遠く真玉海岸までマテ貝を掘りに 久留仁譲二のマイクロツーリズム

 昔から憧れていたマテ貝の潮干狩り。おととし初めて実現、楽しかったので昨年も行きました。 2回とも、福岡県行橋市のメッカ、簑島海岸。今年はコロナ禍で閉鎖していましたが、緊急事態宣言が解除された後、「もういいだろう」と漁協に電話したら、「今年はもう開けません」との話。どうしても、掘りたくて、県境またぎましたが、大分県豊後高田市の真玉海岸にまで足を延ばしました。

出典:譲二

 還暦まであと丸1年となった久留仁譲二です。「還暦」というのは、一回り人生を生きて、生まれた時点、赤子に還るという意味なのでしょうが、未熟な私は、一回り生きてないし、大人らしく成熟もせず、幼稚なダメ人間のままなので、還暦者の資格はなかろうと思います。  そんな私は子どもの頃から生き物が好き。猫や犬などの動物、カブトムシ、クワガタやバッタなど昆虫、魚貝類などなど。見るのも、採るのも、普通に食べられるものは食べるのも好きです。寝る前に生き物の図鑑を見るのが日課でした。

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 昔からマテ貝にも興味津々でしたが、長らく見たことも採ったこともありませんでした。3年ほど前会社の後輩が、「豊前海に掘りに行ってる。めちゃめちゃ面白い」というので、好奇心が湧き起こりました。そして、2年前友人に誘われ、福岡市内から約2時間、行橋市の簑島海岸、まさに豊前海の眼前にて「マテ初陣」を果たし、大人の階段を一歩登ったのでした。

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 昨年は、マテ掘り隊を子ども含む総勢5人に増員、同じ簑島海岸で前回にを上回る成果を挙げ、「マテ掘り界のニューリーダー」へと進化しました。おととしはあまり気付きませんでしたが、昨年はやたら中国だか台湾の海外からの旅行者の人たちがマテを掘っている姿が目立ちました。  で、今年も解禁時期の3月を控え、手ぐすね引いてマッテいたら、思いもよらぬ新型コロナウイルスの蔓延が起こったのです。ある時期から”漁場”の海岸は閉鎖されました。それでも、無視して勝手に海に入る不心得者が報道されてましたが、イイトシしてそんな横紙破りしてまでやる気はありません。

 国の緊急事態宣言が解けて、梅雨にも入る6月が近づいた頃、昨年掘りに行った仲間たちも色めき立ちました。「このまま、マテの顔を見ることなく今年が終わるのか」。5人の思いは同じです。行きなれた簑島は、どうしてもダメだというので、以前NHKでマテ貝を掘る様子を紹介していた大分県北部の豊後高田市の真玉(またま)海岸に狙いを定めました。市の観光協会に電話をかけると、力強く「貝掘りはできる」とのことです。

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 決行日は、6月6日と定めました。「可愛いコックさん」の絵描き歌では、雨ザーザー降ってくる日です。  九州地方知事会も、「6月からは県境を越えた自粛はせずとも良い」とお墨付きをくれました。  砂に潜りこんだマテ貝をおびき出す”えさ”の食塩を大量に買い込み、準備万端。福岡市南区の自宅から車で太宰府市の友人の家まで行き、彼の車に乗り換え、その後、西鉄二日市駅で残り3人のメンバーを拾います。元々、私を誘いマテ掘りに釣連れて行ってくれた太宰府氏は、これ以上ない満面の笑みで私を待ってました。よっぽど掘りに行きたかったんでしょう。50過ぎても無邪気です。

出典:譲二

 高速道路と一般道を乗り継ぎ、3時間弱で現地到着。「そばカフェゆうひ」というお店が、入漁料500円の徴収とかの受付や必要な人にはクワなど用具の貸し出しも行っています。自分らは、道具はあるので、お金払って、ついでにいくさの前の腹ごしらえ。運転しなくて良いメンバーはビールや焼酎を注入、早くもゴキゲンです。  「ゆうひ」という店名、実はここ真玉海岸は、「日本夕陽百選」に選ばれるほど、干潟に夕陽が映える風景が最高といわれる場所なのです。私は写真を撮ってないので、ご興味のある方は、「真玉海岸 夕陽 画像」とかで検索してみてください。  恋がかなう、と言い伝えられる「恋叶(こいかな)ロード」という場所もあるらしいので、マテ貝掘りに興味の無い若い男女はそっちに行ったらどうでしょうか。

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 そばで満腹したら、ただちにマテ掘り開始です。本日は、大潮。15時過ぎの最干潮に合わせてきました。しっかり潮が引いてます。人も意外に少なめ、密が避けられます。天気もいい感じに曇りで、暑くもなく絶好の潮干狩り日和です。私は、畑作業に使うプロ仕様の大型クワを持参、やっぱレジャー用の華奢なタイプよりもうまい具合に掘ることができますわ。

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 どんどん採れます。

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 受付のところには、「ここはマテ貝しかいません。アサリやハマグリは採れません」と貼り紙がしてありました。ほんとに、マテ貝しか採れません。昨年、一昨年の簑島海岸では、いくつかハマグリもいたのですが。同じ海岸線で、距離的には40kmほどしか離れてないと思いますが、獲物は違うんですね。

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 休みもせず3時間ほど無心に掘りました。前かがみの作業なので、腰が痛くなってきました。

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 もう十分採ったので、これ以上の無用の殺生はやめます。ほんと腰も痛いし。

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 ここには映っていませんが、なぜか生きた鮎がいて、それも持ち帰りました。

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 友人の子ども、小学3年生。うれしそうです。鮎は彼が捕りました。

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 一日海水で置いて、調理します。鷹の爪をきかせたニンニクバター炒めです。

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 出来ました。ネットに書いてた”魔法の潮”「クレイジーソルト」を少量加えました。そのせいか一味違う気がしました。自分で採ってきたマテ貝の味わいは格別です。コロナ騒ぎで店に行ってないせいで、71日間抜いていたアルコール、解禁しました。缶ビール1本ですが、十分満足です。

 今年のマテ貝体験は、多分これで終わりですが、今回車を運転した「太宰府氏」は、抜け駆けで翌週も真玉海岸を訪れていました。人も少なく、現地の管理人のおじさんに、手取り足取りコツを習ったそうです。で、当地では、冬でもマテ貝を採ることができるそうです。寒がりの私は、それは遠慮しときます。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

米国の本家と同い年のシニアブロガー。毎晩長いときは30分に及ぶ歯磨きを欠かさない。最近覚えたメルカリへの出品にはまっている。
17年乗った作業用の軽トラックをカッコいいカーキ色の新車に買い替えた。

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