​​繊細な息子は「HSC」不登校だった息子に寄り添ってくれたヒーローとは?

14歳の息子はHSC(Highly Sensitive Child)です。他者と自己の境界が曖昧で、人の気持ちがわかりすぎてしまうところがあるため、刺激の多い環境が苦手。現在中学3年生ですが、学校には登校していません。そんな息子に寄り添ってくれる意外なヒーローが現れました。

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繊細だった息子

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 ​​​​​​​​​​​​「この子は他と違う」と感じたのは、息子が赤ちゃんの頃からでした。寝かしつけてベッドに降ろした瞬間に目を覚まし、環境の変化にも敏感でした。それでも保育園に通い始め、先生や大好きな友達に囲まれて、元気いっぱいの男の子に成長。いつしか私も息子の「繊細さ」を気にしなくなっていました。

 小学校入学前の学童保育に行ったときのこと。保育園時代の友達がいない環境が辛かったようで、
 「行かない!」と大荒れ。入学式には出席したものの2日目から登校を渋りました。しばらく私が付き添って登校し、夏が始まる頃には落ち着きました。しかし、順調に学校生活を送っていた小4の春休みに事件が起きました。

 塾で隣の子が先生に罵倒されるのを見て「先生が怖い」と恐怖心を抱くように。それをきっかけに塾や好きだったサッカーに行けなくなり、学校も休みがちになりました。真面目な性格ゆえに自分を責め、その葛藤が荒れた行動へと繋がりました。家ではゲームに没頭し、暴れ、痩せて目つきや表情も険しくなりました。思春期外来にも通いましたが、状況は変わらずでした。

意外なヒーローとの出会い

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 そんななか迎えた中学校の入学式。息子は出席できず、放課後に私と車で出向くのがやっと。助手席でうずくまった息子を迎えてくれたのが担任の先生でした。

 先生は日焼けした若い男性で、オシャレな髪型と白い歯が印象的。見かけで判断してはいけないと思いつつも「息子が苦手な体育会系かも」と不安を感じました。というのも、息子が人に対して恐怖心を抱くきっかけになった塾の先生が体育会系で、宿題を忘れた友達を大声で怒鳴り、机の脚を蹴ったのを見た翌日から塾に行けなくなった過去があるからです。

 しかし先生からもらった自己紹介カードには、達筆な字で「サッカーや国語、ドラゴンボール、キングダム、メダカが好き」と書かれており、息子の趣味と見事に一致。カードを見た息子は
 「先生めっちゃ字がきれいなんだけど! しかも、俺と好きなのが被りまくり!」と驚きつつも親しみを感じたようでした。

少しずつ心を開く息子

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 入学式から2週間後
 「みんながいない時間にちょっと学校行ってみる?」と聞くと、先生の自己紹介カードを見ながら
 「放課後なら行けるかも」と。

 先生は
 「勇気出して会いに来てくれてありがとう! 嬉しいよ」と満面の笑みで迎えてくれました。
 
 その日を境に、息子は放課後に先生に会いに行くようになりました。先生はサッカーの技を教えてくれ、プリントなど家でやった課題を丁寧に見て
 「ちゃんと自分で計画立てて進めてるの、すごいじゃん」と褒めてくれました。ある日、息子が自作のスプレーアートをプレゼントすると、先生は
 「めっちゃうまいな! 家に飾ってもいい?」と、喜んでくれ息子はさらに心を許すように。

先生と息子との共通点

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 後に伺った話では、先生自身も学生時代に不登校だったそう。しかし、その時に先生を救ったのも当時の学校の「先生」。だからこそ、自分もそんな存在になりたいと教師になったそうです。

 忙しい毎日の中でも息子と向き合い「​​​​ネガティブ・ポジティブのどちらの環境に対しても感受性が強い」という気質を理解し、穏やかに寄り添ってくれる先生。登校すらできなかった息子が、作品をプレゼントするまでになったのは、先生が息子の自己肯定感を育ててくれたからだと感じます。

 息子は完璧主義で、間違いや失敗を過度に恐れるといった一面がありました。でも、先生は一緒にサッカーや課題に取り組む中で、
 「失敗したけど、まあいいっか」や
 「今自分ができることの最低限だけできたら上出来!」を体現してくれました。
 
 HSCの子どもたちが前に進むためには、周囲の理解が必要であり、あるがままを認めてもらうことで自分を肯定できるようになります。先生が寄り添い認めてくれたことで、息子が一歩踏み出せたきっかけになったと思います。

(ファンファン福岡公式ライター/さくらえ)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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