こころのオルゴール(2)「ユマニチュード」で支え合う(高齢者)

 福岡市では人権問題を身近に考えてもらうため、5分間の人権啓発ラジオ番組「こころのオルゴール」を制作しています。平成6年度から放送を開始し、30年目になります。

目次

こころのオルゴールを放送

 今年度の「こころのオルゴール」は、2023年12月と2024年2月に、それぞれ15日間放送します。身近な人権問題をテーマにお伝えし、人権作文も紹介します。
 ナレーターは、福田愛依さん、土居祥平さん、立川生志さんです。 

放送スケジュール

<CROSS FM>
◆令和5年12月1日(金曜日)~12月21日(木曜日) 毎週・月~金曜日 16時53分~16時58分
◆令和6年 2月 1日(木曜日)~  2月21日(水曜日) 毎週・月~金曜日   7時52分~ 7時57分 

●朗読動画:「ユマニチュード」で支え合う(高齢者)

シナリオ
 皆さん、いかがお過ごしですか。福岡市がお送りする「こころのオルゴール」の時間です。今日は私、立川生志がお届けします。今日のタイトルは「『ユマニチュード』で支え合う」です。 

 福岡市では、2018年から「認知症フレンドリーシティ・プロジェクト」に取り組み、認知症の人が暮らしやすいまちづくりを進めてきました。現在、認知症の市民はおよそ3万8千人。2年後には、全国の65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれています。

 このプロジェクトの中核となっているのが、「ユマニチュード」です。これはフランスの臨床現場から生まれたケアの技法で、「人間らしくある」という意味が込められています。
 福岡市では、自治体として世界で初めてユマニチュードを導入し、認知症のケアをする人に向けて講座を開催しています。この取り組みをサポートしてきた、一般社団法人「日本ユマニチュード学会」代表理事の本田美和子さんにお話を伺いました。

 【本田さん役】介護をしていると、思いが相手になかなか届かず、うまくいかないことがありますよね。そんなときは、あなたのことを大切に思っているという気持ちを、相手が理解できるやり方で表現できていないことが多いのです。
 ユマニチュードは、優しさを相手に伝えるケアの技法です。その技法には、「見る・話す・触れる・立つ」という4つの柱があり、誰でも学んで使うことができます。例えば、相手の正面から目を合わせる、穏やかに話しかける、体をつかまずに下から支える、できるだけ立つ時間を確保するなど、具体的な動作で表します。

 (ナレーター)福岡市在住で、認知症の妻を介護している男性は、「何度も同じことを聞かれてイライラしていた。もう無理だと思って自殺を考えたこともあった」と言います。そんな介護生活が、ユマニチュードの講座を受けて大きく変わりました。手を握って、しっかり目を見て話すと、妻がにこやかになり、会話も弾んで、毎日笑顔で(す)ごせるようになったのです。

 また、ユマニチュードを実践した施設では、介護を拒み続けていた認知症の人が「ありがとう」と介護を受け入れてくれたり、数年ぶりに歩き出したり、多くの変化が起こっています。

 相手を大切にするコミュニケーションは、感謝と喜びを広げていきます。認知症になっても人としての尊厳が守られ、安心して暮らせるまちにしていきましょう。

お問い合わせ
福岡市人権啓発センター
E-mail:jinkenkeihatsu.CAB@city.fukuoka.lg.jp

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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