小学生の子どもがある日突然「学校へ行きたくない!」と訴えたらあなたはどうしますか?無理やりでも行かせる・休ませるなど家庭によっても対応は異なるかと思います。できれば毎日元気に通ってほしいというのが親心ですが、子どもの心や身体の健康を第一に考えて欲しいです。親ができるサポートや寄り添い方を保育士ママライターと一緒に考えてみましょう。
全国に不登校児はどのくらいいるの?
かつて子どもだった親たちも一度や二度は学校へ行きたくない!と思ったことがあるでしょう。現在も多くの子ども達が学校に行けずに悩んでいたり、フリースクールや自宅で過ごしています。
2023年10月に文部科学省が公開したデータでは、小中学校における不登校児童生徒数が29万9048人にも及ぶことがわかりました。これは2022年度の24万4940人から22%も増えており深刻な状況にあります。中学生だけをみると1クラスで2人が不登校の状態にあるという割合になっています。
小学生の不登校者数は、1年生から6年生まで学年が上がるにつれて増加しており、過去3年間をみても全ての学学年で不登校児童が増えています。
参照:令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について (mext.go.jp)
学校へ行きたくない理由は?
小学生が学校へ行きたくないと思うには何かきっかけや理由があります。子どもが学校へ行きたくないと言った時には、なぜそのように思っているのか、原因は何なのかを探ることが大切です。理由によっては正直に話せない子・いくつかの要因が重なっている子などさまざまですが、以下のようなことが原因に挙げられます。
勉強がわからない
授業の内容についていけない、勉強ができないことを先生や友達にからかわれたなど学習面でひけめを感じ学校へ行きたくなくなる子もいます。
特に、幼稚園・保育園から進学したばかりの小学校1年生は、それまでの生活とはうって変わって長時間椅子に座り授業を受けることになかなかなじめないという子もいるでしょう。漢字や足し算、文字の読み書きなども苦手な子にはハードルが高く感じられます。
小学校3年生、4年生の頃は掛け算や割り算、小数・分数など複雑な計算が始まり一度つまずいてしまうと周りのペースについていけなくなります。このような学習面が理由の場合は家庭での勉強のフォローをきちんとしてあげる必要がありますね。
先生が苦手
担任の先生が怖い・苦手という子どもも多いです。先生との相性は学校生活に大きく影響を与えます。高圧的な態度の先生や、子どもの話を聞いてくれない・悩みを話しても相談に乗ってくれない・傷つくこと言われた・理不尽な態度が嫌だ…などさまざまなきっかけで先生に対して恐怖感を覚えたり信頼感をなくしてしまいます。
少しずつ教科担任制に移行しつつある小学校教育ですが、現段階では高学年の一部のみ行われているなどまだまだ担任の先生との関わりが主なのが現実。他の先生に頼ることもできずに悩みを抱え込んでしまう子も多いでしょう。
友達とうまくいかない
仲の良い友達と喧嘩してしまった、クラスに馴染めずに独りぼっちになってしまう等友達関係に悩む子も。特に繊細で相手に気を使う優しい心を持っているお子さんは、お友達の行動や心理にも敏感なため嫌われているのではないか?などと考え込んでしまうこともあります。
学年が上がるにつれてクラスでグループができがったり交友関係が深まっていくので、輪に入れない時はより孤独感を感じてしまうかもしれません。
いじめ
いじめが原因で学校へ行きたくないという子もいます。精神的に追い込まれてしまい生きていること自体がつらくなってしまうなどで悲しい事件も起きています。
友達からの一歩的な意地悪や暴言があった時には連鎖したり継続したいじめに発展する可能性が。より一層子どもの様子を気にかけて寄り添いフォローする必要があります。
授業がつまらない
勉強についていけなくて学校が嫌な子がいる一方、授業が簡単で退屈・つまらないという子もいます。公立の小学校はすべての子が理解できるようにできる子に合わせて進むわけではなく、ゆっくり・じっくりと授業を行い知識だけではなく考える力も養います。
塾に通っていたり、先取りで勉強を進めている子、中学受験に向けて勉強している子にとっては学校の授業は簡単すぎてつまらないと思うでしょう。
