産後うつで精神的に余裕が無い私と、私のサポートをしていた夫。ある日、お互い体調が悪い中、夫婦喧嘩が勃発。泣き出した夫を救ってくれたのは2歳の娘の言葉でした。
「産後うつ」と診断されて
私は長女を出産してから「産後うつ」と診断されました。初めての育児のストレスもあり精神的に不安定な時期が2~3年続きました。「朝、布団から起きられない」「他人の一言にすぐに怒ってしまう」「可愛いと思うのに、娘と一緒にいるのが辛い」こんな事が頻繁に起こっていました。
このお話は、娘がちょうど2歳になった頃の休日、家族3人でドライブへ出かけた時の事です。
夫婦喧嘩が勃発
その日、私から
「気分転換にドライブに連れて行ってほしい」と夫にお願いして外出したのに、10分も経たないうちに精神的に辛くなってきました。
普段の夫なら、私を励ましてくれたり、娘のお世話を交代してくれます。しかし、この時期の夫は仕事でトラブル続きだったようで、休日も落ち着かなかったそうです。
外出して10分しか経ってないのに
「家に帰りたい」と私が運転中の夫にぶっきらぼうに言うと、ガッカリした様子で
「嘘だろ… ちょっとワガママ過ぎない? 俺も疲れてるのに外出してんだよ?」という返事が。
今の私なら夫の言い分も理解できるのですが、その時の私には無理でした。
「私は育児で疲れてる!」
「さっきまで出掛けたかったのは嘘じゃない!」
「私を嘘つき呼ばわりするの!?」こんな感じでイライラを夫にぶつけました。そして、文句を言いながら私は泣き出しそうな気持ちに… しかし。
泣き出したのは夫の方でした!
近くのコンビニに車を停め、ハンドルに顔を突っ伏してシクシク泣いていました。
「俺、そんなに悪いことしたかな? 外出したいって言ったからドライブに来たのに、何でそんなに怒るの? 病気で辛いのは分かるけど、俺だって頑張ってるじゃん。そんな風に言われたら、何も出来んよ。俺、どうすればいいんよ…?」泣きながら小さな声で夫は言いました。
夫が突然泣き出したことに私もビックリして、返事に困っていました。すると、後部座席のチャイルドシートから声がしたのです。
夫を救った娘の一言
「とうさんがやりたいようにすればいいのよ! どっちもせいかいよ。きっと、なんとかなるよ」2歳娘の、ハッキリと落ち着いた声でした。
ビックリする私と夫。私たちは娘が何かに悩んだ時は
「好きな方を選べばいいよ。きっと大丈夫だよ!」といつも言ってあげていました。その言葉を真似したのです。
その後もとても落ち着いた声で
「だいじょうぶ、なんとかなるよ」と声を掛ける娘。
夫はその言葉が逆に涙腺に来たようで、しばらく泣いていました。その後、夫婦で謝り合い、ドライブを再開しました。
子どもへの声掛けは自分に返ってくる
たった2歳の娘が、私達のピンチを救ってくれました。一番頑張ってくれたのは娘なのですが、親として誇りたい事が1つあります。それは、「ポジティブな声掛け」です。
「産後うつで大変だろうけど、娘にはなるべく優しい言葉を掛けてあげよう」という約束を、私と夫は大切にしていました。辛い事は多かったですが、娘に嫌な想いをさせないよう、ポジティブな声掛けをしていたからこそ、娘も私達を気遣ってくれたのだと信じています。
これからも子どもたちへの言葉は大切にしていきたいと思った、忘れられない出来事です。
(ファンファン福岡公式ライター / すずとふくみみ)