5歳で常用漢字をマスターした天才児「10歳の壁」にあたり不登校に…

息子の幼稚園時代からの友だちA君は、5歳で常用漢字を大人並みに扱う天才児。順風満帆な人生を歩むと思いきや、自己主張の強くなる年齢で不登校に…。今回は、子どもの才能や個性について感じたことをお伝えします。

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4歳児が分数のわり算!?

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 A君は幼稚園の年中から息子と同じクラス。息子と同じくライダーものが好きだったことで仲良くなりました。A君は幼い頃から大人顔負けの口達者で、口喧嘩では誰にも負けたことがありません。口論で勝てない子どもはカッとなって手が出てしまい
 「A君、またお友だちにぶたれてたんだよ」と、息子から頻繁に聞きました。

 そんなA君は、自主学習型の塾に通いはじめたことをきっかけに才能が開花します。
 ある日、私が幼稚園へ息子のお迎えに行くと、私に気づいたA君が駆け寄ってきました。
 「おれね、分数のわり算はじめたんだ!」と、笑顔で言います。

 分数のわり算!? 4歳児の口から出た無邪気な「分数のわり算」に混乱しました。たしか分数は、小学校高学年で取り組むのでは?

 幼稚園はごく普通の園で、特別な教育は行っていません。年長になってようやく簡単な数やひらがなを学ぶ程度です。わが家の息子は、20まで数えられるかどうか…。私は驚きのあまり、
 「A君すごいね!」と、伝えました。しかしA君ママは不安そうな顔で
 「Aは2歳のときにひらがなカタカナを書けるようになって… 一般的な発達と違うみたい。周囲と馴染めるか心配で…」

 言葉尻から子どもの社会性などを懸念していることがわかりました。勉強の心配がないのはありがたいですが、A君ママの心配も理解できます。A君ママの心配をよそに才能を伸ばしたA君は、卒園文集の寄せ書きに「運動会」「お遊戯会」など漢字まじりの文章を書き、周囲を驚かせました。

「天才児」の苦悩

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 小学校に入ったあとも、息子はA君と遊んでいました。しかし、3年になるとクラスが一緒にもかかわらず、A君の話を聞かなくなります。
 「最近、A君と遊ばないの?」と尋ねると、息子は
 「たまに遊ぶけど、A君は難しいこと言うから話が合わない」と、唇を突き出します。

 A君は学校を休む日も多いとのこと。私はA君やA君ママを心配に思いながらも、わざわざ聞くのも失礼かな… と考え、何もできずに月日が過ぎていきました。

 そうして3年終わりの冬、近所でA君ママとばったり会い、話題は子どもたちのことに。
 「Aは今、漢詩にハマってるんだ。私や旦那でもわからない本を読んでてさ、言いたいことを漢詩にして伝えてくることもあるから…」

 漢詩!? 聞きなれない単語にびっくりです。漢詩や古文は高校時代に学んだような気もしますが…。
 息子の「合わない」という言葉も頷けます。あまりにレベルが違うので、漢詩をマスターしたA君にとっては、学校の友だちが「合わない」と感じることでしょう。

 4年に進級し、A君は完全な不登校になりました。その夏、A君ママから「都内へ引っ越す」という連絡が来ます。

才能ある子とのかかわり方

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 夏休み、A君一家は都内へ転居しました。転勤が理由ですが、A君に合った学びの場も見つかったようです。引っ越したあと、息子はときどきA君と通話しながらオンラインゲームをします。

 ある日、ゲームを終えた息子が
 「Aはいいな~ 勉強できるもんな」と愚痴をこぼしました。息子の学力は平均的で、苦手科目は60点なんてこともあります。学力の高いA君が羨ましい気持ちもわかりますが、A君や家族の苦労も察せられます。

 私は息子に
 「君にもいいところがたくさんあるよ、いつも誰かと遊んでるじゃん。誰とでも仲良くできるのは才能だよ」と言うと息子は
 「たしかにそうかも」と、ほっとした様子でした。

 息子とA君は、距離を置いてから関係が良くなりました。
 息子はA君との通話では学校のことを話しませんし、A君も引っ越し先の学びの場に満足しているようで、突然難しい話題を出すことはなくなりました。ゲームという共有できる部分だけ楽しんでいるようです。

 子どもの個性や才能を否定せず、伸ばす働きかけをすると、子どもは自信を持って他人とかかわれるようになるのだなあと、息子とA君を見て感じました。子どものオンリーワンの長所を伸ばすため、私たちには「子育ての壁」が立ちはだかっているのです。

(ファンファン福岡公式ライター/芦谷)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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