私が小さい頃、明治生まれの祖母は、ちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。少しずつ紹介していきます。
七月の昼下がり…祖母が四、五歳の頃、祖母は神社の前の地面に棒で絵を描きながら一人遊んでいた。
ふと何かの気配を感じて顔を上げると、目の前に広がる田んぼの遥か向こうの竹薮が風もないのに左から右へ倒れて行く。
「不思議だなぁ…」と思って見ていると、何かがぐるっと祖母を取り囲み、周囲の木々も激しくなびいてきた。
幼かった祖母は、本能的に「これは魔物だ!」と感じたが体が動かない。
「もう駄目だ」と思い目をつぶった時、頭から何かをふわっとかぶせられた。
その刹那、もの凄い速さで何かがそばを駆け抜けて行った。
しばらくして目を開けると祖母は一人、鳥居の内側にしゃがんでいたそうだ。
この話を聞かせてくれた後、目を細めながら祖母はつぶやいた。
「氏神様が守ってくれたんだよ、きっと」。
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