<虫嫌い一家>4歳息子が「飼いたい」とねだってきた生き物に驚愕!

夫も私もそろって虫嫌いのわが家。親の影響か、4歳の息子も虫が得意ではなく、テントウムシが羽ばたく姿でさえびっくりするほど。そんな息子がある日「飼いたい」と言ったものは…。

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家族みんな虫が苦手

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 わが家はみんな虫が苦手。夫と私が虫とのふれ合いを避けてきたせいか、子どもたちは小さな虫でもびっくりします。そんなわが家が、ある虫を飼うことになりました。

 ある日のこと。保育園に行くと、担任の先生から声をかけられました。
 「息子ちゃんが、カイコを連れて帰りたい、って言ってるんですけど… どうしますか?」

 その頃、4歳の息子のクラスでは、養蚕農家さんから頂いたというカイコを育てていました。白くてニョロっとした姿は、ザ・幼虫といった見た目。虫が苦手なはずの息子が虫を飼いたいと言うのには驚きましたが、カイコはおとなしいからか、手に乗せて可愛がっていたそう。

 しかし虫嫌いの私は当然、困惑してしまいました。そしてわが家にはもう一人、虫嫌いがいます。カイコを飼うには夫との相談が必要と考え、返事は一旦保留としました。

桑の葉を摘む日々

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 夜、仕事から帰った夫に、カイコを飼う相談をしました。
 案の定、前向きな反応は返ってきませんでした。しかし、息子が可愛がっているということと、本人の気持ちを無下にしたくないねという話から、渋々「飼う」という結論に。翌日、保育園からわが家へ、3匹のカイコをお迎えすることになりました。

 しかしカイコのことは、「繭を作る」という以外の知識がない私たち。保育園の先生に聞いて、桑の葉しか食べないことと、たくさん食べるので毎日摘みに行かなければならないことを知りました。

 その日から、桑の葉を摘む毎日が始まりました。平日は保育園からの帰り道に、休みの日は一家総出で公園へ桑の葉探し。公園に行くと、親の私たちが一生懸命桑の葉を探しているのをよそに、遊具で遊び回る息子。
 「カイコ飼いたいって言ったの誰だっけ!?」と叱るのは、毎度のことでした。

カイコ繭になる

 桑の葉摘みの話からもわかるように、カイコに一番振り回されていたのは親の私たち。しかし夫は文句を言うどころか、一番愛情を持って接していました。

 もともと、生き物に愛情深く、観葉植物にさえも「かわいいなぁ」と言うような夫。はじめこそ気持ち悪さを感じていたようですが、桑の葉を一生懸命食べる様子を見ているうちに、少しずつ愛着が湧いてきたようです。そのうちに、夜子どもが寝た後に、カイコを虫かごから出して眺め、一日の疲れを癒すようになっていました。

 そうなると心配なのが、ペットロス。実は数年前、飼っていた犬を亡くした夫は、しばらくペットロスになっていました。それ以来「あの気持ちを思い出すと何かを飼うのはとても無理」と言うようになったのです。

 植物であっても小さな虫であっても、人一倍愛着を持つ分、命が尽きるときも人一倍悲しみを感じてしまう夫は、カイコの最期を心配し始めました。カイコは、わが家に来て2週間ほどすると、糸を吐き始めました。

 いよいよ繭を作り始めたカイコと、焦る夫。
 「繭になった後どうするの? 羽化したらどうするの??」調べると、糸を吐き始めて2~3日で繭になり、2週間ほどで羽化するとのこと。

寂しくなったのは夫?!

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 夫だけでなく、私もかわいいと感じ始めていたカイコでしたが、羽化した姿はとても受け入れられる気がしませんでした。夫は、命果てるところを見たくないと思っているし、かといって野に放つのもかわいそう。カイコは家畜化されてしまっていて、とても弱い生き物なのだそうです。

 どうしようかと考えているうちに、カイコはあっという間に繭になってしまいました。結局、夫の「保育園に返そう」という一言で、繭のまま持っていくことに。保育園にはほかにもまだカイコがたくさんいたので、先生はあっさり引き取ってくれました。こうしてカイコとの短い生活は幕を閉じました。

 親の私たちは
 「カイコどうなったかなぁ」としばらく話していましたが、息子はすっかり忘れた様子。息子の口からカイコの話題が出ることはその後ありません。
 しかし、夫はカイコの写真を撮っていたようで、たまに見返しては懐かしんでいます。そんな夫を見ると私も、みんなで桑の葉を探した公園の景色を思い出します。

(ファンファン福岡公式ライター/れな)

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