10歳を超えた福岡市南区在住、オス猫のサニです。おれの住むあたりも梅雨に入ったはずなのに、あんまし雨が降りません。そんな中、先日の日曜日6月14日、うちの連中は田植えを済ませたそうです。「サニも手伝うか」とか、声をかけるものの、あくまで口だけです。おれが役に立たないこと、脱走するだけだということを知ってますからニャ。連中は。
時々、マンションとかアパートとかの集合住宅で飼われる猫や犬のことを考える。やつらは出たくても、庭が無いから外出は無理だ。欲求不満はたまらんのかニャ。おれみたく、外で野良時代を経験したことのある猫は外出したくてたまらなくなるが、生まれたときから室内飼いの連中は、それが当たり前と思ってるんだろうニャ。
おれが今居る家はもともと農家だから、戸建てだ。以前はのびのびと庭を走り回ったが、「飼い猫を外に出すのは、危険だし、近所迷惑」という世の中になって、外に出られなくなった。このサ日記も、初期の頃は、庭石の上で悠々とくつろぐおれの姿などを披露したものだが、最近は室内写真ばかりで、愛想のないおれの写真は変化がない、と物足りなく思っている人もいるだろう。
そんな人たちのために、おれの代わりに、ちょいちょい庭にやってくる小柄な顔の猫を紹介してやろう。鼻の頭にチョンと模様があるのが特徴だ。
見かけるようになって、けっこう経つので子猫ではないと思うが、あんまし大きくならん。でも、鳴き声は大きくてよく庭で叫んでいる。以前、時々おれとけんかした黒いやつとよく一緒に居る。あのでかい声は、友達のクロを呼び寄せているのかもしれん。自分が小柄なので、まるまると力強いやつと居ることで、用心棒みたいな役目をさせてるのかも。
「退屈男」ことおれは、稲作に興味はないが、さっき書いたように、この家は元来農家だ。昔おれが生まれる何十年も前は、この辺りも田んぼと畑しかなかったらしい。今は、家やマンション、アパートが建て込んで見るかげもない。今や田んぼを維持して米を作っているのは、数軒になってしまっている。その福岡市内では希少なわが家の百姓仕事のメインイベントの一つ「田植え」は、やっぱり6月の行事だ。
田植えは、事前の準備が大切らしい。水路から引いている水の量を多くなく、少な過ぎず、土がかろうじてひたひたに浸かるくらいにするのがコツだという。今回は非常にうまくいってるらしい。あんまし雨が降らないから調整しやすいんだと。
飼い主どもは、田植え、たうえと騒ぐが、実は実作業のほとんどは、ご近所の専業農家の人に頼んでやってもらっている。機械に稲の苗を装填するときに、それを渡すくらいしか能がないのが、うちの連中だ。
あとは、こんなふうに余った苗を、手で端っこの方とかに植えるくらいか。専門用語で「植え接ぎ(つぎ)」というらしい。田んぼの中はぬかるむんでなかなかまともに前に進めず、骨の折れる作業だそうだ。昔の人はえらいニャア。そんなめんどくさいことを機械使わず、人力で全部やってたというから。人手も沢山いるはずだ。福岡以外の人に教えてあげるが、当地では「ぬかるむ」ことを方言で「いぼる」という。よくわからんが、雰囲気は出てるような気がする。
この田植え機、わが家にはない。田植え機に限らず農機というのは思った以上に高くてびっくりする。トラクターとかちょいとした外車が買えるくらいのもあるぞ。うちの五反二畝(ごたんふたせ)、といってもよく分からんだろうが、40×30mくらいの田んぼを耕して取れるくらいの米の量じゃ到底割に合わんので、こうやってお願いしとる。田植え機は操縦も難しいし。
降るといってた大雨がまったく降らんのう、と外を見てるうちに、半日も経たず、田植え終了。
ということで、3時間半ほど留守番をしていたおれだが、えさももらってないのに、きょうはあんまし腹が減らん。動いてないからだと思うが、眠くもなく、かといって何をするでもなく、ダラダラしてしまう。これがコロナ以降の新しい生活様式なのかもしれん。
きょうは、一仕事終えたJが今から、グッデイに「またたび玉」を買いに行ってくれるそうだ。しっかり外敵を入れずに留守番してたんだから、それくらいのご褒美はあっていいニャ。秋にはまた、稲刈りの様子を伝えよう。 じゃあ、またニャ。