高校生の娘の夢は神社の神職!? 中学不登校からある日抜け出したきっかけとは


もしわが子に将来は神職になりたい! と言われたらどうしますか? 中学入学とともに少しずつ始まった不登校の娘が選んだ将来の夢は神職でした。きっかけは? 神職になるには? 夢を追う娘の体験記です。

目次

中学入学後、娘が不登校に

写真AC

 わが家は親の都合で小学校のとき、一度子どもたちを転校させました。引っ越したとしても、以前の校区に戻れば友人関係は大きくは変わらないし、学生生活は丸く収まると思っていたのです。

 ところが娘は中学入学後しばらくしてから、朝起きられない、腹痛がひどくなることが増えました。
 複数の小学校から一緒になった新しい同級生と上手く付き合えず、えこひいきな先生への不信感などが原因だったようです。

 娘のあまりの体調悪化に病気を疑うほどでした。その後、病院を受診し「ストレスによる体調不良」とわかり、親子で葛藤する日々が始まりました。

 朝、制服を着て支度しても登校時間が迫ると、吐き気が我慢できなくなり洗面所で半泣きになりながら耐えている娘。

 ある日は
 「社会に出たら辛いことはたくさんあるんだよ!」と叱責してしまい、またある日は
 「無理なら午前中で帰っておいで… 迎えに行くから」などと励ましたりと親子で手探りの毎日でした。

 ママ友や学校の先生、スクールカウンセラー、医師との会話を続けながら娘の行く先を見守り続けるしかありませんでした。

気分転換の神社参り、そして夢を見た

写真AC

 娘が中学2年生になったある日、「家にばかりいてはではだめだ!」と思い立って神社に行きました。親子で季節の節目にはお参りに行く地域の神社です。

 すると翌日、娘は不思議な夢を見たと話してくれました。

 海の上の下り階段、大きな鳥居が先の方に見えて海に続いていたそうです。
 振り返ると人が立っていて、
 「ここには来てはいけないよ。大丈夫だから、もうお帰り」と。静かに教えてくれたそうです。「大丈夫」の言葉をもらった娘はその日から少しずつ自信を取り戻していき、不思議と体調も良くなっていきました。

 そしてきっかけになった神社・神職に興味を持つようになっていきました。ただ、進路はまだ迷っていたこともあり、高校受験では総合学科のある高校を選びました。

神職になるにはこんな道のりがある

写真AC

 興味がある職業ができた娘は、高校に進学してからは自分自身を少しずつ取り戻し、神職について調べるようになりました。

 神社の神職さんに直接聞いてみたところ、
 ・神職はそれぞれが代々守ってきた神社にお仕えすること
 ・全ての神社に神職はいないこと、なり手が少なくなっていること
 ・神学系の大学に行けば一般の人でも神職を目指せること

 などを教えてもらいました。

 ただし、神職になるための大学は少なく、皇學館大学(三重県)と國學院大學(東京都)の2か所です。しかも、それぞれ神学系のコースの枠は狭くその多くが推薦で埋まってしまいます。

 そのため、推薦枠を獲得できることが大学受験へのカギとなります。高校生活で学校推薦が受けられる「出席日数、成績・評定、部活動の活動状況、普段の生活態度など」が考慮されます。また推薦入試とは異なるAO入試も導入されさらに多様化されています。

娘のかたい決断

写真AC

 神職というのは宗教法人系の職業になるため、一般的な会社で得られるような保証がありません。
 また神学系の大学へ行き、正階(神職の資格)などの資格を取っても神社庁に所属している神社に所属しなければ、その資格をはく奪されてしまう可能性もあります。

 何より祝詞や祭祀を覚えたり修行が必要ですし、女性にとっては狭き門です。それでも神職を選ぶのかが子どもと話し合うポイントになりました。

 進学相談で
 「神職を目指します」と話すととても驚かれます。高校の先生は
 「得意な科目を活かして教師とかどう?」と様々な可能性を提示してくれました。

 それでも子どものかたい決断を尊重して、協力して大学に関する情報や入試対策の情報を集めたりしています。

 いま考えてみると不登校の際に必要だったのは、自信を取り戻すための時間だったと思います。模索している間は大変でしたが、一度学校以外に目を向けたことで道を見つけられました。

 今年娘は大学受験の年となりました。目指す神職になれるように応援していきます。

(ファンファン福岡公式ライター/musukari)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

ファンファン福岡(fanfunfukuoka)は、街ネタやグルメ、コラム、イベント等、地元福岡・博多・天神の情報が満載の街メディア。「福岡の、人が動き、人を動かし、街を動かす」メディアを目指しています。

目次