大学で学ぶことは、実務でも使える。「創業体験プログラム」飛田ゼミ10年の実り

2014年に福岡市が「グローバル創業・雇用創出特区(通称:創業特区)」となってはや7年が経ちました。国・地方自治体・民間事業者が対等な立場で参画し、密接な連携のもとに育っている福岡のスタートアップ事業。今回は、元研究者の卵にして新米経営者の「す~しゃちょー」が、次世代を育てる立場で活躍されている福岡大学商学部准教授の飛田先生に根掘り葉掘りインタビューしてくれました。これから起業を考えている人にも、いま企業の中核を担い組織運営をしている人にも役立つ、アカデミズムと実務を行き来している飛田先生ならではの知見をわかりやすくお届けします。

提供:フクリパ

こんにちは。こんばんは。そしておはようございます。
起業6年目の草食系外来種社長、す~しゃちょーです。

千葉から福岡に来てはや19年、人生の半分を過ごすに至りました。
関東出身ということでよく東京のことについて話題を振られますが、実は未だに山手線の位置関係もよくわからない東京音痴で結構困ることがあります。高校生の時分では千葉県外に出る資力ありませんでしたので(笑)

こうして少しずつ僕にも親近感をもっていただきつつ(?)、福岡〇〇バカ日誌、第二弾をお送りさせていただこうと思います。

さて、それでは主題の、本日のバカは、、、

福岡大学商学部 准教授 飛田 努(とびた つとむ)先生です。

先生にバカというのも大概ですが(笑)

しかしその意味は、本記事を最後までお目通しいただきましたらきっと共感いただけることと思います。

飛田先生の「表面的な」ご紹介だけ先にさせていただきますと、現在47歳、京都の某有名大学の経営学部で経営財務や会計を専門に勉強、その後一般企業に就職された後、32歳のときに熊本の東海大学、熊本学園大学を経て、現在の福岡大学に着任し、今に至ります。

ご専門は「管理会計」。

念の為、実務家の自分から「管理会計」を簡単に説明いたしますと、会計、つまり日々の会社のお金の動きを帳簿にまとめ、それを整理して目的に応じて見やすくすることですが、これは「体重の測定」に近いかなと。
いわゆる「レコーディングダイエット」のように、ダイエットという「自分の中での目的」のために日々の体重を記録し測定することを「管理会計」、健康状態を証明するという「対外的な目的」のために健康診断をうけ、体重を測ることを「財務会計」と言います。財務会計における代表的な書類が「決算書」ですね。

まあ自分のような素人が語るよりも、ご本人に語っていただきましょう。

ここであえて言います。最初に処理しておかないといけないことだと思うので。
「なんで会計の先生をわざわざ取り上げるの?」というお声があるだろうことを。
定型的な業務なんじゃないの?なんかつまんなそう。。
僕ももし実務家でなく、「管理会計」という言葉だけ見たらそう感じてしまうでしょう。

しかし、それをわかっていてあえてこの「フクリパ」という先鋭的なメディアで飛田先生を取り上げているというこの事実で察していただきたいと考えております。

目次

【1】アカデミズムと実務の共存は可能なのか

少々前置きが長くなりましたが、そろそろインタビューに入っていきたいと思います。

                * * *

す~しゃちょー(以降、す~):
「今日はお時間いただいてありがとうございます!」

飛田先生(以降、飛):
「すーさん(と呼ばれています笑)こちらこそよろしくおねがいします。いつもお世話になっておりましてありがとうございます。」

実は飛田先生とは間接的に最近繋がりが深く、飛田先生のゼミ生の方々と当社のメンバーとで頻繁に交流があるのです。そこで冒頭の先生のセリフと相成りました。

ちなみに飛田先生は大学の外に出て、講師もたくさんされています。僕も創業期の経営戦略についての講義を何度も受けています。

上記写真は、前回の記事【 「ベンチャー支援バカ」こと株式会社アイ・ビー・ビー 廣田稔社長インタビュー】でご紹介した廣田社長の運営される「ibb BizCamp」での講義の様子です。

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す~:
「そういえばゼミ生のみなさんのことでなく、先生のことでゆっくりお話する機会なかったですよね。」

