防災の日、防災週間とは?親子で考える災害と対策

 6歳・8歳の息子を持つママライター、永野栄里子です。

 東日本大震災から12年以上が経過し、大きな自然災害への対策意識が「薄れている」という人も少なくありません。改めて意識を高めてもしものときに備える機会になるのが、「防災の日」です。

 今回は、9月1日の「防災の日」に関する情報をお届けします。9月1日に何をするとよいのか、子どもとの過ごし方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目次

9月1日の防災の日とは?

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 「防災の日」は「防災の啓発」を目的に、1960年に制定されました。なぜ「防災の日」ができたのかを、解説します。

防災の日はなぜできた?

 「防災の日」が制定された理由は大きく2つで、1つは1923年9月1日に起こった関東大震災です。関東大震災では多くの死者・行方不明者が出たことから、「災害への心構えを忘れないように」という思いから、震災発生日を「防災の日」としました。

 また、1959年に伊勢湾台風が起こったのも理由の1つです。台風によって甚大な被害が及んだことを受け、翌年の1960年に「防災の日」が誕生しました。

8月30日~9月5日は「防災週間」

 「防災の日」前後の1週間、8月30日から9月5日は、「防災週間」とされています。この期間には、各地で防災知識普及のための講演会や展示会、防災訓練などが行われます。一人ひとりの防災意識向上のきっかけ作りとなる「防災週間」に、ぜひ親子で防災について考え、さまざまな備えを見直してみてください。

11月には「津波防災の日」も

 「防災の日」だけでなく、防災にちなんだ日として「津波防災の日」も存在します。「津波防災の日」は毎年11月5日で、東日本大震災をきっかけに制定されました。11月5日は、1854年の安政南海地震での「稲むらの火の逸話」にちなんでいます。

 「津波防災の日」には、全国各地で地震による津波を想定した訓練が実施されます。

防災の日とは?由来や災害時の対策、過ごし方も紹介(https://hoiku.mynavi.jp/contents/hoikurashi/childminder/knowledge/12366/
防災の日|暮らしの歳時記~今さら聞けないマナーと常識~(https://www.dcm-hc.co.jp/kurashimade/c_useful/20190216192344.html

防災の日、防災週間には何をする?

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 「防災の日」やその前後の「防災週間」には、具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか。家庭や職場、学校などで実施したい内容を紹介します。

地域・職場などの防災訓練

 地域や学校、職場などでは、9月1日に防災訓練を実施するケースが多くあります。定期的に実施される防災訓練ですが、「防災の日」には改めて訓練の重要性についても考え、自然災害を想定して適切な行動を取ることを心がけましょう。

避難場所・方法を知る

 災害が発生した際に、必ずしも自宅に家族全員がそろっているとは限りません。「防災の日」や「防災週間」には、家族で避難場所や方法、連絡手段などを確認することも大切です。実際の避難経路を辿って地域の避難場所まで歩きながら、経路にある危険も見直しましょう。

自宅の災害対策

 昨今は大雨や大雪などの自然災害による被害も増加傾向にありますが、日本で大きな災害というと、やはり地震を連想する人が多いのではないでしょうか。「防災の日」「防災週間」には、地震対策を中心に、自宅内の災害対策も見直しましょう。対策の例を紹介します。

・大きな家具を固定する
・キャスターのついた家具類はロックする
・ガラスに飛散防止シートをつける
・家具類の配置を見直す
・大きな家具を置かない部屋を設ける など

 自宅内で被災した場合を想定し、けがをしない、スムーズに家の外に避難できるといった工夫をしてみてください。

防災用品のチェック

 大きな災害で自宅での生活が困難になった場合は、避難所に行かなければなりません。発災から時間が経過すれば支援物資なども届きますが、何もない状況で数日過ごすことも想定し、持ち出し用の防災用品も準備しておく必要があります。

 持ち出し用の防災用品には、食料や衛生用品、貴重品のほか、防災ラジオや懐中電灯、暑さ・寒さ対策のグッズ、携帯トイレなど、さまざまなものを入れます。また、持病の薬や生理用品、入れ歯ケース、乳幼児のための離乳食など、年齢や性別、体調に合わせて必要なものを準備しておくことも重要です。

