嘘をつく子どもに悩むあなたへ。元保育士が考える対処法や寄り添い方

子どもの嘘でお友達とトラブルになった。ささいなことでもすぐ嘘をつくわが子に困っている。そんな悩みを抱えている親も多いのではないでしょうか。幼い頃は可愛い嘘だと見守っていたものも、小学生になるとちょっと見逃せなくなってきますよね。今回は、そんな「子どもの嘘」について元保育士ライターが対処法や子どもの心理についてまとめてみました。

目次

子どもが嘘をつく心理

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子どもが嘘をつくのはどんな気持ちから?どんな時に嘘をつくのでしょうか。嘘をつくには必ずなにかしらの背景が隠れています。子どもの嘘に悩んでいる時には、まずその原因や心理を探ってみることが大切です。

失敗をかくしたい・怒られたくない

子どもが親に嘘をつく際に一番多い原因は「怒られたくない」から。善悪やルール・マナーが身についてくると、いけないことをしてしまった時にそれを隠したくてとっさに嘘をついてしまうことがあります。

このような嘘は相手の行動に見通しをもてるようになった、自分がしたことで相手にどういわれるのかを想像できるようになったという成長の証でもあります。自分が怒られるだけでなく、親に知られたら大好きなお母さん・お父さんにがっかりさせてしまうという気持ちから嘘をつくこともあるでしょう。

自分をよく見せるため

友達や、先生など親以外に嘘をつく際にもみられるのが、自分をよく見せたいという気持ちの表れが原因になっている場合も。例えば、「昨日○○へ行ったよ」「テスト100点だったよ」「自分の家にはこんなすごいゲームがあるよ」など相手に“すごいね”“いいなぁ”と思ってほしくて嘘をつくことがあります。

大人でもちょっと話をもって話題を盛り上げたり、自分をよく見せようとする人もいるでしょう。そんな感覚で罪悪感なく軽く嘘をついている子が多いようです。

親の気を引きたい・かまってほしい

幼児期や、精神的に不安な時には「おなかいたい」「あたまいたい」「眠い」など体調は悪くなさそうなにのそのような嘘をついて甘えてくる子もいます。

このような時は、親の気を引きたい気持ちや、学校へ行きたくないなど何か不安なことがある場合が。お母さんお父さんが忙しい時などに、嘘をつく子も多いでしょう。

心配かけないため

かまって欲しい時につく嘘とは反対に、親や友達に心配をかけまいと嘘をつくこともあります。友達に嫌なことをされた時、いじめの兆候がある際などにも「なんでもないよ」「大丈夫だよ」と嘘をついて一人で抱え込んでしまう子もいます。

元保育士ママ

物をなくしてしまった。壊してしまった時なども怒られたくないためにとっさに嘘をついたり隠してしまうこともありますね。子ども達は日ごろから親がどんなことで怒っているのかを大人が思うより敏感に理解しているのかもしれません。

こんな嘘は心配無用~幼児期にみられる嘘~

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子どもの嘘にはさまざまは心理・背景があることが分かったと思いますが、中には子どもの成長過程で見られる可愛い嘘も。以下のようなパターンの嘘はあまり心配せずにあたたかい気持ちで見守ってあげましょう。

空想世界で作り出した嘘

幼児期においてよく見られるのが、子どもが空想の中で描いたもの(現実にはないもの)をあたかも本当のように話す姿。傍から見たら嘘をついていると思いますが、これは頭の中でイメージしたものと現実の境界線があいまいになっていることが原因です。

例えば、「ぬいぐるみがしゃべった」「○○っていう友達がいるんだよ」など。イマジナリーフレンドがいる場合も親からみたら“まったく嘘ばかりついて…”などと心配になる人もいるでしょう。多くの場合は成長するにつれてこのような嘘や言動は少しずつ消えていきますので、かわいい嘘だと思い心配せずにあたたかい気持ちで見守ってあげましょう。

元保育士ママ

わが子も2、3歳の時に架空の友達とのやり取りをあたかも本当のように話していた時期があります。存在を否定せずに家族皆であたたく見守っていましたが、いつからかそんな話もしなくなりました。

子どもが嘘をついた時のNGな行動

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子どもが嘘をついた時の対応によってはますます嘘が増えてしまう、親子関係がうまくいかないなど逆効果になる場合も!親がついつい言ってしまうNGな対処法をお伝えします。

