公開中の映画『スオミの話をしよう』のキャンペーンで、監督・脚本の三谷幸喜さんと主演の長澤まさみさんが9月9日、福岡市・天神でトークショーを実施しました。作品の見どころや長澤さん演じるスオミという役柄の魅力とは? イベントは「みんな、よお来んしゃったねーー!」という三谷監督の明るい第一声でスタート。さあ、『スオミの話をしよう』の話をしよう!
光り輝く長澤さんの魅力を埋め込みました(三谷さん)
―福岡の街の印象などを聞かせてください。
長澤 やっぱり、本当にご飯がおいしくて。ただ、仕事でしか来たことがないので、いつかプライベートで来たいなと思う大好きな場所です。いま、(北九州市)小倉での舞台公演中で、小倉に滞在しています。お客さまはとても熱心に見てくださって、舞台や映画など物語に触れるのが本当にお好きなんだなと感じて、とてもうれしい気分になっています。
―三谷監督は福岡にゆかりがあると伺っています。
三谷 昔、母親が福岡市内に住んでまして。僕は2歳の時までしかこっちにはいなかったんですけども、 父親は鹿児島生まれで中洲でクラブをやっていました。もう他界していますけれど。 ですから、すごく親近感があります。
―九州と縁が深いんですね! さて、公開間近となりました。今のお気持ちを。
長澤 ちょうど去年の今ごろ撮影をしていたんですね。 去年も暑くて、暑い中みんなで乗り切ったという感じでした。映画になって皆さんの元に届くんだなと感慨深いですし、早く見て楽しんでもらいたいなと思います。
三谷 クランクアップしたのが多分9月の半ばぐらいだったかな。大体8割がセットの中だったのですが、外で撮るときはほんとにしんどかった。サバイバルゲームのシーンの撮影も過酷でしたね。
今回、クランクアップから公開まで約1年間あったんで、じっくり たっぷり編集や音楽など仕上げることができたので、とても満足いく作品になった気がします。早く皆さんに見ていただきたいです。
―現時点での長澤さんの魅力を全て詰め込んだ作品とおっしゃっていますね。
三谷 こうやって実物を見てお分かりになると思うんですけども、長澤さんは光り輝いてますからね。もうそばにいるだけで、ちょっとこう、オーラに暑苦しさを感じるぐらい。
―暑苦しさ!?笑
三谷 そう、この長澤さんの今の魅力を、スクリーンとフィルムに埋めてしまいたい、そんな思いでやらせていただきました。特に最後のミュージカルシーンで長澤さんが歌い踊るんですけども、そこは日本映画史に残るんじゃないかっていうぐらい素晴らしいシーンになっています。
長澤 あのシーン、男性陣はなんだか緊張されていましたよね。
三谷 そうなんですよ。稽古に1カ月ぐらいかけて。歌ったことも踊ったこともない人もいたのを無理やりお願いして(笑)。長澤さんは1人でずっと自主練をされていました。
スオミという役は三谷監督からの挑戦状(長澤さん)
―長澤さんは、三谷監督の映画には初出演ですね。
長澤 三谷さん演出の舞台は出演したことがあり、三谷さんの作品自体はドラマでも出演したことがあって。でも映像で三谷さんの演出を受けるのは今回が初めてで、新鮮な気持ちでした。
―三谷監督から「挑戦状をもらった」と思われたとか。
長澤 なかなかの挑戦状だったんじゃないでしょうか。スオミという女性が、 いろんな顔を持つ女性で、それが今回の見どころでもあって。いろんな役を演じるというのは、今までにも経験としてはあるんですが、 今回はスオミという1人の女性でキャラクターが違うというのがポイント。それが一体どういうことなのかは、ぜひ映画館の方で確かめてもらいたいなって思います。
―三谷監督、今作の主人公は相対する男性によって印象が変わる女性で、この発想はご自身の体験からきているそうですね。
三谷 僕は例えば家族の前で見せる顔と、仕事の時にスタッフの前で見せる顔ってちょっと違うんですよね。ある日、スタッフたちがいる現場にうちの家族が遊びに来たんですよ。その時、僕はどっちの顔をしていいのか分かんなくなっちゃって。困って今までやったことない第3の顔になっちゃったりした。これって多分みんなも経験あるんじゃないかな。このテーマは、きっと皆さん共感してもらえるのではないかと思って、この物語を作ったんです。
―演じていて楽しかったキャラクターはありましたか?
長澤 西島秀俊さん演じる草野という人物と一緒にいる時のスオミかな。地味なんだけどクセになるみたいな魅力があるキャラクターのような気がして、演じていて楽しかったですね。
三谷 本当の長澤さんに近いような気はします。おとなしい、控えめな…
長澤 おとなしめです(笑)
コメディー映画は皆さんの笑い声で完成します!
―三谷監督から、今後の長澤まさみさんへの期待を。
三谷 皆さんは、長澤さんを映像で見る機会が多いと思いますが、舞台女優としても素晴らしいものを持っていらっしゃる。映像だとどうしても顔のアップなどが多くなりますが、舞台は出てきた瞬間に全身を見らるわけです。 だから全身にちゃんと気持ちが入ってないといけない。長澤さんは出てきた瞬間から全身で演じられているし、2時間超えの舞台でもほぼ出ずっぱりで芝居をされたりする。それができる俳優さんは限られているので、もっともっと舞台もやってほしい。歌えて踊れるのでミュージカルもやってほしい。できればミュージカル映画も見てみたいですね。
―長澤さんが三谷監督に期待することは。
長澤 三谷さんって、周囲からの期待に負けないのが本当にすごいなと思うんです。たくさん期待されればされるほど、ちょっと自信をなくしたりとか、プレッシャーに感じたりがあると思うんですが、苦労も感じさせないぐらい陽気に乗り越えてしまう。いつも皆さんを驚かせる、期待を超えていく、そんなやる気に満ちあふれた三谷さんのままでいてもらいたいし、これからもどんどん面白い作品を生み出し続けてほしいなって、いちファンとして思っています。
―最後に本作を楽しみに待っている皆さんにメッセージを。
長澤 きょう、このイベントでたくさんの方にこの作品を待ってもらってるんだなと実感できて、とっても楽しかったです。いくつもの顔を持つスオミという女性、彼女を取り巻く個性豊かな夫たちの面白い姿、これまで見たことのないような不思議な映画をぜひ映画館で楽しんでください。
三谷 コメディー映画はたくさんの方々に見ていただき、皆さんの笑い声で完成すると思います。ぜひ映画館で映画を完成させようではありませんか!