初めての出産は特に不安になってしまいますよね。私もとても不安を感じていましたが、夫が立ち合い出産を希望してくれていたので少し安心していました。でもまさか夫のおかげで余計に心配ごとが起きることになろうとは…。
出産前の入院
出産予定日が近づいてきたある日の昼ごろ、お尻に温かい水が流れたような感覚がありました。「もしかして破水では?」と思い病院に行ってみることに。
検査をするとわずかに破水した反応があったので、感染症などのリスクを避けるためそのまま入院することになりました。夫と一緒に先生から説明を受けると
「破水反応はあるがまだ陣痛が始まっていないため、出産まではしばらく時間がかかるだろう」とのこと。夫は
「家に戻って仕事の続きをしているから、陣痛が始まったら連絡して」と一度家に帰ることになりました。
夕方ごろから徐々に鈍い痛みが出始めたため、「ついに陣痛がはじまったよ!」と夫に連絡をいれましたが返事がきません。このときにもっと何度も連絡していれば…。
夫が電話に出ない?!
病院が近いこともあって最初は返信がないことに焦りはなかったのですが、1時間ほど経過してもまったく音沙汰がなく、何かあったのかという不安が押し寄せてきました。
「何時ごろ来れそう?」
「連絡ちょうだい」
「痛いよー」
「何かあった?」と何度もメッセージを送ったり電話をしてみたりしましたが、返信はありません。
お腹の痛みも強くなってきたので、看護師さんに事情を話して代わりに連絡をとってもらうことに。お願いできたことで少し安心し、出産に集中しようと気持ちを切り替えました。
しばらくして気持ちが少し落ち着いてきたところ、先ほどの看護師さんが申し訳なさそうに
「何度も連絡してみましたがダメです。電話に出ません…」と。急に不安が込み上げてきて私は涙が止まらなくなってしまいました。
「きっともうすぐ夫さん来るからがんばって!」
「何度も連絡してみるからね!」と、助産師さんや看護師さんが励ましてくれます。しかし、忙しいのに迷惑をかけてしまって申し訳ない気持ち、恥ずかしい気持ちと激しくなる痛みでだんだん夫に怒りが湧いてきました。
隣県に住んでいる夫の両親に連絡をし、何度も夫に電話をしてもらいましたが連絡はつきません。しびれを切らした義父母が車を飛ばして私の家に向かってくれることになりました。
到着した義父母が見たものは…
1時間後に義父母が到着し、インターホンを何度も鳴らすとようやく夫が出てきました。あきらかに寝起きの状態で…。夫は一度寝たら起こしてもなかなか起きないタイプなので注意しておけばよかったのですが、仕事をすると言っていたし私もそこまで気が回りませんでした。
夫が言うには、まだ出産まで時間がかかると聞いていたし、急に親になる実感が湧いて落ち着かず、缶ビールを一本飲んだらいつの間にか寝てしまっていたと。しかも携帯をマナーモードにしたままで。
普段は温厚な義父母もさすがに怒り心頭で、
「さっさと病院に行け!」と夫を病院まで連れてきてくれ、なんとか立ち会うことができました。
衝撃的な一言
到着した時は助産師さんや看護師さんたちが集まっている中でさすがにまずいと思ったのか、
「寝ちゃっていたごめん」と(ビールを飲んだことは言わずに)申し訳なさそうに言ってきました。
その時は無事に来てくれたことへの安心や、夫も仕事の疲れやプレッシャーがあったのかなと自分を納得させることができました。
しかし出産後改めて聞くと特に悪気もない様子で
「今まではいまいち父親になる実感が湧いてなかったけど、生まれるとなったら落ち着かなくてビール一本飲んじゃったんだよね~」と。そしてさらに衝撃の一言が。
「でも出産の時、イライラしたりあせったりで気を紛らわせたおかげで、陣痛の痛みをちょっと忘れられたならよかったじゃん!」
もうこの人には何を言っても無駄だ、絶対頼りにするのはやめようと思った瞬間でした。
このできごとから数年が経ちました。この話を蒸し返すことはありませんが、夫から家事や育児のことで文句を言われたり、夫の寝顔を見たときには思い出してイラッとしてしまうことがあります。「産後の恨みは一生」という言葉は正にその通りだなと感じたできごとでした。
(ファンファン福岡公式ライター/yuzuki)