あたまごなしに怒る

子どもに嘘をつかれるとついついカッとなって怒鳴ってしまったり、子どもの話を聞かずに延々と怒りつづけてしまうのはNG。嘘をついた原因や背景の中には子どもなりのSOSや言い分があるはずです。それに耳を傾けずに怒りの感情をぶつけてしまうと、子どもが委縮したり親子の愛着形成に悪影響を及ぼすこともあります。

理由を聞かずに謝らせる

兄弟ケンカや友達とのトラブルの中で嘘をついた場合、すぐに「ごめんねは?」と謝罪を促して解決を図るという人もいるかと思いますが、それもあまり良い方法とは言えません。子ども同士のトラブルなど対人関係における嘘の場合は、片方だけが悪いとは言い切れずに何か他の原因が隠れていることも。

その場はそれでおさまるかもしれませんが、子どもは気持ちの整理がきちんとできないままモヤモヤが残ってしまうでしょう。

子どもが嘘をついた時の適切な対処法

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子どもが嘘をついた時には、原因や理由をしっかりと聞いて子どもに寄り添うことが大切です。嘘をついたことに対してもいいのか、悪いのか子どもに考えさせながら丁寧に対応していきましょう。

まずは嘘をついた背景を理解しよう

子どもが嘘をついた時、親がまずしたいのは冷静に子どもの話を聞くこと。たとえそれが誰かを傷つけた嘘だとしてもまずはどうしてそのようなことを言ってしまったのかなど、子どもの気持ちを聞いてあげることが大切です。

お母さんは僕(わたし)の話を聞いてくれる。ということを感じられればこの先何かあった時にでも親へ気持ちを伝えやすくなります。

話を整理して、気持ちを共感してあげよう

嘘をついてしまった時、親に話す際には子どもも気持ちがうまくまとめられずパニックになっていることも。嘘をついた背景がわかったら、親が話を整理してあげて一度まとめてみましょう。「こういうことがあって嘘をついてしまったんだよね?」「こういう気持ちから嘘ついちゃったのかな?」などと子どもに分かりやすくまとめるのがポイント。

そのうえで、「悲しかったんだね」「怒られるのが嫌だったんだね」「話してくれてありがとう」と気持ちに寄り添い共感できる部分は共感してあげます。

嘘をつかない方法を一緒に考える

子どもがとっさについた嘘。精一杯考えてついた嘘。嘘にはさまざまな背景がありますが、相手が悲しむような嘘や子ども自身を追い詰める嘘はできるだけつかないでほしいもの。子どもには嘘をつかなくても大丈夫だということを伝えてあげましょう。

「こんな時は嘘をつかずにこういってみたらどう?」「正直に伝えてくれて大丈夫だよ」と他の方法があることを教えてあげましょう。

いけないことはきちんとお話しよう

子どもがついた嘘で誰かを傷つけてしまった時、問題が起きた時には嘘をついたことで起こった現状をきちんとつたえます。自分を守ることで相手に迷惑をかけた・傷つけてしまったことは子どもにもきちんと理解させる必要があります。

相手を思いやれる子になれるように、嘘をついたことで相手がどんな気持ちになるのかを子ども自身に考えさせてあげるとよいですね。

「嘘をつかれて悲しかったよ」「これからは正直に話してくれると嬉しいな」と親の気持ちも目をみてきちんと伝えましょう。

嘘が癖になる前に!子どものSOSに気づける大人になろう

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嘘を一度もついたことがない人なんていないかもしれません。大人だってささいな嘘をつくときもあるでしょうから、子どもの嘘に対してあまり過剰に反応せずに、見守ることも時には大切です。ただ、嘘をつくことが癖にならないよう、注意したい嘘・気になる嘘についてはその都度しっかりと向き合ってお話をしていくことが必要です。

子どもに嘘をつかせるまえに、大人が介入するなどしてフォローしてあげるのもよいですね。普段から子どもの様子をしっかりとみておくことも大切です。嘘に隠されたSOSに気づいてあげられるようになるでしょう。

【参考文献】

・「完全カラー図解 よくわかる 発達心理学」監修者 渡辺弥生 ナツメ社

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

6歳と11歳の娘の育児真っ最中のママライターです。結婚前は保育士として私立保育園で約3年間勤務経験あり。保育士目線と母親目線で子育ての悩みに寄り添えるような記事を書いていきたいと思っています!

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