福博の街に夏の到来を告げる祭り、博多祇園山笠。6月1日から7月15日早朝の追い山笠まで、街では長法被(当番法被)姿の参加者を目にします。その長法被姿に新風を吹き込む博多織の帯「Yamaobi(ヤマオビ)」と和装アイテム「Yamakagi(ヤマカギ)」を紹介するポップアップイベントが7月6、7日、福岡市博多区で開かれたので行って来ました!
西村織物×中村人形、人形師・中村弘峰さんのデザインを博多織の帯に
イベント会場は博多リバレインモール1階「ぶどうのたね」の奥の展示スペース。創業160余年の博多織織元である「西村織物」(福岡県筑紫野市)六代目、西村聡一郎社長が迎えてくれました。
Yamaobiは、西村織物と飾り山笠(やま)や舁き山笠の人形制作でも知られる「中村人形」がタッグを組んだ新提案の男帯。中村人形四代目の中村弘峰さんが「伝統を踏まえつつ、型にとらわれないよう意識した」とデザインした山笠にちなんだ図柄を、西村織物の職人が約半年かけて仕立てた特別な品です。
「弘峰さんが『山笠の人形とともに、山笠に参加する男たちにも注目してほしい。参加者には法被姿で粋に遊んでほしい』と言ったのを聞いて、じゃあ格好いい帯を作ろうとデザインを依頼したのが始まりです」と西村社長。昨年に第1弾を発売し、好評を博しました。
今年の第2弾は、2024年限定柄「舁縄紋 追い山の空」と「舁縄紋 朝山の空」、2024年限定色「独鈷華皿 松葉色に緑青」「独鈷華皿 臙脂(えんじ)に黒」、定番柄・色の「独鈷華皿 茜(あかね)に白」の5種類を展開。各20本の限定販売で、33,000円(税込み)。西村織物のオンラインショップや中村人形のギャラリー「傀藝堂」(福岡市中央区)で販売中です。
華やかなカラーリングに舁き縄が描かれた限定柄は、おしゃれ度が高く、既に高い人気とか。西村社長もこの日「舁縄紋 追い山の空」を締めていましたが、爽やかなブルーに金糸の舁き縄が印象的で、とてもすてきでした。
また、全て最高品質の絹であるブラジリアンシルクを100%使用し、献上博多織伝統の総浮(そううけ)の技法で織り上げられています。これは浮経(うけたて)と呼ばれる経糸を通常よりも多く使用した精緻な表現で、起伏のある奥深い織味と質感を実現しています。
弘峰さんは「博多祇園山笠を楽しみにしている多くの見物客は、山笠だけでなく祭り参加者の姿も見ています。男たち皆の姿も博多の景色の一部であり、見ている人に『博多っ子は粋だね』と感じてほしくて」と企画のきっかけを話します。
また、舁き手には「タイムだけでなく、装いでも競ってほしい」という思いを込めて、男帯でも色や柄を少々派手にしているとか。「『遊び心があっていいやん』『目立ちたいやん』という博多っ子の気質にも合ったようで、多くの人が選んでくださっています。西村織物さんには実は価格も頑張って抑えてもらっているんですよ。ぜひ自分に合った1本を見つけてください」。
「Yamakagi」はこれまでなかったお役立ち和装アイテム
さらに中村人形から6月に発売された「Yamakagi」も展示されていました。これは一体何でしょう?
答えは、長法被や浴衣の帯に信玄袋(巾着)を掛けるアルミニウム製のフック。軽いのに強く、「信玄袋を手に持たずに作業ができて便利、しかもかっこいい」と評判のアイテムで、山笠参加者を中心にファンが広がっています。「信玄袋を置き忘れることもなくなって助かる」という声も。これまで、ありそうでなかった和装アイテムなのです!
中村人形「傀藝堂」のロゴを入れた弘峰さんによる企画・デザインで、伝統工芸・博多鋏(ばさみ)の唯一の後継者、浅研鋏製作所の浅草研二さんが手作業で制作しています。量産品とは違い、一つ一つの趣きが違うのも魅力です。銀と黒の2色展開で、11,000円(税込み)。傀藝堂で通年販売しています。
裏話ではありますが、ある人気俳優さんも「Yamakagi」をいたく気に入り、購入したと聞きつけました。和装ではなく、おしゃれなリネン(?)のパンツにキュッとYamaagiをかけて、皮の巾着袋を下げて帰って行ったとか。さぞかしステキだったことでしょう~。誰だか知りたい人は中村人形のInstagram(hirominator2.0)でチェックできますよ♪
■yamaobi
■yamakagi