また、授業が単調で工夫がない場合も退屈に思います。ただ教科書通りに読みすすめ教科書の内容を板書するだけの授業で子どもも飽きてしまって当然ですね。
親と離れるのがいや
小学校へ入学したばかりの1年生は、環境が変わり一人で登下校したり親と離れることに不安を抱く子も多いです。
このような場合ははじめのうちは泣いて登校渋りが続いたり、親も一緒に送り迎えをすることが続くかもしれませんが、学校生活に慣れてくると次第に学校へ行きたくないということが減ってくるように。
寝不足や疲労
入学したての1年生や、習い事や塾に通い就寝時間が短い小学生は寝不足や疲労から学校へ行きたくないと言っている可能性も。朝早く起きられない・授業中も眠くてしんどいなどからやる気や集中力も低下してしまいます。
学校へ行きたくないと子どもが言った時の親の対応
子どもが「学校へ行きたくない」といったらどのように対応すればよいでしょうか。子どもの言い分を聞かずに無理やり送り出すのはNG。わが子の心や身体を守りながら親ができるサポートを考えてみましょう。
子どもの話を聞く
まずは、なんで学校へ行きたくないのか理由を聞いてみましょう。子どもの中には理由をうまく親に伝えられない場合もあります。問い詰めるような話方ではなく、優しく子どもの目線で話を聞いてあげることがポイントです。
いくつかの理由がある場合、大本の問題を隠して当たり障りのない理由を話すことも。問題になる前から子どもと学校生活の話を話せるようにコミュニケーションをとって関係を作っていくことが大切です。
理由から解決方法を探す
なぜ学校へ行きたくないのか理由が分かったら、解決できる方法を親子で考えてみましょう。
勉強が分からないなら、家でフォローをしたり通信教材や塾へ通わすなどできることがあります。子どもの学習ペースは人それぞれ。ゆっくりでも理解できるようにその子のペースに合わせて無理なくフォローしてあげましょう。
友達関係のトラブルなら、子どもにどうしたいかを聞いたり、相手の友達と話す機会を作るなど対応策を考えます。わが子の話だけでは分からない側面もあるので相手の話をきちんと聞く姿勢を親ももちたいところ。
担任や学校内でのトラブルが原因なら学校へ相談してみるのがよいでしょう。
無理強いはしない
「頑張っていきなさい!」「一度休んだら不登校になるよ!」「これくらいで休むなんで弱い子ね」など子どもの気持ちを無視して否定的な態度をとるのはやめましょう。
親としては不登校は避けたいと思うのも当然ですが、まずは子どもがきちんと話をしてくれたことにありがとうと伝え、どうしてもいけない場合は無理強いしないようにしましょう。「行かなくても大丈夫だよ」といえるような広い心でうけとめてあげたいですね。
担任やスクールカウンセラーに相談
学校へ行きたくないという日が続いた場合は、担任や学校のスクールカウンセラーに相談。子どもが一番つらいことは分かっているのですが、親もどうしたらよいか悩み不安になってしまいますよね。一人で抱え込まずに是非学校やカウンセラーに話を聞いてもらってください。
専門的なカウンセラーなどに相談すると子どもへの対応が分かるだけでなく、誰かと話を共有することで親も精神的に楽になるかもしれません。
信頼できるママ友などに子どもの様子を聞いてみる
いじめや友達とのトラブル、担任の先生の対応などに不信感を持った場合は、他の保護者から情報を得るのも一つの方法。信頼できる同級生のママ友がいれば子どもの様子をママ友のお子さんから聞いてもらうのもあり。
もしかしたら学級全体に問題があり同じように悩んでいる子もいるかもしれません。保護者間で情報共有し、意見をまとめてから学校へ話をあげると校長や教頭などと話し合いも行いやすくなります。
休ませて落ち着くのをまつ
どうしても学校へ行きたくない・足が動かないなど本人がつらそうならば少しお休みをして様子をみてみるのもよいでしょう。
「こんなことくらいで休ませてはいけない」と親が思っていても、学校が生活の中心である子どもにとっては非常に大きな問題なのです。「無理していかなくても大丈夫だよ」とゆっくりお休みをして気分転換したり、親子で過ごす時間を作って子どもの問題についてゆっくりと話し合ってみるなども必要です。
親も一緒に登校する
