約一年前、わが家は注文住宅を建てる土地を探していました。ハウスメーカーから紹介された好条件の土地は、少し待てばわが家に契約の権利がうつるはず… でしたが、まさかの事態が起こったのです。
マイホームの土地探し
わが家の希望は「土地+家の予算総額が4,000万円で土地の予算は2,000万円以下」。
しかも人気の、南向きの整形地に絞っていました。ネットや不動産で探すも北向きや他の土地でかこまれた旗竿地(はたざおち)ばかりで、希望どおりの土地に出会うことができませんでした。
並行してハウスメーカー巡りもしていましたが、4社中3社から「まずは土地を決めていただいて…」と言われてしまい、マイホーム計画は停滞します。しかし、残り1社のハウスメーカーを訪れた時に、土地探しが大きく前進したのです。
念願の土地が手に入る?
そのハウスメーカーは、自社で土地の買い付けも行っているそう。
打ち合わせの開始直後
「実はまだ決定ではないのですが…」と、ある土地を紹介されます。その土地は南向き整形地、1,000万円台、そして広さもわが家の希望にピッタリだったのです。
思いがけない話に夫も私も
「すごい!」と目を輝かせますが、この土地は現在、他の方が購入しようとしているそう。しかし現在契約中の方は住宅ローンの審査落ちが9割以上確定しており、正式に結果が出るのを待っている状態。審査に落ちた場合は契約できない見込みなので、私たちに紹介してくれたそうです。
担当営業から、現在の方が契約に至らなかった場合、この土地の契約を希望するか聞かれます。
夫と一瞬顔を見合わせますが、相談しなくてもお互いの答えは分かりました。1カ月間土地を探し続けた経験上、ここ以上の土地には今後出会えないという確信があったため、ほぼ即答で
「希望します」と答えました。
正式な結果が出たら担当営業からメールがくることになり、打ち合わせは終了です。ハウスメーカーで土地を紹介してもらうという展開は驚きでしたが、土地探しから解放されて私たちはひと安心。
審査結果が出るまでの約2週間、私たちは周辺の散策も兼ねて、現地へ3回足を運びました。決定ではないと分かっているつもりですが、まだ更地状態の土地の前に立った私たちは
「ここに家が建つのか…」と、既にわがもの同然で感慨深い気持ちになっていました。
まさかの結果にあ然
そして迎えたメールがくる当日。
何度もチェックを繰り返していると、お昼前にメールが届きました。
現在契約中の方に少し悪いかな… と思いつつも
「メール開くよ!」
「ドキドキする」と、夫も私もワクワクしながらメールを開きます。
いよいよ土地の権利がわが家にうつる… はずだったのですが、文面を読んだ私たちは青ざめることに。最初に「誠に申し訳ございません」と書かれたメールは、以下の内容だったのです。
事前に聞いていたとおり、現在契約中の方は住宅ローンの審査に通らなかったそう。しかし親族から資金援助があり、なんと、現金一括で購入! その結果、あの土地は契約中の方のものになったということでした。
まさかの大どんでん返しに、夫も私も呆然。2人ともパソコンの画面を見たまま、しばらく言葉が出ませんでした。
もう一度提案を受けることに
夫が
「注文住宅はもう諦めようか」と言うくらい落ち込んだ私たち。けれど、メールの最後に「もう一度土地の提案からさせていただきたい」と書かれていたので、少しの希望を持ってその日の午後に店舗へ足を運びました。
申し訳なさそうな顔で現れた担当営業から謝罪された後に、新たな土地を紹介されます。
「今日買い付けたばかり」という分譲地は広さ、形、方角、そして価格において前回の土地とほぼ同じ条件で、私たちは少しずつ気持ちが立ち直ります。
10区画の中から南向き整形地を選び、その日のうちに土地を契約。
「良い土地に出会えて良かったね!」と夫と言い合い、スッキリした表情で店舗を後にすることができたのでした。
土地を購入するまでに一度痛い目にあった私たちでしたが、大どんでん返しをくらったのは、他人が泣く泣く土地を手放す瞬間を心待ちにしてしまったからかもしれません。
このできごと以降、人の不幸を喜んではいけない、と心に刻み込んでいます。
(ファンファン福岡公式ライター/坂 真琴)