福岡市では人権問題を身近に考えてもらうため、5分間の人権啓発ラジオ番組「こころのオルゴール」を制作しています。平成6年度から放送を開始し、30年目になります。
こころのオルゴールを放送
今年度の「こころのオルゴール」は、2023年12月と2024年2月に、それぞれ15日間放送します。身近な人権問題をテーマにお伝えし、人権作文も紹介します。
ナレーターは、福田愛依さん、土居祥平さん、立川生志さんです。
放送スケジュール
<CROSS FM>
◆令和5年12月1日(金曜日)~12月21日(木曜日) 毎週・月~金曜日 16時53分~16時58分
◆令和6年 2月 1日(木曜日)~ 2月21日(水曜日) 毎週・月~金曜日 7時52分~ 7時57分
●朗読動画:「視線入力アプリで広がる可能性」(障がい者)
シナリオ
皆さん、いかがお過ごしですか。福岡市がお送りする「こころのオルゴール」の時間です。今日は私、土居祥平がお届けします。今日のタイトルは「視線入力アプリで広がる可能性」です。
重度障がい者でも、目の動きを使ってパソコンの操作ができる「視線入力」の装置が普及し、特別支援学校や医療機関などで導入されるようになりました。
この「視線入力」を訓練するためのゲームアプリ「EyeMoT」が島根大学の研究室で開発され、全国的に利用が広がっています。アプリは無料でダウンロードでき、初めての人にも使いやすく、障がい者の可能性を引き出すツールとして大変注目されています。
障がい児を持つ母親のコミュニティ、NPO法人「福岡市笑顔の会」代表の渡辺めぐみさんは、1年半前にアイモットと出合いました。そのときの様子を、次のように話してくれました。
【渡辺さん役】現在7歳の息子は、生後3カ月で脳症になり、重度の障がいが残りました。自分で手や足を動かすことも、起き上がることも、話すこともできません。
お世話になっている理学療法士の先生から紹介されたのが、アイモットでした。「今まで何もできない、分からないと思われていた子が、どんなことを考えているか分かるんだよ。真玄くんにぜひ使ってほしい」と言われ、家で試してみました。
ベッドから見える位置にパソコンと視線入力装置をセットして、お絵描きや射的などいろんなゲームの中から、風船割りをやってみました。画面に赤や緑の風船が浮かび上がり、真玄が目を向けると、「パンッ」と音を立てて次々に割れました。傍で見ていたお姉ちゃんがびっくりして、「うわぁ、真玄できるやん!」と褒めたら、ニコッとしたんです。動く風船を仕留めようとする真剣な表情も見られ、感情表現が豊かになり、これからの成長がすごく楽しみになりました。
(ナレーター)渡辺さんは、この喜びを多くの人に伝えようと、理学療法士や福祉施設の経営者と「チーム愛もっと福岡」を立ち上げました。
アイモットにはゲームだけではなく、ひらがなや計算の学習、文章作成の機能もあります。障がいの状態に合わせて、柔軟に活用できる魅力を伝えています。
「障がいがあるからできない」と決めつけるのではなく、支援によって「できる」体験を増やしていくことは、生きる希望となり、可能性を広げていきます。
お問い合わせ
福岡市人権啓発センター
E-mail:jinkenkeihatsu.CAB@city.fukuoka.lg.jp