福岡の書店員さんに福岡ゆかりの本を紹介してもらうファンファン福岡の「福岡キミスイ本」シリーズ。70回目は「ふるほん住吉」(福岡市博多区)の山田孝之さんを訪ねました。あわせて、この時期に読みたい話題の6冊を紹介します。
福岡・博多の古地図と現代の地図を比較した一冊
「古地図の中の福岡・博多 1800年頃の町並み」 宮崎克則・福岡アーカイブ研究会 編
―こんにちは!「ふるほん住吉」に来ました。「あるある日記」が人気を集める「山田全自動」こと山田孝之さんが店主の古書店です。
当店は今年4月26日にオープンしました。絶版本や昔の雑誌など、大型書店にはない本を取り扱っています。
―山田さんのおすすめ本を教えてください!
はい。「古地図の中の福岡・博多 1800年頃の町並み」(2020年9月海鳥社発行、3,080円、税込み)を紹介します。江戸時代の福岡・博多の古地図と現代の地図を比較する本です。ブログ「Y氏(山田孝之)は暇人」を始めるきっかけとなった一冊でもあります。
—山田さん自身かなり影響を受けた一冊ですね。この本との出合いは?
もともと昭和レトロなものが好きで、蚤の市によく通っていました。古いチラシやレコードが並ぶ中、昔の地図も売られています。そこで古地図に面白みを感じるようになりました。今の風景とその地図を見比べるうちに江戸時代はどうだったのかと思い、この本を手に取りました。
普段何となく通っている道や道路のカーブについて、なぜそうなっているのかを解き明かしてくれます。福岡市の「上人橋通り」がなぜ“橋”なのかなど、そういった理由が記されていて面白いですよ。
―中でも気に入っているページは?
大名地区に関して書かれているページです。西鉄グランドホテル前の道路はなぜか曲がりくねっていますよね。江戸時代の道は敵に攻められにくいように鍵状になっていて、カーブ付近から弓や銃で敵を包囲する仕組みがあったそうです。その名残が現代にも残っていることが記されています。
―この本は、どんな人にオススメしたいですか?
福岡にゆかりがある人はもちろん、特にバスを利用する人におすすめしたいです。なじみの場所に新しい発見があり、毎日の通勤・通学が楽しくなるのではないでしょうか。
―「ふるほん住吉」開業のきっかけは?
僕の本業はイラストレーターですが、近年AIが著しい成長を遂げています。AIなどに影響を受けないようなことを始めたい思い、もともと古本がすごく好きだったので、古本屋さんなら情熱を持ってできるのでは、と考えオープンしました。
店名は「古本+地名」と決めていたので、この地にちなんだ名前にしました。また、漫画やエッセーなどを執筆されているカラサキ・アユミさんにもお手伝いで来てもらっています!
―取り扱い書籍数は?
約1万2,000冊です。1970〜80年代の書籍を中心に取り扱っています。子どもの頃に読んでいた本や、それより少し前の漫画なども好きで置いています。その他、映画のパンフレットやサントラCD、昔懐かしいマッチ箱なども販売していますよ。
―今後はどんなお店に?
街に溶け込むようなお店になったらいいなと思っています。今はSNSで知って来てくださる方が多いですが、そのうち近所の人がふらっと立ち寄れるような場所になればと思います。
―ありがとうございました! 続けて話題の6冊を紹介します。
「アイラップで簡単レシピ おうちごはんの大革命!」【Gakken】
橋本加名子 著/1,760円(税込み)
湯せん、レンチン、冷凍OK! 万能すぎる大人気のキッチンアイテム「アイラップ」をフル活用した、ワザありレシピが大集合。ご飯やおかず、副菜まで、驚きの絶品時短レシピとアイデアがたっぷり掲載されています!
「10歳までに知っておきたい 子どもを一生守る『からだ・こころ・権利』の話」【青春出版社】
やまがたてるえ(著)、渡邉安衣子(著)/1,595円(税込み)
子どもが自分の身を守れるようになるために、10歳までに知っておいてほしいことを紹介。「10歳までに身に付けたい」シリーズの第4弾は性教育。親がなかなか伝えられないことをどう自然に子どもに伝えていくか、親子で学んでほしい一冊です。大人と子どもが一緒にできるワーク付き。
「赫夜」【光文社】
澤田瞳子 著/2,420円(税込み)
延暦十九年。駿河国司の家人・鷹取は、軍馬を養う官牧で己の境遇を嘆く日々を送っています。ある日、近くの市に出かけていた鷹取は、富士ノ御山から黒煙が噴き上がるのを目撃し、降り注ぐ焼灰にまみれて意識を失います。平安時代に起こった富士山延暦噴火。大災害に遭った人々の苦悩と奮闘の日々を描く、歴史パニック長編です。全冊著者直筆サイン入り!
「『二月の笑者』になるために」【小学館】
おおたとしまさ 著、高瀬志帆 絵・画/1,650円(税込み)
教育ジャーナリスト・おおたとしまさ氏が、中学受験生の親に伝えたいメッセージに、対応する「二月の勝者」の名場面をあらすじ付きで添えた特別構成。「親子共に笑顔で中学受験を終わらせるにはどうしたらいいのか?」おおた氏が提唱し続けている“必笑法”が、漫画の名場面付きでわかりやすく、一層リアルに胸に響きます。
「籠の中のふたり」【双葉社】
薬丸岳 著/1,980円(税込み)
孤独な弁護士と人殺しの罪を背負う男。残酷な運命と過ちを知り、それでも二人は「過去」という「籠」から羽ばたき本当の友達になれるだろうか? すべての真実が明らかになった時、あたたかい涙が止まらない一冊。著者史上最高の長編友情ミステリーです。
「田舎の空き家活用読本」【農文協】
農文協編/1,980円(税込み)
コロナ禍を経て、農山村に移住したいという人が増えています。田舎の空き家は古くてもいい材料を使っているものも多いと本書。先輩移住者が教える空き家の探し方から、床張り・断熱改修、古い家を快適にするプチDIYの技、移住者と空き家をつなぐマッチング術、空き家の修繕に使える補助金までヒント満載の活用ガイドです。
いかがでしたか? 読書の秋に向けてお気に入りの一冊を探しては。次回もお楽しみに!