人種・国籍・宗教・性別・年齢・障害の有無に関係なく、すべての人が生きやすい社会をめざした活動が活発化しています。一人一人が個性を発揮し、多様な視点や論点をもつことが、未来の可能性につながるというDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)への関心を高め、1人でも多くの人が考えるきっかけをつくりたい。そういった思いで始動したのが、西から日本に虹をかける「NIJINIPPON(にじにっぽん)プロジェクト」。今回は、3月8日の国際女性デー(※)に合わせ、「福岡で女性として生きていく」をテーマに、取材を行いました。第2回目は福岡トランスの知子さん、奈津美さんへのインタビューです。
※国際女性デー:1904年3月8日にアメリカ・ニューヨークで婦人参政権を求めたデモが起源となり、1975年に国連が3月8日を国際女性デー(International Women’s Day)と定めました。
アットホームな職場で柔軟な働き方
Q.まずは知子さん、入社の経緯やお仕事内容について教えていただけないでしょうか。
知子:私は中途入社で、今年で6年目になります。面接を受けた時点でアットホームな感じもあり、無理なく働ける感じがしたので入社を決めました。仕事内容としては、日々入ってくる装置を木枠で土台から全部梱包までして、それをここからトラックで、成田や近くだと下関港、北九州空港に送っている業務があるんですが、私は、作業員たちが木枠で梱包(こんぽう)したサイズや重量、ケースの数など、現場から上がってきたものを全部データにして、それをお客さまに送るという業務を行っています。そのほかは、資材の発注などもやっています。
Q.面接の時点でアットホームな感じとのお話もありましたが、実際に入社した後の職場の雰囲気はいかがでしたか?
知子:意見とか要望を言いやすい環境です。随分前の話なんですが、職員は基本的に8時から17時が定時の業務時間なんです。ただ全員がそうした場合、私たちの業務は17時以降にお客様からの問い合わせの他、現場は17時45分までが定時なので、17時半ぐらいに現場からのデータが来て、それをすぐお客様に出さなきゃいけないなど、そういった業務がどうしても発生してしまっていたんです。最初は残業していたんですが、朝も全員が8時にいる必要が無かったので「定時を1時間ずらして、17時ではなく、18時を定時にしてもらっていいですか?」」ということを申し入れたら、状況的に「あ、そうだよね」ということですぐ受け入れてもらえたんです。
Q.知子さん以外にも、勤務時間とか、ほかのことでも何かされている例はご存じですか。
知子:勤務時間に関しては、派遣社員の女性が、正規雇用としてこの春から入社するんですが、彼女も子育てしていて、曜日によって入れない日とか、早く上がらせてほしい日とか、自分で希望を伝えて、それに合うような勤務体制にすることができたようです。会社にちゃんと伝えれば聞いてくれる実感はあります。勤務時間にしてもそうですし、こういうことをしたいとか、現場が声を上げれば、許可してもらうことも多いかなと思います。
奈津美:勤怠システムが全部一新されて、変わってきました。有休申請は、前は上司に直接、「休みたいです」と伝えていたんですが、今はシステム上で申請ができるんですよ。「有休を取りましょう」って社長も奨励していて。働きやすく変わってきているのは、本当にありがたいですね。そういったところが、入った頃と変わってきたなと思います。
知子:変わりましたよね、入ったときと。
奈津美:急に休んで有休になる場合、病院の領収書が要るとかだったんです。結構ハードだったんです。
知子:届け書を書いて、印鑑をもらって、という手順がね。何のために休んだというところまでが明確に分かってしまうので、前もって、何のために休みますと言わないといけなかったんですけど、言いづらいこともあって。今はそれが一切なくなったので、その辺も働きやすいですね。
Q.では、働きながら子育てもしやすい雰囲気などはありますか。
奈津美:ありますね。有休も出しやすいので、今は授業参観にも行けてます。
知子:奈津美さんは100%平日に休めているんですか。
