「ほんとうのおかあさん」って一体誰?心に刺さる娘のひと言

 初めての子育てで奮闘していたある日、長女が発したひと言に、私は大きなショックを受けました。その言葉は私に新たな気づきをもたらし、子育てのスタンスを変えるきっかけにもなったのです。まさか我が子からこんな言葉を言われるとは…

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食べない娘~思い通りにならない食事タイム~

 私には長女、次女、双子の女の子の4人の子どもがいます。長女が2歳の頃、彼女の食事の問題で頭を抱えていました。彼女は赤ちゃんの頃から偏食がひどく、どんなに工夫を凝らしても特定の食事にしか興味を示さず、私にとって食事の時間は試練そのものでした。
 その日の食事は、完熟トマトを使った自家製トマトソースパスタ。塩を少々加えたシンプルな味付けのこのパスタは、今までで一番の出来栄えと自信満々。食事の準備を終え、長女に「さ、食べよう」と声をかけましたが、彼女は全く口を開ける様子がありません。
 「どうして食べてくれないの!」というイライラとともに、長女が私を拒否しているような感覚になり気がつけば涙がポロポロ。感情が溢れ出し、そのまま長女の前で大泣きしてしまいました。初めての子育てで、余裕を持てずにいた私の姿は、長女にはどのように映っていたのでしょうか。

「ほんとうのおかあさん」とは?長女の不思議なひと言

 それから数日後、突然長女が「わたしのほんとうのおかあさんはとなりのまちにすんでるんだよ」と言い出しました。私にとって、「ほんとうのおかあさん」という言葉が意味するものがわからず、心の中は「え、私じゃないの?」と混乱しました。
 長女は続けて「ほんとうのおかあさんはわたしといっしょにあそんでくれてね」と話し始めました。私は動揺しながらも「それで、本当のお母さんには会ったことがあるの?」と尋ねると、「うん、あるよ。となりのまちにいるんだよ」とのこたえ。
 「どんな人なの?」と聞くと、「う~ん、ないしょ~」とおちゃらけた返事が。もしかしたら長女の「ほんとうのおかあさん」とは、彼女が理想とする「好きなお母さん」なのかもしれないと、ハッとしました。長女は私にがんばって欲しいわけではなく、ただ一緒に遊んで欲しいだけなのかも…

子育ての変化 「ほんとうのおかあさん」を通して学んだこと

 それから変わった事と言えば、私の手抜き料理が増えた事。娘に見破られないように料理に苦手なものを入れるようになった事。一緒にいるのではなく、一緒に遊ぶようになった事。例えば、カレーに野菜ジュースを加えたり、「辛いかなぁ?〇〇ちゃんにはまだ早いかなぁ?」と、優しく促したりするようにしてみました。
 毎回成功はしませんでしたが、以前よりも食べる種類も増えて嬉しくなりました。そして、私自身の意識が変わった事で子育ての在り方も変化したと思います。
 「ほんとうのおかあさん」の正体は結局謎のままだったけれど、長女はいまだに「ほんとうのおかあさん」と私に言った記憶があるそうです。少しだけ後ろめたい気持ちがあるのかも。
 そして妹の双子たちは、「ほんとうのおかあさん」と同じように想像の人物「秘密の博士」という知り合いがいるなんて言うことも…お母さんに怒られると娘たちの中で途端に出現する謎の人物たち。私も会ってみたいものです。

(ファンファン福岡公式ライター/ハギワラヤヨイ)

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