サッカー少年団の役員会での出来事です。団員不足により月謝名目の収入が激減したため「コーチ代の支払いを見直そう」と節約の話し合いをしていました。が、とあるお母さんの一言から「おそろいの試合バッグ買いましょうよ!」に話題が急展開。節約の話はどこ行った?
保護者が運営するサッカー少年団
長男は小学校のサッカー少年団に所属しています。保護者が運営しているので、コーチ陣は団員のお父さん、試合の引率や練習を見守る当番は団員のお母さんです。
その他にも役員会が組織されており、会長や副会長、会計や監査役などはお母さんたちが引き受けています。
役員は年度で交代しますが、練習会場の場所取りや試合エントリーの手続き、コーチへ謝礼や試合参加料の支払い、役員会や父母会の開催、レクレーションの企画立案等けっこう忙しいのです。
「少子化」と世間では言われて続けていますが、長男が小学校に入学するまで特に意識していませんでした。ところが入学してビックリ。1学年2クラスしかないのです。しかも1クラスは全員で20名ほど。私が小学生の頃は子どもがたくさんいて、1年生の時は1クラス40人程で5組まであったのを覚えています。
他の学区に通う保育園時代のママ友にも聞いてみましたが、どの学校もだいたい2~3クラスしかないと聞いて衝撃を受けました。「本当に少子化だったんだ!」
部員が減って貯蓄が半分に
わが少年団は慢性的に、団員不足に直面しています。
それもそのはず近隣には、バスケットや野球の少年団、プロサッカーチームが経営する子どもサッカークラブなど、選択肢がたくさんあるからです。対して、素人コーチ陣が所属するサッカー少年団は、親や子どもたちには魅力的に映らないのかもしれません。
そんなわけで、試合に参加するために必要人数をそろえるだけで精一杯のわが少年団は、サッカー知識ゼロの1年生でも試合に出場できてしまいます。
先日、新旧役員の交代のため役員会があり、会計担当のお母さんからこんな報告がありました。
「年々団員数が減少しているため、月謝だけでは少年団の貯蓄が心細くなってきました。1年で貯蓄が半分に目減りしています。団員が増えない限り、節約してもらわないと今後はお金が底をつきます」とのことでした。
少年団のコーチ陣は10名以上所属しているのですが、ほとんどが団員やOBのお父さん。いつも練習にくるコーチと、全然来ないコーチの二極化が進んでいます。
節約のための話し合いのはずが…
とあるお母さんから
「全然来ないコーチの保険料900円や資格更新料10,000円は、これから自分で払ってもらいませんか?」
「謝礼として払っている10,000円も半額にしましょう」と提案がありました。
「家庭でも節約… 少年団でも節約か…」と、お母さんたちがため息交じりにこぼしています。
そんな重い空気が漂っているなか、とあるお母さんが
「この前試合に行ったとき、別のチームがIKEAのバッグをお揃いで使っていたので、うちも買いませんか? 全員で揃えたら見た目がカッコイイと思うし!」と急に話題を変えてきました。
すると全員が一斉にスマホを取り出して、あらゆるサイトで試合バッグを検索し始めたのです。大きさ、価格、送料を調べて
「これはどうかな?」
「こっちの方がよくない?」などと、延々とやっています。
そのうちに、先ほど「節約、節約!」と力説していた会計担当のお母さんが
「それよいですね! 送料900円で安いし… 今買ってもらってもいいですか?」と大興奮。
どんぶり勘定が身を亡ぼす
場の雰囲気を壊さないように、一部始終を観察していた私もさすがに頭の中が「?」で一色に。コーチ代は節約だけど、子どもには大盤振る舞い。さっき、コーチの保険料900円も自分で払わせようって話していたような…。
2時間半の長い役員会が終了し、やっと解放されて家路についた私。ふとスマホを見ると、グループLINEでいまだに試合バッグについて論議が交わされています。
この一件で「少年団の貯蓄がない」のではなく、「お母さんたちのどんぶり勘定が貯金を目減りさせてきたのだ」と確信しました。
そして私は断言します。このお母さんたちに会計を任せていたら「間もなく少年団の収支は破綻する」と。
(ファンファン福岡公式ライター/ダイワ エノ)