奈津美:はい、休めています。新卒で女性が2人入ってきて、その後また中途で女性の方が2人入ってきたので、女性のほうが多くなって雰囲気も大きく変わり、子育てとか、どういうことに困っているんだろうなとかが理解しやすいというか、共通の認識や理解が身近にあるように思います。
知子:何かあったときに、女性がいたら、具体的でなくても、相談しやすそうだなとか、存在がありがたいといったことは感じたりしますよね。
奈津美:それはあります。女性がいてくれるだけで安心感がありますね。たわいもないこともすぐ言えるじゃないですか。
会社全体で女性活躍を進めていく
Q.昨年の奈津美さんの記事を見て、社内で話題になりましたか。
知子:はい。「あ、新聞に、自分と同じ会社の奈津美さんがいる」と。いい写真でした。社長とお会いしたときも、「女性に活躍してもらいたい」というのは常におっしゃっていたので。「能力があれば、男性も女性も関係ないから」というのは言ってもらっています。女性が事務員で終わらなくて、役職をつけて管理のほうに回ってもらったりとか、そういうのも考えてくださっているんだろうなと思います。やっぱり社長の意思が現場にも流れてきている感じはありますね。
奈津美:社長から、男女関係ない、役職に就いていようが就いていまいが関係ない、やる気があって、それこそ頑張ってさえいてくれれば、と言われているのでモチベーションは上がります。特に自分は社長室がすぐそばなので、何かあったときは、直接お話することもあります。
知子:社長はちょこちょこ現場にいらっしゃることがあって、ちょっとその辺のおにいちゃんみたいな(笑)、フレンドリー感がありますね。
Q.先ほど知子さんから「管理職」という言葉がありましたが、昨年奈津美さんも、管理職になることが目標とおっしゃられていましね。具体的に管理職を増やしていこうみたいな動きはあるんですか。
奈津美:去年からマネジメント研修が始まって参加しました。
知子:私も受けました。内容は、話題を振られながら、プレゼンをしたり、あとでそれを振り返ったりなどです。ほかには課題があって、それに対して、どういうふうにアプローチするかというのを、グループで討議して、最終的に発表したりとかもありましたし、いろいろありましたよね。
Q.社長は女性の活躍を期待されていらっしゃいますが、周りの従業員の方、特に男性とかは、そうした方針に対してどういう反応とかってあったりしますか。
知子:管理職の方には、社長の思いが伝わっているな、という実感があります。また、取引先の話なんですけど、大型トレーラーを運転している女性が結構いらっしゃるんです。将来的には、そういうセクション問わず女性が活躍する会社になってほしいと思っています。
奈津美:子どもに今回の取材の話をすると「男社会」という単語をだしたら「それ、どういうこと?」って言われて、説明したら、「えっ、そんなんあり得んし」みたいな。子どもにすれば、男女平等は当たり前じゃないですか。「(男社会なんて)おかしくない?そんなん」って返ってくるから、それが普通だよなって改めて思わされたんですよね。子どもの世界では男社会とか女社会とかがないんです。今はもう男の人しかなれない仕事って基本ないじゃないですか。やろうと思えばできるので、子どもたちには何でもしたいことに挑戦してもらえればいいなとは思っています。
Q.「国際女性デー」ということで、女性の活躍だったり、会社としても女性の活躍を応援してくださっているんだなというのも感じたのですが、会社に対して思っていることとか、伝えたいこととか、あったりしますか。
知子:男性・女性関係なく、別に女性が休んだからって女性がフォローしなきゃいけないというわけでもないと思うんです。どの仕事も男性でも女性でもやれる人がやればいいじゃないという感覚があるので、得意不得意はあると思うんですけど、その辺は性別関係なく、不在の人がいればみんなでフォローするという体制になるといいなとは思っています。例えば、ここはセキュリティーの関係上、現場の人間が事務所にパッと入れないんですよ。ピンポンってインターホンがあるんですよね。それで呼ばれたりすることが多くて、結局そういうのを対応しているのはほぼ女性だったりする。
奈津美:まだまだ進化していけますよね(笑)。
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