春爛漫の午后、ピアノの世界を堪能しよう。仲道郁代さん 福岡シンフォニーホールでリサイタル!

 常に日本のクラシック界を牽引してきたピアニスト仲道郁代さんが12年ぶりに福岡シンフォニーホールでリサイタルを開催予定、ピアノの王道とも言えるベートーヴェンとショパンの名曲たちが揃うプログラムです。公演に先駆けて、その魅力と聴きどころをうかがいました。

©N.Ikegami
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4月27日 福岡でのリサイタルに向けて

 小学5年生の時、ヴィルヘルム・ケンプ(*)の演奏会でベートーヴェンのソナタを聴いて、ピアノの世界とはなんと素晴らしいのだろうと感激しました。そのコンサートでは今まで経験したことがないくらいに最初から最後まですべての音が自分の中に沁みわたりました。ピアノの音の中には神聖な世界があるのだということを、その時に知りました。ここから私はピアニストになりたいと考えるようになったように思います。       (*)ドイツ出身の世界的巨匠と謳われたピアニスト 

ベートーヴェンが書いた音には一つ一つに意味があります。「人生とはどんなものなのか」というような哲学的な思考を音楽で論理的に、そして感動とともに描いている作曲家だと思うのです。福岡のコンサートではそんなこともお話ししながら演奏したいと思っています。今回のプログラムではピアノソナタの「月光」と「悲愴」を予定していますが、聴いていただくお客さまお一人お一人が、それぞれ曲の中に分け入っていけるような、その鍵となるようなお話しができればと思います。

 後半はショパンの名曲を演奏します。ショパンの人生に照らし合わせて、こんな時にこんな思いを抱いて作曲されたのではないかと、そんなこともお話ししたいと思っています。「知識」としてではなく、聴いてくださる方の耳と心のチャンネルを合わせて、その曲の世界に入っていただく手助けになれば嬉しいです。そうすることで、お客様ご自身の感覚や感情で受け留めていただけたらと願っています。

 今回は土曜日の昼間の公演なので、小学生のお子さんやご家族でも足を運んでいただきやすいのではないでしょうか。よく親しまれている名曲たちで構成したプログラムです。お一人お一人が、名曲たちの中に、ご自分の耳と心を開いて“発見”をしてくださったら嬉しいですね。例えば「月光」ソナタも、実は月の光とはまったく関係のない曲なのですが、幻想、夢の世界を感じていただけるかもしれません。

撮影;西日本新聞社

 奇妙な時間だったコロナの期間が終わり、通常のコンサートが開かれるようになりました。私たちは、それまで当たり前であったことが当たり前ではなくなった苦しい時間を経験しました。そして今も戦争はなくならず、災害が起こり、痛ましい事故が絶えません。想像もしなかったことが起きています。

 ベートーヴェンもショパンも、生きた時代は違いますが、彼らも大変な苦悩の連続の一生を送りました。彼らが音楽に込めたことは、決して昔の時代のものではなく、まさに今に生きる私たちにも響いてくるものです。彼らの音楽から、多くのメッセージを感じとっていただけたらと思います。

レガシーピアノ保存プロジェクトを通して

 北九州の響ホールや春日、久留米などには近年コンサートで伺ってきましたが、福岡でのリサイタルは本当に久しぶりなので私も大変楽しみにしています。

 ご縁があって2022年から福岡のレガシーピアノ保存プロジェクトのお手伝いをさせていただきました。記者発表会からそのピアノのお披露目コンサートまで携わらせていただきましたが、この古いピアノの修復に向けてクラウド・ファンディングがどうなっているか、今修復はどのくらい進んでいるのか、折々に気になって心に留めてきましたので、ピアノが完成して支援してくださった方々の前でお披露目が出来たときは、ようやくここまで来たかと嬉しかったですね。

 このような機会を通して地域の音楽文化がさらに発展していくことを願っていますし、私自身も福岡には思い入れとシンパシーも感じています。

2023年10月福岡市民会館にて開催されたレガシーピアノ修復完成お披露目コンサート

今後の展望について

 3年後の2027年はベートーヴェンの没後200年で、私自身も演奏活動40年を迎えます。そこに向けて2018年から10年間に及ぶ「The Road to 2027」シリーズを全国で進めています。ベートーヴェンを中心に据えた10年分のプログラムを組むことで、よりベートーヴェンの音楽が深められてきている実感があります。

 最近、私にとって音の一つ一つは作曲家の言葉のように聞こえてきて、それをしっかりお客さまにお伝えできるようになりたい、特にそう感じられるようになりました。演奏している時、私は作曲家と対話をしているような感覚にもなります。お聴きになられているお客さまが何かしら感じられて、そこからまた作曲家、奏者、お客様との対話が始まる…そんなコンサートにしていきたいです。

©noriyuki soga

( 聞き手 : 樋口洋子 )

< 公演情報 >

◇日 時 2024年4月27日(土) 開場13:30/開演14:00

◇会 場 福岡シンフォニーホール (福岡市中央区天神1-1-1 アクロス福岡)

◇演奏曲目(予定)  ベートーヴェン;ピアノ・ソナタNo.14「月光」/ No.8 「悲愴」

         ショパン; 幻想即興曲 / バラードNo.3 / ポロネーズNo.6「英雄」  

◇チケット料金 全席指定 S席6,000円/A席5,000円/学生券3,000円(A席) 税込み

◇チケットのお求めは

・アクロス福岡チケットセンター 092-725-9112

・アクロスWEBチケット https://www.acrosticket.jp 

・イープラス https://eplus.jp/nakamichiikuyo

・チケットぴあ https://t.pia.jp/ (Pコード251-917)

・ローソンチケット http://l-tike.com (Lコード82329)

・エムアンドエム 092-751-8257 (平日10:00-18:00 )

 ※学生券の販売はアクロス福岡とエムアンドエムのみのお取り扱いとなります。

◇主 催 西日本新聞社 / テレビ西日本 / 西日本新聞イベントサービス

◇共 催 (公財)アクロス福岡  ◇後 援 福岡市 / ヤマハミュージックジャパン

◇特別協賛 Good不動産

◇お問合せ エムアンドエム(平日10:00-18:00) 092-751-8257

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

長年音楽・楽器業界で仕事をしてきました。わくわくドキドキと感動をお届けできるアーティストの情報をご紹介していきます。

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