こころのオルゴール(5)ハンセン病問題を語り継ぐ(ハンセン病)

 福岡市では人権問題を身近に考えてもらうため、5分間の人権啓発ラジオ番組「こころのオルゴール」を制作しています。平成6年度から放送を開始し、30年目になります。

目次

こころのオルゴールを放送

 今年度の「こころのオルゴール」は、2023年12月と2024年2月に、それぞれ15日間放送します。身近な人権問題をテーマにお伝えし、人権作文も紹介します。
 ナレーターは、福田愛依さん、土居祥平さん、立川生志さんです。 

放送スケジュール

<CROSS FM>
◆令和5年12月1日(金曜日)~12月21日(木曜日) 毎週・月~金曜日 16時53分~16時58分
◆令和6年 2月 1日(木曜日)~  2月21日(水曜日) 毎週・月~金曜日   7時52分~ 7時57分 

●朗読動画:ハンセン病問題を語り継ぐ(ハンセン病)

シナリオ
 皆さん、いかがお過ごしですか。福岡市がお送りする「こころのオルゴール」の時間です。今日は私、立川生志がお届けします。今日のタイトルは「ハンセン病問題を語り継ぐ」です。 

 沖縄県に住む元ハンセン病患者の金城幸子さんは、25年前、国を相手に補償を求める裁判で、原告の副団長を務めました。原告となった元患者のほとんどは、長い間差別に苦しめられた経験から、さらなる差別を恐れて名前を明かさず、代わりに番号で裁判に臨んでいました。 

【金城さん役】私も、最初は原告番号だったんです。ところが、結婚して埼玉に住む娘から「なぜ名乗らないのか」と電話がありました。「病気のことを知られると、あなたの結婚相手やその家族にも迷惑をかけるかもしれない」と答えると、「当事者として、母さんの経験を伝えてほしい」と言うのです。その言葉に勇気をもらい、実名で裁判に出ると決めました。 

(ナレーター)裁判の後、金城さんは20年かけて全国の学校を回り、経験を語ってきました。8歳でハンセン病を発症して一人ぼっちになったこと、故郷を遠く離れた島の高校に行かざるを得なかったことなど、苦しんできたこれまでの話に、子どもたちはじっと耳を傾け、時に涙を流すこともあったと言います。 

【金城さん役】どの学校でも、講演が終わると、子どもたちは私に抱きついてきました。ハンセン病は薬で治り、感染力が弱い病気です。それが分かった今でも、差別感情を持つ人がいるかもしれませんが、子どもたちにそんな偏見はありません。ハンセン病の後遺症で麻痺が残る頬を触り、「ここも麻痺しているの?」と聞いてくるんです。私は一人一人がたまらなく愛おしくて、何百人でも会場にいる子どもたちを抱きしめました。 

(ナレーター)病気に対する不安や恐怖から、差別は起こる。新型コロナウイルスが未知の病気だと恐れられたときもそうだったと、金城さんは語ります。 

【金城さん役】感染症は、誰がかかってもおかしくないにもかかわらず、病気の人を差別することで身を守ろうとするのです。不条理なものだと、改めて思いました。この世に、差別されていい人はいません。それぞれがかけがえのない存在だからこそ、未来を生きる子どもたちには、まず自分の命を大切にしてほしい。そして、自分と同じ命を誰もが持っているのだと、考えることができる人に育ってほしい。心から、願っています。

お問い合わせ
福岡市人権啓発センター
E-mail:jinkenkeihatsu.CAB@city.fukuoka.lg.jp

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