私には現在4歳と2歳になる二人の息子がいます。今では二人の息子の母となった私ですが、結婚するまではずっと実家で父、母、兄弟とともに生活をしていました。
亭主関白で無口な父
母とは昔から何でも話すことができて困ったときも相談できる、まさに“友達”のような親子関係。 そんな母との関係とはうってかわって、父との親子関係は真逆でした。
亭主関白で無口な性格の父とは昔からほとんど会話をした記憶がなく、二人きりになると何を話していいかも分からないようなどこか気まずい親子関係でした。
そんな父との関係が大きく変わった出来事があったのです。
出産を支えてくれたのは…
結婚し家を出た私は、ありがたいことにすぐ長男を授かりました。そして初めての出産を迎えた日のことです。 初産ということもあり、陣痛からなかなか出産へとつながらず、長い長い陣痛に耐えていた私。時間にすると30時間以上もの長丁場の出産中、私を支えてくれていたのは夫! ではなく母! でもなく、なんと亭主関白で無口なあの父でした。
仕事の関係でどうしても来られない夫、母に変わり“母の出産時には一度も付き添ったことがなかった”という父が、なんと娘の出産に立ち会ってくれたのです。
痛みに耐え、苦しむ私に
「しっかりと水分補給をしなさい」と飲み物を差し出し、痛みの間隔が短くなるとナースコールを押し、痛みがMAXになるころには腰をさすり… と一晩中寝ずに私をサポートしてくれました。
初孫の抱っこを断った理由とは?
おかげで地獄のように感じた30時間を乗り越え、無事に長男を出産することができたのです。
出産後、私の他に家族は父しかおらず、看護婦さんから
「せっかくですからおじいちゃん、赤ちゃんを抱っこされますか?」と声を掛けられた父。
一緒になってサポートし、こうやって元気に生まれてきてくれた初孫だから、きっと喜んで抱っこしていることだろうと思っていたのですが、なんと父は赤ちゃんの抱っこを断ったのです。
そのとき父は看護婦さんに
「二番目にこの子を抱っこするのは娘の旦那なので、私は今は遠慮しておきます」と。
そのエピソードを看護婦さんから聞かされ、無口な父の大きな愛情を感じました。
産後2日目に仕事帰りに病院へ立ち寄った父は、孫を初めて抱っこし、すっかり孫にメロメロな優しいおじいちゃんの顔つきになっていました。とっても嬉しそうに、にこにこと赤ちゃんを眺めていた優しい顔は今でも、きっとこの先も私は忘れません。
今まで会話すらなかった父、結婚、妊娠、出産を経て、今では週1回は孫と会いに行くなど、良い親子関係を築いています。これもすべて息子たちの“孫パワー”のおかげです。
(ファンファン福岡一般ライター)