飛:
「そういえば。」

す~:
「どういう着地になるかわからないんですけど、実は飛田先生にずっと聞いてみたかったことがあるんです。」

飛:
「え、なになに?」

実は今回の企画を考えるにあたり、「この人バカかも?」と思う、とっておきの疑問が僕の中にありました。

す~:
「飛田先生に『アカデミズム』に対するご自身の向き合い方、について聞いてみたいと思っていました。」

【アカデミズムとは
 大学などでの、理論を重視し、学問・芸術の純粋性・正統性を守ろうとする立場。
 出典:大辞泉】

す~:
「飛田先生って、創業体験プログラムをはじめ、ただの研究活動の枠を超えた、経営の現場への直接的な関わりをたくさん持たれているじゃないですか?」

飛:
「たしかにそうですね。」

【創業体験プログラムとは
 株式会社日本テクノロジーベンチャーパートナーズ(以下,NTVPと略記する)が1999年より各地で実施しているもので、将来のベンチャー候補生である小中高生、大学生が現実さながらの会社設立プロセスを体験することで、資本主義経済の仕組みを学び取ること、さらには個々人が「自分で考え、行動する力」を伸ばすことを目的としたものです。単に模擬店に出店するのみならず、実際に業務に携わっているベンチャーキャピタリスト、公認会計士、司法書士、ベンチャー起業家等のサポートを得ながら、「事業計画の策定」「擬似株式の発行による資本調達」「学園祭における販売活動」「株主総会」「利益配当」といった一連のプロセスを体験していきます。 出典:福岡大学商学部 創業体験プログラム Facebookページ】

福岡大学の学園祭「七隈祭」での出店を「会社」に見立てて組織立ち上げから商品決定、当日の運営、振り返り(数字含めて!)を約半年かけて実行していくのが「創業体験プログラム」のひとつ。会計のゼミですから、決算報告もちゃんとあります。僕も「すーさん次は投資家やってよ」と依頼されています(早くコロナ収まれ!)

す~:
「僕も卵ではありながらもアカデミズムの現場に多少なりとも身をおいていたから感じているのですが、どのような分野においてもアカデミズムは確かに現実との乖離があり、それが直ちに現実の問題を改善したり、状態を正確に言い表したりというものでは必ずしもないと思います。」

飛:
「うん、おっしゃるとおり。」

す~:
「ですが、そこに自分はアカデミズムの意義を感じているところであり、特に経営なんてやっているとそう感じられますが、現実、現場の問題を解決する、という目的だけでは生まれてこない技術や知恵も確かにあると思うのです。100に1つしかないかも知れないけれど、現実の事情や利害関係から切り離され、自由な発想から生まれてくるものの中から、時代を変えるヒントがある。
しかし、飛田先生の活動は、そういういわゆる『アカデミズム』のあり方から逸脱しているように感じられるのです。そのあたりぜひ深堀りしてみたくて。」

いきなり熱くなって何ぶっこんでるんだ、という質問ですが(汗)
それを語るにあたって、ということで、今の飛田先生の活動に至る原体験をお話してくださいました。

飛田先生は神奈川県のご出身。同じく関東の千葉県の出である自分としてはこの時点でちょっと親近感です。

遡ること約25年前、経営学部の学生として当時在学中の京都の大学で、観光ガイドのサークルの代表を務めていたそうです。

25年前といえば何か思い出しませんか?
そう、1995年の阪神淡路大震災があった年です。
人的被害のみならず、様々な産業も大打撃を受け、当然先生が当時運営していたサークル活動にも影響がありました。
観光ガイドをすることによる収益によってサークルを運営するという、本当に会社経営に近いようなことをされていました。しかし、災害によりガイドができなくなり、頂いた代金の一部をサークル運営費として徴収する仕組みだったので、収入が大きく落ち込むことになりました。

また、代表になって帳簿を見ると、帳簿とキャッシュが合っていない。
調べてみると貸したお金が返ってこなかったり。
使途不明金がたくさんある状態では、メンバーに状況を説明しようにも説得力がない。

ここで先生は、「カネのことを掌握することと、組織を運営するということは、イコールだ」と強く感じられたそうです。
その後帳簿を適正な状況に戻し、それをもって就職活動や卒業研究で忙しい4年生にも半ば無理やり働きかけ、今この状況で打てる施策を実行し、当初は反発があったものの、結果的には「良かったね!」と言ってもらえたそうです。

飛:
「授業にはほとんど行ってなかったですねー。」

と、大学の先生らしからぬお言葉。同じく学校にあんまり行っていなかった自分ともしかして同類?やだ、また親近感上がっちゃう、という心配は杞憂でした。ただのサボりたがりの自分と違い、先生は非常に勉強熱心で大変な読書家であり、

