誰にも気付かれないまま、義父の暴力に耐えてきた義母。義父が認知症と診断されてからは、驚きの行動に! ママ友から聞いた話ですが、夫婦の関係について深く考えさせらえるきっかっけになりました。夫に対して恨みを積もらせないためには、どうしたら良かったのでしょうか。
義両親は変わった性格?
私と友人は、コロナ禍を経て数年ぶりに飲み会をしました。息子の保育園時代からのママ友で、互いにおいしいものと愚痴を肴に呑むのが大好き! 15年経っても関係が続いています。
彼女の義父母は、ともに60代の2人暮らし。兄夫婦は遠くに住んでいるため、ママ友の家族が定期的に訪問していました。
しかし義実家には冷暖房器具がなく、夏は暑さに耐え、冬は室内でコートを着ていないと耐えられない状況。見かねた彼女の夫は、訪問時に扇風機やホットカーペットを持参していたとか。
孫を連れて訪ねても、義父は隣の部屋でテレビから離れず、義母は食事にレトルトカレーとコンビニサラダを振る舞う始末… 会話もありません。
「迷惑がられている気もする」と淡々と愚痴るママ友は
「お義父さんは元職人だから、そんなものだとは思っているんだけどね!」と理解を示しつつ
「『身内』って感情はないかもなぁ」とぼやいていました。
義父が逮捕された!
話を遡ること数年前、彼女は
「お義父さんが警察に捕まってさ…」と語っていました。
義父は散歩の途中に、農家から農作物を勝手に頂戴する「畑泥棒」をしていたらしく、ついに農家の人に現行犯で捕まったといいます。しかも相手を殴ったため、窃盗罪・傷害罪となってしまったのです!
警察に迎えに行った彼女の夫。そこで
「認知症の疑いがあるので、病院で検査をします」と言われたそうです。
検査結果は、脳に腫瘍があり認知症状態を引き起こしていた可能性があるということでした。しかも
「このまま入院し、もう家には帰れない」と言われたそうです…。
衝撃を受けた夫は、すぐさま義母に説明したそうなのですが、義母はまさかの行動に。最初は反応が薄かったそうですが
「もう帰ってこられない」という言葉に、いきなり部屋の片付けを始め、数日後には
「大量のゴミ袋が出たので片付けて欲しい」と連絡があり、義父の服や私物全てをゴミ袋に入れていたそうです。
「あの人は洗濯を嫌がったから、きれいなものは何もない」と言う義母。義父の下着などの着替えは、全てママ友が新しく用意して届けたそうです。
「まだ生きているのに、全部捨てちゃう?」と、ママ友は驚いていました。
ここまでは、数年前の飲み会で聞いていました。
積年の恨み 義母の行動は
今回の彼女の話によると、義父は、入院して1年も経たないうちに亡くなったそうです。
「義母は結局、骨も拾わず、相続も『一切いらない』って放棄したのよね」。義母の強い意志を初めて感じたとか。
ママ友夫婦は、義父母の問題に気づかなかったことを謝り、どうして話してくれなかったのかと尋ねました。すると義母は
「言えば私が殴られる」と一言返しただけでした。そしてそれ以降、義父への恨みも愚痴も一切口にしなかったそうです。
そんな義母は一人暮らしを続け、ママ友夫婦も毎週末食事を作って届けていたそうなのですが… ついに2カ月前、自宅で1人亡くなった姿を発見されることになったのでした。
「耐えるは闇に落ちるだけ」と学んだ夫婦の関係
ママ友は
「お義父さんとお義母さんのお墓は別にしたよ」と語り
「逃げ出せないと思ったのかもしれないけど、私なら夫が暴力を振るったら即出て行くと思う」と一言。私も同感でした。
私たちの親世代は「女は仕事をせず、夫と家庭を支える」という古い考えがまだ多く残っていました。
今は結婚しても、出産しても、働き続けることができる時代になりました。昔のことを思うとやるせない気持ちになり、おいしいはずの食事やお酒の味も感じません。
最後はママ友と2人で
「結婚生活に耐えた先に、孫をかわいいと思えない、自分の夫の骨も拾わないって、深すぎる闇に落ちたのかもね…」と話しました。
私も友人も周囲に縛られることが大嫌いな性格。「夫や孫には自立してもらおう!」と老後の目標を決めて会はお開きになったのでした。
(ファンファン福岡公式ライター / 文月)