2007年に始まり、秋の恒例となっている「博多・天神落語まつり」が11月1日（金）～4日（月・休）、福岡市のFFGホール（中央区）、西鉄ホール（同）、JR九州ホール（博多区）の3会場をはじめ、北九州市と鹿児島市で開催されます。18回目の今年は、東西の落語家45人が集結し、24のプログラムに出演予定。プレイベント「秋まで待てない落語会」で福岡入りした柳家三三（やなぎや さんざ）さんに、落語まつりを立ち上げた故三遊亭円楽さんとのエピソードや落語まつりへの思いを聞きました。
「円楽師匠は力のある若手の手助けをしてくれていた」
―落語まつりには第3回から出演されていますね。
三三 （円楽師匠とは）所属している協会が違うんですが、円楽師匠がずいぶん前から私のことを気に留めてくださり、落語まつりは早いうちから声をかけてもらいました。
―円楽さんとのエピソードを。
三三 「ああしたら盛り上がるんじゃないか。こうしたらお客さまに喜んでもらえるんじゃないか」と、落語界全体ことを常に考えている師匠でしたね。円楽師匠は若いうちから「笑点」のレギュラーになって活躍されていたので、子どもの頃にテレビで見て、若くてかっこいい人が1人いるなと思ったのをはっきりと覚えています。落語界、そしてお客さまのために若い落語家の存在が重要だ知っているからこそ、力のある若手を見いだしては手助けをしてくれていました。
―今年の「博多・天神落語まつり」では、福岡市での4公演と鹿児島市での公演と、たくさん出演されますね。
三三 有名な方のスケジュールが空いてなかったんでしょう。僕は素直で、言うこと聞く人間なんです。いい子ですから（笑）。
「普段はない顔合わせ。落語まつりは福岡の人がつくった街の財産」
―この落語まつりは三三師匠や落語家さんにとって、どのような存在ですか。
三三 出演する落語家が楽しそうですよね。みんなで修学旅行に来たような、高座も楽屋も打ち上げとその後も。とにかく普段はない顔合わせなんです。西とか東とか協会とか一門とかを超えて。フットワークの軽い円楽師匠から「落語まつりのために力貸してよ」と頼まれて「円楽師匠から声がかかったのなら」と喜んで集まった。そうなると、めったに会えない顔触れだから、打ち上げも楽しくて盛り上がっちゃうんですよ。次の日も高座があるのに、そのことはどこかに行っちゃって、気が付いたら手遅れなんてこともあったんですから。
―手遅れになったというのは？
三三 お二人とも亡くなられましたが、（上方の）桂ざこば師匠と（江戸の）川柳川柳師匠の話です。このお二人が一緒に飲むなんて普段はあり得ないことで、大阪でも東京でもなく、ここ福岡で飲んでいるうちに言い合いになり、夜中まで続いたその場を収めたのが三遊亭小遊三師匠。次の日疲れ果てて会場入りした小遊三師匠からその様子を聞いたんですが、（小遊三師匠の）丸い顔がしぼんだ風船みたいになってひどいもんでした（笑）。
―落語まつりを楽しみしているファンにメッセージを。
三三 お祭りだと思って、お客さまに盛り上がってもらえるとうれしいですね。僕らもお祭りだと思って伺います。福岡に滞在している間は、落語家もチームになって楽しんで盛り上がっています。それが終わると、それぞれの活動に戻っていく。それもまた不思議なものですが、この感じは他の街にはない。福岡に来ると、落語家みんなが自然とそういう気持ちになる。それだけ長いこと、福岡の皆さまに支えていただき続いているおかげです。街の人たちがつくり上げてくださった財産の一つじゃないでしょうか。今年もぜひ大勢の皆さまに足をお運びいただきたいですね。
第18回三遊亭円楽名誉プロデュース 博多・天神落語まつり
日時：11月1日（金） 14：00／18：30
2日（土）～4日（月・休） 12：00／16：30
会場：FFGホール（福岡市中央区天神2-13-1 福岡銀行本店地下）
西鉄ホール（福岡市中央区天神2-11-3 ソラリアステージビル6階）
JR九州ホール（福岡市博多区博多駅中央街1-1 JR博多シティ9階）
2日…J:COM北九州芸術劇場 大ホール（北九州市小倉北区室町1-1-1-11）
3日…鹿児島県の川商ホール第2（鹿児島県民文化ホール）（鹿児島市与次郎2-3-1）
料金：各公演 全席指定6,000円（当日6,500円） ※税込み
問い合わせ：キョードー西日本
電話：0570ｰ09-2424（11：00～15：00。日曜、祝日休み）