飛:
「当時はシラバスもなかったし、一講義1000人とかで、講義の意味をあまり感じなくて。勉強はしたかったけど、学校は面白くなかったですね。」

大学生にしてすでに主体性の塊でした。

飛:
「研究に興味を持ったきっかけは、大学一年生のときの基礎ゼミでした。学内ゼミナール大会で二年生を論破しちゃって。」

当時のチームメンバーはそのまま大学で教員をやっているそう。

飛:
「師匠も学問に関しては寛容な考え方で、そのあたりは京都独特の雰囲気だったかも。もし関東の大学に行っていたら大学に戻ってなかったかもしれませんね。」

実は大学卒業後、某企業に就職されたのですが、空気が合わず、リハビリのつもりで大学院へ戻ったそうな。

飛:
「よく、なんでこの道に入ったのか、と聞かれるんですが、結局やりたいことがあったわけじゃないんですよね。今やっていることもたまたまで、最初からやりたいことをやっていたわけではないんです。世の中はたまたまで構成されていると僕は思います。」

想定外のことは避ける、計画を重視しそうな会計の専門家の一般的なイメージにしては(そろそろ会計業界の人に怒られそう)一見行き当たりばったりな考え方に聞こえますが、そうではなく、この経験、そしてそこから生まれた考え方こそ飛田先生の「バカ」としての価値観の根幹にあると僕は感じました。

今風のキーワードを上げるならば、つまり「エフェクチュエーション」。

【エフェクチュエーションとは
優れた起業家が実践している意思決定プロセスや思考を体系化した理論。
出典:『エフェクチュエーション:市場創造の実効理論』サラスバシー・サラス(著)】

従来の、といっても今でもほとんどの方はそれが正しいであろうと考えるであろう、目標を設定し、そこから逆算して計画を立て、それを忠実に遂行していくというやり方(コーゼーション)では、スマホによる急激な行動様式の変化等に代表されるVUCA[Volatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)]と言われる今の時代、限界があると言われています。
(蛇足ですが占星学などの分野では今までの「地の時代」に対して「風の時代」などと言ったりするようですよ。イメージしやすいと思い念の為)

誤解を恐れず簡単に言えば、「リスクを正しく認識・測定して一歩踏み出す」+「やってみてから考える」。もちろんそれだけで何でもかんでもうまくいくわけじゃないのは自分が一番身にしみてわかっていますが、現在のイノベーションの最前線ではかなり重視される考え方です。

飛:
「まず、”やった”ということが称賛されるべきなんじゃないかと考えているんです。同質化しやすい学校という環境の中では”一歩踏み出す”という勇気を持ちづらいですよね。」

【2】飛田先生の真骨頂:アカデミズムの世界で、実務をまわす。「創業体験プログラム」

ここから話は今取り組まれている教育についての考え方、特に「創業体験プログラム」についてのお話へ。
おーい、アカデミックとの乖離の話はどこいった?といってもノッてきた先生のお話を止める力は新米ライターの僕にはなく(仕事しろ)。
まあなるようになるでしょう。やってみてから考える。

飛:
「32歳の時、熊本の東海大学で、農学部との連携で農産物のネット通販の事業化というのに取り組んだんですね。ただ、環境が整っておらずうまく行かなかった。」

工学部出身の僕にはなんとなくわかりますが、協力は得られなさそう…。

飛:
「そんな時、あるセミナーで村口さんが大学や高校でやっていた創業体験プログラムの考え方に触れる機会があり、ぜひ学部の教育でやってみたいなーと思いましたね。」

村口さんとは、村口和孝(むらぐちかずたか)氏。後で調べましたが、創業体験プログラムの生みの親であり、NTVP(日本テクノロジーベンチャーパートナーズ)という日本初の投資事業有限責任組合を設立された方だそう。お子さんがボーイスカウトをされていた関係で、1999年に東京都大田区の池上本門寺で週末に模擬店を開店するということを行ったのが最初だそうです。

私も東京都大田区の生まれで池上本門寺は毎年参拝し、さらに千葉ですがボーイスカウトもやっていました。すごい偶然。

飛:
「そんな中、福岡大学に着任した頃、ちょうど高島市長が誕生したタイミングで、「お、これはスタートアップくるぞ」、という予感がしていました。そして、九大のQREC(キューレック、九州大学ロバート・ファン/アントレプレナーシップ・センター)の五十嵐先生をご紹介頂く機会があり、そこから起業家教育に片足を突っ込んでいくことになりました。」

