福岡の書店員さんに福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。65回目は「ジュンク堂書店 福岡店」（福岡市中央区）の松岡千恵さんを訪ねました。あわせて、この時期に読みたい話題の6冊を紹介します。
「源氏物語」から読み解く現代社会の在り方
―こんにちは！ 今回松岡さんが紹介されるのはどんな本でしょうか。
北九州市出身の作家・山崎ナオコーラさんの「ミライの源氏物語」（2023年3月淡交社発行、1,760円、税込み）です。紫式部の小説「源氏物語」に触れながら、現代人がどう生きていったらいいかという内容が書かれています。2024年の大河ドラマ「光る君へ」を見ている人が購入していますよ。
―この本を手に取ったきっかけは？
普段、山崎ナオコーラさんの小説を読んでいて、エッセイ本が刊行されたことを知り拝読しました。大河ドラマ「光る君へ」を見ていたので、歴史が頭に入っていることもあり、分かりやすかったです。
―実際に読んでみた感想は。
身分の差、性差別などについてを包み隠さず論評しているので、大河ドラマ「光る君へ」とリンクする部分がたくさんありました。“自分が思う自分になれるというのは素晴らしいが、実際の人生でそうはいかないことがほとんど”というのが「源氏物語」の時代からテーマになってきたことなので、人間の存在意義を再認識しました。
―気に入っている箇所はありますか？
冒頭の「人間は言葉というものに永遠の生を感じます。死んでも大丈夫な気がしてきませんか？ だって、言葉があればずっと生きているのと同じことなんですから。」です。とてもすてきな一文なので、ぜひ読んでもらいたいです。
―この本をオススメしたい人は？
大河ドラマ「光る君へ」を見ている人は、本書を一緒に読むことでより理解が深まると思います。“源氏物語はどこから入っていいのか分からない”という人にもオススメ。また、本書には現代社会の在り方が書かれているので、中学生などの子どもにも読んでみてほしいです。
―「ジュンク堂書店 福岡店」ではどんな本を取り扱っていますか？
コミックはもちろん、医学書や理工書など専門書が充実しています。取り扱い書籍は約30万冊。2階では書籍のほか、多種多様な文具・雑貨の販売も行っています。ギャラリーでは、さまざまなイベントも開催しているので、ぜひのぞいてみてくださいね。
―1階に「光る君へ」にフューチャーしたコーナーがありました！
はい、「源氏物語」のブースを設置しています。現在放送中の「光る君へ」に関連する書籍はもちろん、今回紹介した「ミライの源氏物語」も並んでいますよ。展開は4月中旬までの予定です。
―ありがとうございました。続いて話題の6冊を紹介します。
「脳科学が実証！川島隆太教授の運転免許認知機能検査 合格対策脳ドリル」【Gakken】
川島隆太、長 信一（監修）／1,375円（税込み）
75歳以上の「認知機能検査」は川島教授の運転脳トレで合格！と本書。検査に必要な認知機能（記憶力・視空間認知力・情報処理力）を向上させる対策ドリルです。本番検査の64種イラスト問題も網羅し、これ一冊で検査対策は万全！
「『やせてる人』の習慣、ぜんぶ集めました。」【青春出版社】
工藤孝文（監修）、ホームライフ取材班（編）／1,177円（税込み）
何歳になってもスリムな体型を維持している人や、ダイエットに無理なく成功する人の秘密を徹底調査！ 食べものの選び方や食事の仕方、ダイエットが長続きするコツ、食べても太らない腸内環境の作り方など、幅広い方向から無理なく実践できる128項目が紹介されています。きっとあなたの理想の体型を手に入れるための大きな武器となる一冊です。
「ちびねこ亭の思い出ごはん かぎしっぽ猫とあじさい揚げ」【光文社】
高橋由太著／682円（税込み）
書店店長として働く五十嵐さくらは、本部から閉店の計画を聞かされ仕事を辞める覚悟をしていました。そんな時、亡くなった人と会うことができるという食堂の話を聞く。さくらは本好きになるきっかけを与えてくれた中学時代の女性教師との再会を願い、足を運ぶが…。世界15カ国で翻訳出版が進行している大好評シリーズ第8弾。
「有罪、とAIは告げた」【小学館】
中山七里著／1,760円（税込み）
新人裁判官・高遠寺円の働く東京地裁に導入されたAI裁判官〈法神2号〉。ある日、18歳少年による父親殺しが発生。裁判長が〈法神〉に問うと、出された判決は「死刑」──。裁判官の英知と経験はデータ化できるのでしょうか。目前に迫るあり得る未来に、人間としての倫理と本質を問う法廷ミステリーです。
「死にたいって誰かに話したかった」【双葉社】
南綾子著／770円（税込み）
「おすすめ文庫王国2024」エンターテインメント部門第1位！ 友達も恋人もできず、職場にもなじめず、孤独や疎外感を抱えた日々を送る男女4人。もがきつつも彼らが生きる選択ができたのは「生きづらさを克服しようの会」の結成でした。生き方に悩む男女が不器用に前進していく姿に背中が押される、「生きづらい」人への処方小説。
「農家が教える 天気を読む 知恵とワザ」【農文協】
農文協編／1,760円（税込み）
天候に左右されることの多い農業では「天気を読む」ワザは昔から重要な農業技術の一つでした。異常気象が続く昨今では、自分の力で気象を読み解き予想する力はますます重要性を増しています。観天望気、指標植物の活用、寒だめしなどの農家の知恵から、気象データの活用まで、さまざまな視点からの知恵とワザを集めた一冊。
いかがでしたか？ 新生活のお供にお気に入りの一冊を見つけては。次回もお楽しみに！
