物心ついたときから、虫が大の苦手な息子。カブトムシや蝶々はもちろん、小さな虫でも大騒ぎ! 義母はいつもそんな息子を「男の子なのに情けない」とバカにするばかり。そんな義母に、ついに息子が渾身の反撃をしたのです。
この世で一番虫が嫌いな息子
私には、大の虫嫌いな幼稚園児の息子がいます。家に小さい虫が入ってくると
「ギャー! ママ、虫!」とカーテンに隠れたり、出かけるときに玄関で虫を発見すると
「もう出かけない!」と、家に入って出てこなかったり…。
幼稚園の参観でセミの抜け殻を観察していたとき、息子だけはセミの抜け殻を見ることさえ恐怖だったらしく…。その場から逃げるように泣いて先生を困らせていました。
実はこの虫嫌い、私の責任だと思っています。なぜなら私も物心ついた頃から虫が大の苦手で、大人になった今も息子の前で
「虫! 虫!」と騒いでいるので、きっと私のせいだと今では大いに反省しています。
虫嫌いをバカにする義母
そんな息子の様子をいつもバカにしてきたのが、義母でした。もともと気が強く、言いたいことをズバズバと口にする義母。
虫を怖がる息子を見ては、いつも
「男の子なのに虫が怖いなんて情けない」
「虫が触れない男の子なんて、みんなに笑われるよ」など、鼻で笑うように平気で口にします。
息子はいつも後から私に
「またばぁばに嫌なこと言われた…」と悲しそうに言ってくるので、悔しい思いをしているのだと思います。私もそんな義母に毎度怒りが湧くものの、やはり義母には逆らえない雰囲気がありなかなか言い返せませんでした。
夫に義母のことを相談しても
「へぇ~そんなこと言ってきたの」と、話半分で聞き流すばかり。
そんな義実家への帰省は、いつも乗り気ではありませんでした。なにより義実家は山間の一軒家なので、虫と共存状態…!
虫嫌いの私や息子にとって帰省はとても苦痛で、息子はいつも
「ばぁばのとこ虫が出るから行きたくない」と浮かない顔をしていました。
ついに息子が義母に大声で反撃!
とあるお盆に義実家へ帰省したときのこと。
その日は夫の親戚が集まっていて、私は食事の準備でバタバタしていました。すると居間から
「うわー! 虫!」という声が。
すぐ見に行くとやはり息子の叫び声で、義母がここぞとばかりに親戚の前で
「この子いつもこんな虫で大騒ぎするのよ? 男の子なのに本当情けないでしょ~」と。
夫や親戚は笑っているだけでしたが、息子はとても傷ついている様子でいつものように黙っていました。
すると義母が、私に
「虫嫌いになったのはあなたが虫を怖がるからよ。男の子なのに、どんどん弱虫でダメな子に育ってるじゃない」と。
「ダメな子」という言葉だけはどうしても許せず義母に言い返そうとした瞬間、息子が大声で
「僕はダメな子じゃない!」と、悔しそうに泣きながら義母に初めて反論をしたのです。
「ばぁばはいつも僕やママに嫌なことばっかり言う! ばぁばが一番ダメに育ってる!」と。
義母は、驚きのあまりポカンと口を開けて
「ささ、ご飯の支度…」と隠れるように立ち去りました。親戚たちも、珍しく大声で怒った息子に呆然とするばかり。
その後義母は、孫に叱られたことで大いに反省したのか私や息子への接し方が少しやわらかくなり、虫に驚く息子を見ても
「大丈夫よ~」と、フォローをするまでになったのです。
初めて義母に反論をした息子。まるで私を守ってくれたかのような息子は、まったく弱虫ではなく、むしろとってもたくましく見えた瞬間でした。
(ファンファン福岡公式ライター/餅キナコ)