子どもが園や小学校に入ると、どうしても避けて通れないのがPTAですよね。在籍中に必ず一度はPTA役員をやらなければいけない決まりがあるところも多いのではないでしょうか。私の子どもが通う保育園では、PTA会長がなかなか決まらず、大変な思いをしたママ友がいました。
くじ引きで決まるPTA役員
子どもが通う保育園では、古くから続いているPTA活動があります。活動内容は夏まつりやバザーなどで、子どもたちも毎年とても楽しみにしているものでした。
しかし、休みの土曜日に集まって会議をしたり、仕事の合間に業者と連絡を取ったり、子どもを寝かせてから資料作成をしたり… 働きながらのPTA活動はかなり負担の大きいもの。
PTAの役員をやりたがる人は毎年少なく、立候補がない場合はくじ引きで決定されるという規約があったのです。
まさか、PTA会長に?!
子どもが通う保育園は規模が大きく、約200人のうち15人という確率なので「今年もきっと当たらないだろう」と私はのんびり構えていました。
ところが、その年のくじ引きでみごと当選。困ったなぁと思いましたが、仲の良いのママ友も一緒に当選していたので、心強く感じていました。
「私たち運が悪かったね」
「どんな仕事があるのかな…」私たちが緊張しながら初めての会合に行くと、今度はPTA会長や係を決めなければいけないということで…
「PTA会長は立候補がない場合、くじ引きで決定させていただきます」またもや衝撃のアナウンスがありました。PTA会長は、全体の方針を決定するなど責任のある仕事が多く、負担の大きい役職です。
勝手を知っている人たちは、会長を逃れるためにどんどん書記や会計に立候補していきます。
「あぁ、ちゃんと規約を読んでおけばよかった…」後悔もむなしく、どんな係が良いのか迷っている間にどんどん会は進んでいきます。
そして、PTA会長の番。
「どなたか立候補はいませんか?」
「…」会場はシーンとして、全員かたい表情でうつむいています。
「では、くじ引きで決定します」どうか当たりませんように…!! 祈るような気持ちで箱に手を入れる司会者を見つめていました。
「りんご組、〇〇さんです」呼ばれたのは、ママ友の名前でした。
ママ友の衝撃の決断とは?!
ショックで呆然としているママ友に私は何と声をかけてよいか分からず、当たり障りのない会話をして、その日は別れたような気がします。
その後、しばらくして、ママ友から驚きのメールが来ました。
「子どもが保育園を退園することになりました。今までありがとう」
もしかして、PTA会長が原因…?!
びっくりして電話をかけると、
「人前に立つのは向いてないし、夫も仕事が忙しくて頼めないの。当選した人は病気とかよっぽどの理由がない限り辞退できないんだって…。PTA会長は絶対無理だから、もう退園することにした」と話してくれました。
私はママ友の大きな決断に、驚きを隠せませんでした。待機児童も多い地域なのに、保育園見つかるのかな? 転園する労力に比べたらPTA会長の方がまだ楽な気がするけど… 自分がなってもおかしくない状況だっただけに、いろいろな考えが頭をよぎりました。
結局彼女は退園し、またくじ引きで新しい会長が決められました。
数カ月後、彼女は保育園に入りやすい地域に引越し、そこで転職も成功させたそうです。
PTAのくじ引きがママ友一家の環境を大きく変えてしまったのですが、新天地で楽しそうに暮らしている彼女の様子を聞くと、人生何が転機になるかわからないなぁと思うのです。
(ファンファン福岡公式ライター/demi)