これも偶然ですが、五十嵐先生、五十嵐伸吾(いがらししんご)教授はQBS(九州大学ビジネススクール)でも教鞭を取られており、僕は学生の時分、QBSでTAのアルバイトをしているときにお見かけしていました。さらに学生時代の研究室の先輩が当時五十嵐先生のベンチャーサークル?(と先輩は言っていました)に通っていて、周りからは「あいつは研究そっちのけでなんしとん?」みたいな感じになっていたのを覚えています。ほぼほぼレールを(に?)敷かれた人生を歩んでいる工学部の学生としてはちょっと理解するのは難しかったですね、Iさんごめん。

ちなみにロバート・ファン博士とは九州大学の卒業生で、アメリカで起業家として大成功をおさめた方です。QRECは博士の百周年記念寄付金をきっかけに設立されたアントレプレナーシップ教育を目指す機関です。

飛:
「それで早速、福大でのゼミの第一期生に声かけたら「やりたい」って言ってくれたんで、やってみたんです。」

フクリパ:第一期飛田ゼミの様子。たぶんまだガラケーだったよな、と思える画質ですが、これも今がVUCAであることを感じさせてくれるひとつの事例かもです(蛇足

研究に来ているはずのゼミ生にそんな提案をする先生も先生ですが、やりたいという学生も学生ですね。自分が学生の時を思うとほんと信じられない。。

飛:
「高島市長の存在もあり、流れに乗れれば大学でやろうとしていることとスタートアップ施策とがつながると直感的に思いました。」

お、だいぶいい感じにアカデミックから離れてきたのでここですかさず質問!

す~:
「創業体験プログラムへの取り組みを進めていく中で、先生の活動がかなり教育やビジネスの現場よりになってきた感があるのですが、本来の管理会計の研究活動との関連性に関してはどのようにご自身の中で落とし込んできたんですか?」

飛:
「僕の中では、全部一体なんです。」

す~:
「一体?」

飛:
「そう、一体。」

その心は?と心のなかで問うてみる。

飛:
「研究者としての自分は、やはりアカデミックに没頭したい。だけどトップランナーにはかなわないという自覚もある。」

なんとなくその後の話を察しました。これ言えちゃうのはすごいことです。

飛:
「だから僕は独創性で勝負するんです。本流からは違うと言われながらも、足で稼ぐ。実務家の話を聞く。自分で実践してみる。それが僕のポジショニング戦略だと思って。」

す~:
「教育に力を傾けるのもその一環ですか?」

飛:
「一環というか、同じなんです。僕自身がアカデミックだけだと見えない世界を取り入れることで学生にも影響すると思ってます。
そもそも、すーさん知ってました?大学生のことは『学生』と呼ぶでしょ?でも高校生までは『児童』とか『生徒』と呼ぶじゃないですか?」

す~:
「確かに言われてみれば。意味が違うんですか?」

飛:
「そう、違うんです。『学生』とはそもそも『主体的に学ぶ人』を指すんです。これは私なりの解釈も含んでいますが、学生を指導する立場で『教授』という言葉がありますが、児童や生徒を指導する小・中・高の先生を『教諭』と言うでしょ?教授は『知識を授ける』けど『諭し』はしないんです。」

す~:
「へー、、考えたこともありませんでした、、」

これは完全に目から鱗。ずっとトイ○ラスキッズな大学生気分の僕にはとっても酷な環境。

先生の話をまとめると。
実際大学の教員というのは研究をするためになるのであって、学生はその助手的な立場、その中で教員は後進を育てるというのがそもそもだったそう。
ですが少子高齢化でその前提が変わってきて、「教授」と「教諭」両方を担うのが大学の教授の役割になってきたそうな。競争率が下がってきたから、ということでしょう。
ですが教授は専門分野についての講義をするわけで、科目名と先生の話が違うということはザラで、特に文系は元来コースワーク的なものが整備されておらず先生が興味あることを話すに留まる。
そこで2000年代に入り、教育機関という側面を強化するため、シラバスなどが整備され、だんだん高校の延長みたいになってきた。

創業体験プログラムの商品仕入れ交渉のために対馬の業者を訪問。「現地に足を運び、自分の目で確かめる」を大切にするのも飛田流実践的教育のポイント

飛:
「良い教育のためには、良い研究が必要だと僕は思います。一般的には研究第一、教育第二で。研究者としてはアカデミズムを意識するけど、教育に関しては自分を通じて興味を持ってくれれば後は学生が自発的に勝手にやるんじゃないかと。」

俗に言う、背中を見せる的なやつですね。

飛:
「文系の大学は特に間口が広いので、いろんなニーズに応えたいと思っています。それこそ、家業を継ぐ学生、スタートアップに行きたい学生、髪の毛が茶髪でも受け入れてくれる企業を探している人、起業しちゃう人、普通に就職する人、そのグラデーション全てに。」

学生時代、先生にそんなこと言われたことあります?

