私が小さい頃、明治生まれの祖母がちょっと怖くて不思議な話をたくさん聞かせてくれました。少しずつアップしていきます。
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小学校2年生の夏、あまりの猛暑に外に行く気にもなれずゴロゴロしていると
「ちょっと怖い話、してあげようか?」と祖母が言う。
「うん。聞かせて!」
一も二もなくそう答えると
「これはおばあちゃんが十歳頃の話だよ」と話し始めた。
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………………………
ある暑い日、祖母と同い年のUちゃんという女の子がいなくなった。
里はもちろん山狩りも連日行ったが見つからない。
三日目の晩、村長の家に皆で集まって次に探す場所を相談していた時、四歳になる末娘が起き出してきた。
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「なんでみんなあつまっとるん?」
「U姉ちゃんがおらんごとなったんで相談しとるんじゃ」
「きてござる」
「どこに?」
「にわに、きてござる」
庭を見たが誰もいない。
「寝ぼけたんか…もう一度寝ろ」
子どもは自分の寝床へ戻って行ったが、しばらくすると戻ってきた。
「きてござる」
「どこに?」
「あたしのへやに」
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部屋を見たが誰もいない。
「どこにもおらんぞ」
「きてござる」
「どこに?」
「それ、そこに」
そう言うと部屋の隅に隠れるように座っていたTという最近越して来たばかりの男を指差した。
「そのひとにおぶさっておるわ。あかいべべ、きてござる」
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それを聞くなり、Tは逃げ出そうとしたが集会に来ていた駐在に捕らえられた。
厳しい取り調べにより、これまであちこちで何人も女の子を手にかけた事を白状した。
Uちゃんの遺体は自供通り山頂に近い岩屋から見つかった。
まるで眠っているように横たわっていた。赤い着物を着て。
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「涼しくなった!」
話を聞き終えてそう言った時、夕立が降り始めた。
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