演劇プロジェクト・きしPこくーん、第2弾は朗読劇「ワンサイド」

 福岡を拠点に役者や歌手として活動する岸田麻佑さんが、女性の役者に活動の場を提供しようと昨年立ち上げた演劇プロジェクト「きしPこくーん」が7月13日(土)、14日(日)にライブハウス「Buddy up」(福岡市中央区天神)で朗読劇「ワンサイド」を上演します。旗揚げ公演「冥土inシェアハウス」の観客の反応が良かったことから「プレッシャーを感じています」としながらも「アイドルの経験を生かしながら、その役者自身の魅力を知ってもらう場にしたい」と意気込む岸田さんに本公演の狙いなど、お話を聞きました。

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なぜ朗読劇? 福岡では少ないからこそ挑戦

演劇プロジェクト「きしPこくーん」を主宰する岸田麻佑さん 撮影:重村誠志

 旗揚げ公演は岸田さん自らも所属する女性エンターテインメントユニット「トキヲイキル」のメンバーや同じ事務所所属のタレント、公募した俳優などがキャスティングされた大所帯での劇場公演でしたが今回は一変して岸田さんを含めて出演者9人の小所帯による朗読劇。
 「出演者は客席のほうを向いて朗読するだけで基本的に演技をしない朗読劇は表現の難易度が高いですね。役者にしても動きがあるほうがやりやすいし、お客さんも見慣れていると思います。でも敢えて難しいことに挑戦しようと思いました」。難易度が高いとされる朗読劇も「(声で表現する)声優さんが多い東京では珍しくはないのですが福岡ではあまり上演されません。じゃあやってみよう、という思いもありました」

撮影:重村誠志

 また舞台公演とは違う魅力もあるといいます。「舞台では衣装やメイクで役を表現しますが、朗読劇では見た目は若くても声で老婆を演じたりする面白さもあります」。また「層が厚い福岡の女性俳優が舞台に立つ機会を増やすために」今回の朗読劇を即興芝居やトークショーなど多くの人が気軽に観に行け、なおかつ開催のハードルが低い「小規模公演の取っ掛かりにしたい」と小さなステージに込めた大きな野望を語ります。

客席と舞台が近いからこそ気が付く役者個人の魅力

撮影:重村誠志

 今回の会場はライブアイドルの公演を中心に運営されているライブハウス。
 「ライブハウスは客席と舞台が分けられていますが距離が近いのが特徴です。観客は役者を身近に感じられますし一体感も出ると思います」「距離が近いことで演じている『その人』をじっくり見ることもできます。役ではなく役者自身の魅力を見出すことができるかもしれません」

 多くの演劇公演では終演後に役者と観客がじっくり語り合う場がありません。きしPこくーんでは終演後に物販や観客と役者のチェキ撮影などを行っています。
 「この役者さんいいな、と思ってもその役者さんが次に出演する舞台は何カ月か後になることも珍しくありません。その間に印象も薄れるし、その役者さんの人となりを知ることもないままに忘れることになればもったいないし、さみしい。だからアイドル時代に培ったファンとタレントを結びつけるノウハウを活用しようと思いました」と目的を話します。
 「俳優さんの中には慣れていない人も多いし『私と喋りたい人がいるのかしら?』と腰が引ける人もいますが、やってみれば『ゼロ』じゃない。それが少しずつでも広まるきっかけになると思います。『認知される』ことは役者さんが活動の場を広げるためには必要だと思います」

内容は秘密。でも女性の芯のある強さを感じてほしい

撮影:重村誠志

 今回の脚本と演出は高梨由さんに依頼しています。ストーリーはチラシなどにも記載せず事前に公表していません。「見てのお楽しみ、ということです。ひょっとしたら人間の話ではないかも」といたずらっぽく笑います。
 「高梨さんとは他の舞台でご一緒させていただきました。その際に『(岸田さんは)フワッとした人かと思ったら芯のある強い女性なのですね』と。そういう女性の強さを描ければいいなと思って作品を作っています」。

 今回の出演者で一番の驚きだったのは事務所の後輩でアイドルグループ「MAGICAL SPEC」で活躍するMOMOMIさんだ、と岸田さん。「ステージ上での表現力はありましたが私のイメージでは『ザ・アイドル』。かわいい役がいいだろうと思っていましたが、実際に脚本でいろんな役を読んでもらううちに印象が変わりました。ちゃんと考えて感情を動かすのが得意なのだろうと。情景が自分の中にしっかりと描けているのだと思います。アイドルMOMOMIとは全く違う魅力を発揮しています」と後輩の表現力に太鼓判。

提供:きしPこくーん

 今回、出演者選びで重視したのは「今まで共演して印象に残っている人」「新しいことに挑戦するときにいてほしい人」「若い力」のバランスだといいます。また「トキヲイキル」の正規メンバーをキャスティングしていないことも特徴です。「トキヲイキルのメンバーであれば気心も知れているしワガママも言えます。でも、それではトキヲイキルの公演と変わらなくなります。旗揚げ公演は失敗できないし、応援したいという気持ちもいただいていたので甘えた部分もありますが、いつかは独り立ちしなくてはと考えています」
 少人数の構成の中にも岸田さんの大きな挑戦の意図がうかがえます。

いつかは「Allガールズ」で


提供:きしPこくーん

 出演者は旗揚げ公演も今回も全員女性。岸田さんは「ガールズにこだわりたい」と話します。
 「福岡は女性の役者さんの層がとても厚いと感じています。だからこそ作品の可能性がたくさんあります。確かに男性を混ぜたほうが楽なこともありますが、その場にいない男性をどう表現するかという『挑戦の楽しさ』もあります。それに単純に舞台が華やかになるのがいいじゃないですか。私自身、高校で『女クラ』だったので女性だけの結束力の強さを知っています。いつか照明や音響などのスタッフも全員女性で舞台を制作するのが夢です」

 福岡の演劇に華やかな風をしなやかに吹きもうとする岸田さんの挑戦に注目を。

ライター:重村誠志

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