飛:
「それこそ僕は創業体験プログラムもそうですが、中国にも興味あって足を運んでいるし(コロナ禍で今は行けていない)、機会を作り出して自分を作り変えていく、それを自分が実践することで学生にもいい影響があると思っています。」

2019年11月、広州を訪問した時の写真。このあと香港に戻ったら、ホテル近くの大学で暴動が起きていたそう…

自分がやってないことを人に言ってはいけないというルールはもちろんないですが、ビジネスの現場でも、「お前になんがわかるとや!?」みたいなことは確かにあります。

飛:
「例えば『プロトタイピング』という考え方がそうです。リスクを恐怖ではなく機会として捉える。本当は社会人にも求められるマインドセットですよね。ですが失敗するのは当たり前、というところまでは受け止められても、誰だって本音は嫌だと思うんです。創業体験プログラムをやり始めて今年で10年目になりますが、その過程で私もたくさんの失敗をすることで失敗への耐性を自分自身につけることができました。なぜうまく行かなかったのか、それを次に活かすにはどうすればいいか、このマインドセットが若いときにほしかった。」

創業体験プログラムで学んだ学生が先生に!「福岡女子商業高校(那珂川市)」で年5回、アントレプレナーシップを教えるために学生が自らカリキュラムを作り、授業します。「教えながら学ぶ」も飛田ゼミの大きな特徴

言うは易しとはこのこと。本当にストイックな方だと思います。ただそんな姿勢が嫌味に見えないのが飛田先生の不思議な魅力でしょうか。

飛:
「そんな中で、ゼミの中でも二極化してしまっていると感じることがあります。高校までの価値観のまま、なかなか自分の考えから抜け出せない学生がいる一方で、うまく解決できた学生は社会人になってもうまく自分の置かれている状況に対処できている。でも、それだけでは良くないと思っています。先に走る人のフォロワーの大切さはゼミでも伝えているけど、同時にリスクを取って先頭を走る人であってて欲しい。」

はい、進学校落ちこぼれ組です。耳が痛いです。

【3】創業体験プログラム10年突入:アントレプレナーシップ教育の実り

この日、飛田先生はこんなことも言っていました。

個人が尊重されるべきだが、個人の精神が豊かになる教育も同時に必要
と。
そして、「アントレプレナーシップ」というキーワード。
僕が創業体験プログラムを通して伝えたいこと、として強く話されていました。
日本では「起業家精神」もしくは「企業家精神」として訳されることが多いです。飛田先生は後者を使うそう。

読者のみなさま、社会に出られる直前、もしくは今がそうかも知れません、どんなことを考えられていました(います)か?

盗んだバイクで走り出していたりいなかったり、うっせえ、うっせえと叫んでいたりいなかったり、世代によっても違うと思いますが、いずれにしても両親や先生など、周りの環境に依るところも若いうちは多いのかなと思います。

前段でも触れました通り、飛田先生のゼミ生の方々と交流を持つ中、曰く「最近の学生」という概念が大きく変わりました。
商学部という専門の学部で培った分析等の技術にも舌を巻きますが、それより何より、頭でっかちではなく、自由を履き違えてもいない。いきなり共感で動くのではなく、ちゃんとリスクを正しく認識・測定して一歩踏み出し、やってみてから考えている。

「10年ビジョン」という言葉が経営の世界ではよく使われます。10年先のことなんてなかなかわからないと思いますが、創業体験プログラムを始めてちょうど10年、飛田先生のビジョンはきっと着々と実りつつあるのだろうな、というのをゼミ生の方を見ていると強く感じます。

ここまでのお話で約2時間、タイムアップです。

さて、お気づきでしょうか。
「管理会計」の「か」どころか「k」くらいまでしか触れていなかったことを。

でも僕はこのあとのインタビューで確信します。
ここまでのお話すべてが、先生にとっての「会計」なんだということを。

ということでごめんなさい、まさかの大ボリュームにつき二部構成とさせていただきます。次回、そんな飛田先生の考える会計について、それこそ「バカみたいに」語っていただこうと思いますのでぜひご期待下さい!

文=す〜しゃちょう

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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