朝行き渋りがあっても、学校へ着くと楽しく過ごせる子もいます。そのような場合は教室や学校の門の前まで付き添って登校するなどし見守ってあげましょう。
最初は教室まで、次は校門、次はあの信号まで…など付き添う距離を少しずつ短くしていくと一人で登校できるようになるかもしれません。
学校が生活の全てにならないような配慮もしてみよう
小学生にとって学校は生活の全てと言っても過言ではありません。学童保育へ通っている子なら一日10時間も学校で過ごすことになります。お友達や先生との関わりがうまくいかない時は親の想像以上に悩み、苦しんでいるかもしれません。
そんな時には、学校だけがすべてではないと思えるような環境を提供してあげるというのもよいのではないでしょうか。根本的な問題の解決を図ると同時に、子ども達の息抜きや楽しみを見つけてあげられるように援助していくのも大切です。
習い事や塾を変えてみる
例えば、授業がむずかしくてついていけない子・反対に授業が簡単でたいくつな子にはそれぞれにあった学習塾へ通わせてみるのもおすすめ。ゆっくりペースのお子さんには自分のペースで学べるような個別指導塾や通信教材などを取り入れてみると劣等感を感じにくく勉強を進められます。
どんどん勉強を進めたいお子さんなら中学受験塾のような応用問題などを取り扱う進学塾も。
また、ピアノや体操、プールなど何か子どもが興味のあることの習い事をして生活に変化を与えていくと気分転換にもなります。学校以外にお友達ができることで心のバランスをとりやすくなることも期待できます。
休日は休息と娯楽をバランスよく
睡眠不足や疲労で学校へ行きたくないというお子さんなら、休日はゆっくりと休めるように予定を詰めすぎないことも考えていきましょう。心身共にリフレッシュできるような公園や広場へでかけたり、家族の時間を楽しめるようなゲームを一緒にするなども。
お母さんと離れるのが寂しくなってしまうという子には、休日に思い切り甘えさせてあげたりお出かけの楽しみを作るなどし週末まで頑張れるような声掛けをしていくなどもよいですね。
どうしても学校へ行けない時には…
どうしても学校へ行けないという場合には、学校以外の過ごせる場所、教育を受けられるような方法を考えてみましょう。
フリースクールも一つの居場所
学校へ行けずに不登校が続く場合には「フリースクール」に通うという子ども達も多くいます。フリースクールは不登校の子供に対し、学習活動や教育相談、そのほか体験活動などを行っている民間の施設のこと。
規模や活動内容は多種多様であり、民間が運営・管理をしています。平成27年度に文部科学省が実施した調査では、フリースクールは全国で474施設あります。
フリースクールには通信制のものも
同級生や教師と対面での授業にトラウマがあったり抵抗がある子どもには通学型のフリースクールではなく、オンラインを利用した通信制のものもおすすめです。
自宅でもしっかりと勉強を進めることができるので安心した環境で過ごせます。
フリースクールでも出席扱いになる?
学校には通えなくなってしまっても、勉強したい・進学したいと意欲のある子ども達を救うために「出席扱い制度」というものが存在します。これは復学を目的とした意思があり、学校側が認めた場合に行える措置なので、子ども達にこの先復学や進学の意思があるならば、小学校側にきちんと伝えてルールや制度を確認しておく必要があります。
子どもの命を最優先に考えよう
私たち保護者は、学校へ行きたくないという子どもの気持ちを軽視することなく、子どもの命を最優先に心を体の健康を維持できるようサポートする必要があります。
世間体や見栄など大人だからこそ抱えるジレンマもあるかもしれませんが、子どもの命と比べたら守るべきものはおのずと決まってくるのではないでしょうか。子どもの声に耳をかたむけ、子ども様子に目を向け、気持ちを受け止めてあげてくださいね。
焦らず一歩一歩問題を解決できるように、子どもが楽しく未来へと踏み出せるように時には親もサポートしてもらいながら歩んでいきましょう。
【参考文献】
・資料4(その2) 不登校の児童生徒への支援について:文部科学省 (mext.go.jp)
・フリースクールとは?不登校の子どものための授業内容、費用や利用方法、在籍校の出席認定について解説【LITALICO発達ナビ】 (h-navi.jp)