松田聖子が慕った福岡出身の編曲家「大村雅朗伝説」28日BS日テレ

 「青い珊瑚礁」「チェリーブラッサム」「白いパラソル」その他、松田聖子が歌った数々の名曲や、佐野元春、吉川晃司、大澤誉志幸、八神純子、渡辺美里…、幾多のミュージシャンの楽曲の編曲を手掛けた大村雅朗。日本の音楽界に確かな足跡を残した彼が福岡市出身であることは、意外に知られてないようです。1997年46歳の若さで急逝した伝説の編曲家の人生を追った番組「風の譜(かぜのうた)」が、6月28日(日)18時30分~19時54分、BS日テレで放映されます。2019年9月に、FBS福岡放送開局50周年記念特番として、福岡・佐賀地区限定で放映された番組ですが、多くのファンの熱い要望に応えて、全国放送が実現したのです。その番組、私はFBSの放送で見て録画もしていますが、音楽特に日本の歌謡曲やJ-POPが好きな人には、ぜひ見てほしいと思います(文中一部敬称略)。大村雅朗の「音の魔術」に魅せられ、ほぼ40年の久留仁譲二に紹介させてください。

出典:FBS福岡放送

 福岡県は、多くのミュージシャンを輩出しています。名前を挙げればキリがありません。他方、編曲家として一時代を築いた大村雅朗(おおむらまさあき)さんを知る人は意外に少ないのでは。  福岡市博多区奈良屋町の老舗京染店に生まれ、奈良屋小から博多二中を経て大濠高校へ。小学生でピアノを始め、中高では吹奏楽部に所属。後にヤマハ音楽振興会で働きながら、母校の大濠高校の吹奏楽部の指導にも携わった根っからの音楽好きは、日本を代表する編曲の名手となりました。  私が大好きな曲「そして僕は途方に暮れる」(大澤誉志幸)、「マイ・レボリューション」(渡辺美里)も大村アレンジです。よく聴いていた頃は、それも知りませんでしたが。

出典:西日本新聞社

 そんな大村さんは23年前、1997年6月29日、46歳で亡くなりました。2019年の西日本新聞の記事によると、「結婚すると感性が鈍る」と独身を通し、博多区の古刹・聖福寺に眠ります。  その命日の前日、6月28日(日)の18時30分からの1時間半弱、BS日テレで、大村さんの知られざる素顔に迫った番組「風の譜(かぜのうた)~福岡が生んだ伝説の編曲家 大村雅朗~」が放映されます。冒頭に書いたように、元々地元テレビ局のFBSが制作した番組で、福岡県と佐賀県内の視聴者にしか届いていなかったのですが、19年9月の放映後話題になり、番組にも登場する作詞家の松本隆さんはじめ多くの人の要望で今回の放映が決まったのです。

出典:FBS福岡放送

 番組広報資料によると、松本さんは、大村さんを仕事のパートナーとしてだけでなく、弟のように思っていたそうです。今回の番組を機に大村さんの故郷、福岡市博多区を訪れ、聖福寺でお墓参りもしています。  松本さんの出発点は、日本語とロックの融合を模索したバンド「はっぴいえんど」。その名盤にもつながる当地でのエピソードも番組内で紹介されます。

出典:FBS福岡放送

 番組には豪華なメンバーが多数出演します。八神純子、渡辺美里、財津和夫、鈴木雅之、クリス松村、原口あきまさ、若松宗雄…。若松さんは、あの松田聖子を発掘した名プロデユーサーです。  で、その松田聖子の「白いパラソル」は財津作曲、大村編曲という「福岡県出身トリオ」に、松本さん作詞という組み合わせ。他にも「夏の扉」「チェリーブラッサム」も福岡トリオによる作品です。

 ところで「編曲」というのは、作詞や作曲と違ってちょっと何をするのかよく分からん人も多いと思います。私なりのすごくザクっとした解釈では、「曲の伴奏部分を作る」というところですが、当たらずといえど遠からずでしょうか。1)イントロ、2)歌などの主旋律の後ろの演奏やハモり、3)間奏、4)エンディングを工夫して作り、楽曲に彩りを加える作業とでもいいますか。  大村さんは、元々の才能もすごいんでしょうが、専門的な音楽教育も受けたプロフェッショナルで、緻密そのものの仕事ぶりだったように、いろいろなところで言われてるようです。「頭の中に描いた完成形を追求して、針の穴を通すような作業」という人もいます。そのあたり、「まあ、よかたい」的ざっとした博多っ子イメージとは、対極にあるように思います。

出典:FBS福岡放送

 八神さんのスタジオライブもあります。「みずいろの雨」が編曲家・大村雅朗の出世作なのでしょうか。昔、友達が好きで、中国語の勉強をしながら何百回も聴いてました。「パープルタウン」が好きでした。  私は音楽の専門的なことはわかりませんが、大村編曲の魅力の一つは、楽器そのままの音とはちょっと違う独特の音色づくりが際立つことだと思ってます。とくにイントロが特徴的です。  「マイ・レボリューション」のキュルキュル弾くような電子ピアノ(?)、「そして僕は~」のくぐもったような少し引きずるシンセ、一度聴いたら耳に残りました。「イントロ当てクイズ」なら音速で反応できる自信があります。

出典:FBS福岡放送
出典:FBS福岡放送

 番組では、大村さんの大ファンという歌手で声優の中島愛さんや、生前大村さんと仕事を共にしたレジェンド・ミュージシャンが一同に会しての大村作品のライブ演奏も楽しめます。  また、今年デビュー40周年を記念してリメークされた松田聖子さんの名曲「SWEET MEMORIES 」(詩・松本隆、作編曲・大村雅朗)の制作秘話も語られます。  近年、日本はおろか外国の若者にも70~80年代歌謡がブームだと聞きますが、時代を超えた楽曲の魅力づくりに大村雅朗さんが大きく寄与したことは間違いないと思います。

出典:FBS福岡放送

 昔(といっても30年くらい前)は、こんな精密な音響機器の近くでもタバコが吸えたんですね。時代を感じます。  ネタバレするので多くは書けませんが、私も昔時々通っていたお店を松本隆さんが訪れていたなど、意外な事実を知る場面があったりして、福岡の地元の風景も楽しめます。日曜の夕方は、ぜひBS日テレにかじりついてください。  ナレーターも、福岡市出身の西内まりやさん。地元が生んだ「楽曲を完成させる魔法を持った」編曲家の実像を、福岡色の強い出演者とともに感じてみてください。

風の譜~福岡が生んだ伝説の編曲家 大村雅朗~

放映日時:6月28日(日) 18:30~19:54 放送Ch:BS日テレ 出演:松本隆、八神純子、渡辺美里、中島愛、財津和夫、鈴木雅之、クリス松村、原口あきまさ、若松宗雄、 福岡竜馬(FBSアナウンサー) ナレーション:西内まりや 監修:梶田昌史(書籍「大村雅朗の軌跡」著者)

風の譜 番組公式ページ

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

米国の本家と同い年のシニアブロガー。毎晩長いときは30分に及ぶ歯磨きを欠かさない。最近覚えたメルカリへの出品にはまっている。
17年乗った作業用の軽トラックをカッコいいカーキ色の新車に買い替えた。

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