【産後の必須】いつまでも「恋愛現役」でいたいフランス人の産後ケアの常識とは?

生涯恋愛現役でありたいフランス人たちは、年齢を重ねても夫婦は「男と女」。そのフランスらしい価値観を最も強く感じたのが、出産後のケアのありかたです。産後の入院中から行われ、産後も続く理学療法士の産後ケア指導とは?

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「フランスでの出産」ビックリした3つのこと

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 フランスで高齢出産を経験した私。「産後ケア」という言葉がまだ使われていなかった頃です。当時は、フランスに移住したばかり。まったく未知の世界での妊娠・出産に不安なこともたくさんありました。

 日本とフランスでは勝手が違いすぎで驚きました。例えば、夜間でも「授乳後はおむつを替える」日本に対し「朝まで替えなくてよし、寝かしておけ」のフランス、という具合です。

 また無痛分娩を選ぶ妊婦が大多数というフランスは「いかに楽に産んで育てるか」に焦点が置かれている感じです。全体におおらかで、母親の負担は日本よりぐんと少ないと思いました。

 そんなフランスでの出産入院中に驚いたことが3つあります。

沐浴の仕方

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 病室の洗面台にベビーソープを溶かしたぬるま湯を注ぎ、そこで赤ちゃんの体を洗うフランス式沐浴。洗ったらすすがずにタオルで拭いて終了です。細かいことを気にしないフランスらしい沐浴方法ですが、とっても楽でした。

4時のおやつ

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 夕食時間が遅いフランスのおやつ時間は4時。病院でも
 「4時ですよ〜、エスプレッソがいい? 紅茶がいい?」と係の人がお菓子を運んできてくれます。飲み物を注文できるなんて優雅だなとびっくりしました。

リハビリ計画

 一番驚いたのがリハビリです。病室に理学療法士が訪ねてきて、「産後リハビリ」についての説明をし、処方箋を2枚置いて行きました。

 「出産でリハビリ?」と、最初は意味がわかりませんでした。調べると「健全な夫婦生活を早く取り戻し、将来起こりうる女性特有の悩みを軽減する」ためだそう。合理的だなと感心しました。このリハビリについて、少し詳しくご紹介したいと思います。

フランスの産後ケアは「復旧と継続」

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 私が受けた産後ケアは、あくまでも体のリハビリ。受けとった2枚の処方箋、ひとつは10回分のペリネケア(骨盤底筋のリハビリ)で、もうひとつは「膣プローブ」。退院後、体力が戻った頃から始めるようにとの指示でした。リハビリって何をするの? プローブって? と、不安に…。

 理学療法士によると、「ペリネケアは、将来の尿漏れや臓器脱などを予防し、また良好な夫婦生活を維持する上でも大切」とのこと。出産でダメージを受けた筋肉を強化するためのリハビリです。

産後ケアを実際体験してみて

 私が受けたリハビリは、10回のうち最初の3回は「膣プローブ」を使ったトレーニング。「膣プローブ」とは、長さ15cm・直径3cmくらいの円筒系のもの。挿入部分が金属になっていて、コンピュータに接続できるコードがついています。

 実際の様子はというと…。

 産科の内診と同じ姿勢でプローブを自分で膣内に挿入します。コードをコンピューターに接続し、療法士が出す指示に従って膣を締めたり緩めたり。すると締め方のデータがモニター上にグラフで示されるのです。

 「もっともっと強く! ギューっと!」と、声がかかるのですが、これが意外と難しかったです。一生懸命に下半身を締める自分の姿がなんともおかしくて、笑いをこらえるのに必死でした。

 リハビリの残り7回ほどは腹筋を鍛える「筋トレ」。理学療法士の指導のもとに、下腹部中心のトレーニングを行いました。
 「家でも続けてね!」と言われたのに、結局めんどうになって続かず今に至ります。

フランスでは夫婦は「男と女」

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 高齢カップルも手を繋ぎ、ボディタッチを欠かさない国フランス。産後のリハビリを受けて、夫婦が「いつまでも男と女」であることを、とても重視すると感じました。

 このリハビリは、処方箋があれば100%健康保険でカバーされます。これで将来の女性の健康トラブルが軽減されるのなら、良い社会保障の使い方ですよね。また、入院中の新生児ケアも夫婦で行い、スタート時点から育児は男女共同作業というスタンスが明確だったことも印象に残っています。

 女性が不安なく出産できる環境は、少子化問題に積極的に取り組んできたフランスならではですね。

(ファンファン福岡公式ライター/吉野まのん)

※この記事内容は公開日時点での情報です。

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