子どもを怒りとばしてしまった後、その子がとんでもない行動に出て…というのはよくある話です。しかし、実際に体験すると血の気が引いてしまうほどの体験になります。一歩間違えれば… 当時を振り返る育児体験です。
姉と遊びたがる5歳次女
私は2人の女の子を育てています。慌ただしい日々を過ごしていましたが、長女が小学2年生ぐらいになると、少し落ち着き始め2人育児も楽になってきました。ただ5歳の次女は、幼稚園から帰ってきた後は姉が学校のため遊んでもらえず、退屈そうにしています。そんななか、学校終わりに長女の友達が家に遊びに来たことで次女の不満が爆発してしまうのです。
当時、長女は自分にずっとついて来る次女と遊ぶのを嫌がっていました。最初は自分の友達と家で遊びたがっていた長女。しかし次女が「一緒に遊ぼう」と邪魔しに来たので、友達と外に遊びに行くことにしたのです。当然次女はついて行きたがりました。
次女はまだまだ目が離せない時期なので、外出となれば当然私も同行する必要があります。
「私も一緒にいきた~い!!」
「お姉ちゃんはお友達と遊びたがっているからね。後でママと一緒に公園行こうね」
「いや、いきたい!」次女が珍しくわがままを言ったのですが、私は体調がよくなかったこともあり長女だけを送り出しました。
そして、玄関先で「いきたい!」とずっと言い続ける次女。私は頭が痛いこともあって、だんだんイライラしてしまい、つい怒りに任せてあの禁断の一言をぶつけてしまったのです。
「いいかげんにしなさい! 勝手にしなさいもう!」
うたた寝から覚めると…
怒られた次女は部屋に行き、しばらくおもちゃで遊んでいました。そこから私は頭痛薬のせいもあり、眠気がきてソファでウトウトしてしまったのです。フッと気が付くと30分ほど経っていたようでした。そして物音がしないことに気が付いたのです。
子どもが音を立てなくなる時は、いたずらをしているか寝ている時です。すぐに家中を探し始めましたが、玄関を見て次女の靴がないことに気がつきました。
姉を追いかけコミュニティセンターに行ったことが予想できたため、まずはそこを目指して走りました。幼稚園生だと自宅から30分はかかる距離です。頭の中で「勝手にしなさい」と言ったことを全力で後悔しながら向かいました。
長女を追いかける次女
私が青ざめて次女を探し始めていた頃、本人はコミュニティセンターで長女に追いついていました。
「お姉ちゃ~ん! 待って~」
「え? あんたママに言ってきたの?」
「ううん」
「うわ…。帰るよ」
「遊んでから帰る!」こんなやり取りを当時はしていたようです。
コミュニティセンターまでの道がほぼ一本道でとてもわかりやすかったこと、幼稚園生の子でも追いかけていける距離だったことなどが幸いしていました。
私は帰宅途中の主人に連絡を入れました。
「ごめん、帰ってきたら自宅周辺で次女を探してくれない? 一人で出かけたみたい」
「えぇぇ? マジで? わかったすぐ帰るから」
長女は次女が歩いた道とは別のルートで一緒に帰っていました。無事に2人を見つけたと主人から連絡が来ました。私もその後帰宅し、次女の顔を見て心底ほっとしたのを覚えています。
「勝手にしなさいってママが言うから」
さあ今からお説教が始まるぞというタイミングで、次女が文句がありますという顔つきで
「だってママが勝手にしなさいって言うから、悪いことだとは思ったけど。でも、勝手にしなさいって言われたから出かけたの」とはっきりと反論しました。
たしかにイライラした私の一言のせいでこうなったのだから… と反省せざるを得ませんでした。子育ての中では、どんな状況でも子どもにかけてはいけない言葉というのがある、と心に刻み付けたできごとでした。
「三つ子の魂百まで」とよく言われますが、子ども達もそれぞれが自我を持った大切な人間です。突きつけられた言葉がどんな風に子ども達に響いているのか、思春期に入ったわが子たちに反論されたり、議論したりしながら考えることが増えました。これからもずっと考えながら子ども達の成長を見つめたいと思います。
(ファンファン福岡公式ライター/musukari)