文社

 両親が元気な人も、他人事(ひとごと)ではありません。「空き家の所有者」になってからでは遅いのです。約17万軒の空き家情報を自社調査し、500人以上の所有者からの相談、全国300以上の自治体との対話を重ねてきた空き家アドバイザーが、空き家というリスクをチャンスに変えるための解決策、あなたに合った活用方法を教えます。

「台北エリア別満喫旅 食べまくり!」【小学館】

門司紀子 著/1,320円(税込み)

提供:小学館

 大人気食べ歩きガイドの最新刊が発売! 訪台50回以上の門司紀子さんが「本当においしく、満足感の高いお店」厳選。台北を8エリアに分け、エリアごとに効率よく、バラエティに富んだ台北グルメを堪能できるルートを紹介します。1日だけの弾丸旅行のほか、2泊3日、長期滞在する旅でも活用できる、欲張りな食ガイドです。

「ざらざらをさわる」【双葉社】

三好愛 著/748円(税込み)

提供:双葉社

 初著書にして「キノベス!2021」に選出された、人気イラストレーターのエッセイ&イラスト集が文庫で登場。結婚して気づいた名前というものの存在…。日常の中で通り過ぎてきた、ちょっとしたでこぼこを、やわらかな言葉と絵で切り取った一冊です。尾崎世界観さんも共感!と本書。落ち込んだ気持ちをなぐさめてくれます。

「アグロエコロジー 持続可能なフードシステムの生態学」【農文協】

スティーヴン・グリースマン 著/5,940円(税込み)

提供:農文協

 持続可能で人類のニーズを満たす農業とは? 生態系と調和する伝統的農業と健全な食料消費システムをつくるため、「科学・実践(農法)・社会運動」を統合する「アグロエコロジー」初めての邦訳。21世紀の農業の姿として、世界銀行や国連、EUなどで小規模・家族農業によるアグロエコロジーを推奨しています。

 いかがでしたか? 日々の疲れを読書で癒やしては。次回もお楽しみに!

著者情報

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