家庭におすすめの防災の日の過ごし方

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 「防災の日」や「防災週間」には、大人だけでなく子どもも防災意識が高まる過ごし方をするのがおすすめです。小さな子どもや小学生も「災害」や「防災」について考え、いざというときに役立つ知識を得るには、どのようなことをすればよいのでしょうか。

親子で「防災」について考える

 まずは「防災」とは何かを親子で考え、話し合いましょう。年齢の低い子どもに「防災は災害を未然に防止し、発生した場合も拡大を防ぐこと」といっても伝わりにくいでしょう。

 たとえば、「地震や大雨などで火事が起きたり、水が家のなかに入ってきたりするのが『災害』だよ。災害があるとおうちが壊れることもあるし、けがをするかもしれないから、そうならないためにいろいろな準備をすることを『防災』っていうんだよ」といったように、簡単な言葉で伝えると、小さな子どもも理解しやすくなります。

クイズや動画で知識を深める

 「防災」についての知識は、単に口頭で説明するよりもクイズ形式で子どもに考えさせたり、動画を見せたりしたほうが深まります。「地震が起きたらどうする?(机の下に隠れる)」「火事を見つけたら何をすればよい?(周りの人に知らせる)」など、子どもが自分で答えを導き出せるような簡単な出題にすると、興味を示しやすいでしょう。難しい場合は、選択式や○×形式にするのもおすすめです。

動画は映像と音声で情報が入ってくるので、口頭で説明するだけ、本で読むだけよりも多くの情報を短時間で収集でき、定着もしやすいです。子ども向けの災害や防災関連の動画なら、防災の重要性をわかりやすく説明してくれます。

災害時を想定した生活をしてみる

 実際に災害が起こったことを想定した生活を送ってみるのも、1つの方法です。たとえば「地震が起こってライフラインが止まった。建物は無事」という状況を想定し、電気やガス、水道を使わないで半日から1日過ごしてみましょう。

 食事は非常食、トイレは簡易トイレ、テレビやゲームはできない、スマホの充電も防災ラジオなどから行うといった行動を取れば、災害時の大変さを理解すると同時に、当たり前のように送っている普段の生活が、いかに恵まれているのかも理解できるかもしれません。

防災手帳を作る

 「防災の日」や「防災期間」を利用して、親子で災害時に役立つ防災手帳を作るのもおすすめです。防災手帳は、災害が起こった際に落ち着いた行動を取れるような対処方法、その人に関わる情報や緊急連絡先などを記載するものです。

 個人情報には氏名や生年月日、住所、電話番号のほか、持病やかかりつけ医、本人の写真などを載せておくとよいでしょう。もしもに備えた情報としては、避難場所と自宅や学校からそこまでの経路、避難時の注意事項などを書いておくと役に立ちます。

 防災手帳の内容は、人によって異なります。テンプレートで簡単に作成できるものを利用する場合は、プラスアルファの情報を追記するといった工夫で、子どもにとっても保護者にとっても「お守り」になる一冊に仕上げましょう。

地域の防災訓練、イベントに参加する

 「防災の日」や「防災週間」には、防災にまつわるイベントや訓練を実施する地域が多いです。自治体や企業が主催するイベントに参加すると、災害を体験したり、防災についてゲーム感覚で楽しく学んだりできます。

 地震体験車に乗って大きな地震を体験する、防災グッズの中身の展示を見る、防災クイズに参加するなどして、小さな頃から防災意識を高めましょう。

防災の日とは?9月1日になった理由や子ども向け行事例も(https://spaceshipearth.jp/bousaiday/)
カスタマイズ「防災手帳」は「もしも」のお守り!子供に持たせたい1冊の作り方(https://blog.tolot.com/2016/09/bosai-techo.html

防災の日は災害と対策を考える大切な日!親子で有意義な時間を過ごそう

 毎年9月1日の「防災の日」は、災害と対策について改めて考え、防災意識を高める日です。家庭でできる対策を話し合い、親子で防災意識を高められる1日にしましょう。

 2024年の「防災の日」は日曜日です。各地で防災関連のイベントが開催されることも予想されますので、ぜひ調べて足を運んでみてください。

※この記事内容は公開日時点での情報です。

著者情報

大学・大学院にて日本語学を専攻し、修了後は日本語学校に非常勤講師として勤務。2018年よりウェブライターに転身し、さまざまなメディアで記事を手がける。2人の子を持つ「ママライター」として、日々育児に仕事に奮闘中。

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