これは私の高校受験の体験談です。私は3人兄弟で、兄と姉はそれぞれ第一志望の高校に合格済み。残るは末っ子の私の受験だけです。普段から勉強しない私を知っている母は、高校に受かるかどうか気がかりでなりません。合格発表の日に、母に言われた言葉は、大人になった今でも忘れることができない衝撃の一言でした。
人生初の受験は「高校受験」
私にとって人生初の受験は、高校受験でした。
私は大の勉強嫌い! けれど性格は楽観的で家族からいつも呆れられる存在。母は昔から世間体を気にする人で、私が受験に失敗してしまうと自分の立場が悪くなるのが嫌だったようです。
4歳上の兄も、1歳上の姉もそこそこ勉強ができ、2人とも要領がいいタイプ。受験生のときもきちんと勉強し、親に心配をかけることなく合格していました。
そんな兄と姉を見ている私も「勉強しなくても受かるかも!」と根拠のない自信だけはありました。同じ高校を受ける友達も、推薦で入学が決まっていたこともあり、正直あまり勉強の必要性を感じていませんでした。
末っ子受験は最終決戦! 不合格は許されない?
普段の私を知っている母は、受験勉強をしない私を見てイライラ。顔を見るたびに
「勉強しなさい!」と言われていました。
しかし「やれ」と言われると「やりたくない」のが人間の性。
母に反発するように、私は勉強せず漫画ばかり読んでいました。
そんな私を見てますます母は腹を立て
「勉強しなくていいの?! 本当に行く高校がないよ!」と言います。
それでも私は母の言うことを無視し続け、勉強はそっちのけで遊んでばかり。
夏頃からは、母と私のやり取りをいつも側で見ている兄と姉も
「いいかげん勉強すれば?」と言ってくるようになりました。
兄弟からのプレッシャーでお尻に火がついた!
ついにクリスマスを過ぎて受験が近づくにつれ、あまりに勉強しない私をみかね、兄・姉の2人から
「まじで勉強しないと落ちるよ」
「そのままだと確実に本命はムリだね」と言われるように…。
そして一番プレッシャーになったひと言が
「〇〇高校だけには行くなよ」という兄からの言葉でした。
〇〇高校とは、市内で滑り止めの高校として有名。
「恥ずかしいから〇〇高校に行くのだけはやめてくれ」と言われたようなもの。この言葉がきっかけで、さすがの私も腹が立ち、それから心機一転! 必死で勉強するようになりました。
今までは学校から帰ると、オヤツを食べて漫画を見る生活。でも気持ちを入れ替えて、帰ってから夕ご飯まで勉強、ご飯を食べてからも勉強、早起きして勉強! と今までにないぐらい必死で勉強しました。
合格発表で母から衝撃の一言!
受験当日までの数カ月間、猛勉強をしたので満足のいく出来で試験を終えることができました。しかし、合格発表までの間はどこか落ち着かない日々が続きます。
ついに結果発表当日。志望校まで母と向かい、受験番号が張り出された場所までドキドキしながら行きました。
私も母も口数少なく、心の底で「落ちていたらどうしよう…」という思いがよぎります。2人で受験番号を探すも、手が震えてなかなか見つけることができず母も諦めモードでいたその時! ついに自分の番号を発見!
何度も番号を確認し間違いがないことが分かると、2人とも涙がでてきました。
落ち着きを取り戻した帰り道、まだ合格した喜びの余韻に浸っていた私。
そんな私に母が衝撃の一言。
「あんたは全く勉強していなかったから絶対落ちると思ってたよ! 兄弟で一番勉強しないのはあんただけだった」と苦笑いで声を掛けてくれました。
その言葉を聞き私は
「そうだね…」と返すのがやっと。心の中は、悔しいやら悲しいやら複雑な想いでいっぱいになりました。
「頑張ったね! 合格おめでとう」と言ってもらえると思っていたのに…。初めての高校受験は、せっかく合格したのに素直に喜べない結末となりました。
あれから時が経っても、母の言葉が忘れられません。
母親となった私が思うことは、自分の子どもが一生懸命頑張ったことには「よく頑張ったね!」と声をかけてあげたいということです。
(ファンファン福岡公式ライター / ゆラッコ。)