初めての幼稚園、知り合いがいない状態では、早くママ友を作らないと! と焦る人もいるのではないでしょうか。そんなときに仲良くなったママ友が“会話泥棒”だったら… 今回はそんな体験談をお話したいと思います。
初めてのママ友は会話泥棒
長男が3歳で入園した幼稚園で一緒に役員をやったAさんの話です。Aさんとは初対面でしたが、話しやすくよく子どもの話をしていました。しかし、Aさんを含めたママグループで話していて気が付いたことがあります。
2人でいるときは気付かなかったのですが、Aさんは全ての会話を自分の子どもの自慢話に繋げてしまう、“会話泥棒”だったのです。
例えば…
「うちの子、夜なかなか寝ないんだよね」と私が言うと、Aさんは
「わかる~。でもうちの子は週6日で習い事してるから体力使うみたいですぐ寝るよ! 水泳・テニス・子ども塾・書道… 特にテニスがセンスあるみたいでコーチによく褒められるんだ」
夜寝ない話はどこへやら。子どもにテニスのセンスがある話になりました。
他にも
「家でどんな遊びしてる?」という話題では、
「ゲームやりたがらない?」
「わかる! やらせたらなかなかやめないよね」と他のママと盛り上がる中、
「わかる~! でもゲームよりドリルがおすすめ! うちの子は毎朝幼稚園に行く前にドリルをやってるんだけど、もう計算ができるんだよね。外国だったら飛び級していたかも」という自慢話に。
もちろん、一瞬で冷たい空気に変わりますが、Aさんが気付くことはありません。一方で私は、元の話題を跡形も残らず子どもの自慢話に変えてしまうところに、感心していました。
気まずいランチ会
ある日、役員ママ同士のランチ会がありました。8人が集まり個室で会話を楽しんでいたのですが、この日もAさんの会話泥棒の勢いはとどまることを知りません。
「全然片付けしないから、昨日つい怒鳴っちゃった!」
「うちもうちも!」盛り上がっていると、Aさんが言います。
「わかる~。片付けできない子いるよね。でも小さい頃から使ったら片付けることを教えているから、うちの子は何も言わなくても片付けるよ」子ども自慢に加え、絶妙に相手を見下す言い方をするAさん。
「最近大変すぎて子どもが可愛いと思えなくて」1人のママが言えば、すかさずAさんが答えます。
「わかる~! 大変だと可愛いと思えないよね。うちの子は小さいころから手がかからなくて大変だと思ったことないな。偏食もないから身長が高いし、将来スポーツ選手かも!」
「お義母さんに母の日あげてる?」と誰かが言えば、
「うちはお花かな。私は母の日、子どもから手紙もらったよ。うちの子もう、ひらがな書けるからさ」
どんな話題でも自然に自慢話に繋げてしまうAさんの話術。まるで連想ゲームのように話題が飛んでいく様子に面白いと感じ、次の会話を楽しみにしながらAさんを見守っていました。
しかし、楽しむ私の気持ちとは裏腹に、その場の空気はどんどん重くなっていきます。
帰り際、盛り上がるように話題を色々振っていたママがAさんの背中を見ながら言いました。
「ないわ、あれ…」確かに、話題全てがAさんに持って行かれ、脱線した挙句の着地地点が息子自慢となれば、こう思われても仕方がないですよね…。
孤立していくAさん
その後もクラスの色々なママに話しかけに行くAさんですが、やっぱり全てを自分の話題にしてしまう癖は直りません。そのうちに、Aさんが来ると井戸端会議をしていたママたちがスッと解散していくようになり、Aさんは孤立。
「他の人の話も聞いた方がいいよ!」
「〇〇ちゃんママの話も聞こうよ!」などと遠回しに指摘したところ、気に障ったようで逆に疎遠にされてしまいました…。
その後、クラス替えがあり話すことはなくなりましたが、他のママたちから
「Aさんと会話をすると疲れる」
「楽しくない」という話を何度も耳にし、変わってないんだなぁと感じました。
「会話」とは、「複数の人が互いに話すこと」という意味の言葉。ひとりで一方的に話すことは会話とはいわず、特に全てを自分の話題にしてしまう会話泥棒は、相手を不快にさせると改めて感じました。
どんな話でも自分の話に繋げてしまう“会話泥棒”あなたの周りにはいませんか?
(ファンファン福岡公式ライター/さとう なつこ)